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魔獣災害――前世の記憶を持つ俺が日本を救うまで 双世界の守り手  作者: 玄呂 恭真
1章

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27話 記者会見

「総理、今後の予定について確認を」


山田官房長官が腕時計を見ながら言った。俺は握手を解き山田官房長官のほうへ向き直る。


「今後の予定ですか?」

「記者会見のことだよ」


総理が答えてくれた。


「もしかしてニュースで報道していた11時からやる記者会見のことですか?」

「そうだ」

「総理、遥人君と協力関係もできたので、魔獣災害について公表すべきかと」


恐らく山田官房長官が言っているのは前回機密にしていた魔獣発生の報道のことだろう。


「そうだな」


総理は悩みながら席に座った。


「国民に事実を伝えるとしても、安心させられる材料がない」


資料をパラパラと見返しながら話していた。

確かに国民が安心できる材料がないな。会議室に重い沈黙が流れた。

・・・そうだ。


「天城総理、いい案があります」


全員がこちらを向いてきた。


「なにかね」


***


部屋のドアが開き、山田官房長官が入ってきた。スーツを着、前のボタンを留めている。壇上の前で一礼をし、壇上へと上がる。机に着くと手に持っていたバインダーを机の上に広げマイクを調整する。調整が終わると一礼をした。


「昨夜夕方頃、茨城県東部で起きた未確認生物発生事案について説明いたします」


次々と記者のカメラのフラッシュ音が鳴る。


「昨夜午後5時ごろに未確認生物が多数確認されました。政府は、本事案への対応は警察および消防のみでは困難であると判断し、天城総理は災害対策基本法に基づき災害緊急事態を布告するとともに、自衛隊の防衛出動を要請しました。未確認生物は64体確認され、そのすべての討伐を確認しました。」


ページをめくる。


「今回の騒動で確認しているだけで128棟の建物が損壊し51棟が火災で、68棟が倒壊しました。現時点で確認されている人的被害は1006人が死亡、1500人が負傷、約一万人が避難しています。天城総理は直ちに対策本部を設置し、早急に対応し、救助活動を指示されました。今回の事案がまた起きる可能性に鑑み、不明生物に対し早急に今後も対応できるよう来週にも魔獣対策基本法の法案を国会に提出する予定であります。以上が政府からの説明です。これより質疑応答に移ります。」


山田官房長官は机から視線を外した


***


「天城総理、いい案があります。」


全員がこちらを向いた。


「何かね。」

「今回の件を、単なる一度きりの災害として終わらせるのではなく、今後も起こり得る脅威として国民に伝えるべきです。」


総理は腕を組み、静かに耳を傾ける。


「そのためにも、魔獣への対応を目的とした法律を制定すると発表してください。」

「法律を?」


山田官房長官が眉を上げた。


「はい。『魔獣対策基本法』です。名称は仮でも構いません。政府がすでに次の一手を考えていると示せば、国民の不安は多少なりとも和らぎます。」


しばらく沈黙が流れた。

やがて総理がゆっくりとうなずく。


「……なるほど。政府が動いているという姿勢を示すわけだな。」

「はい。『どうするのか分からない政府』より、『対策を進めている政府』の方が安心感があります。」


山田官房長官も静かにうなずいた。


「総理、その方向で原稿を修正します。」

「頼む。」


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