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魔獣災害――前世の記憶を持つ俺が日本を救うまで 双世界の守り手  作者: 玄呂 恭真
1章

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15話 再び戦いへ

俺は部屋を出ると、最初に通された出入口へ向かって走った。

職員とすれ違うたびに振り返られる。

出入口に着くと、門の警備員たちがこちらへ視線を向けた。おそらく警戒しているのだろう。

俺は前回の事件から練習してきた浮遊の魔法式を自分の足元へ展開し発動させる。

瞳がさらに青く輝き体が浮き始める。どんどん高度が上がり、周囲の高層ビルと同じ高さに達する。

茨城の方向はどっちだ? スマホを取り出すが、電波が届かない。

そうか、魔力反応を追えばいい。俺は急いで魔法式を掌に展開させ「広範囲魔力探知魔法」を発動させる。


「あっちか」


俺は魔力反応を追い、全速力で茨城へ向かった。


***


「どんどん魔力の反応が強くなってきた」

飛び立ってから十分ほどが経過した。

上空三百メートル。

眼下には川が流れ、その先には黒煙が立ち上っている。

火災によるものだろうか。空を覆う煙が、被害の大きさを物語っていた。

「急がないと……」

まずは最も強い魔力反応へ向かう。

反応は明らかに異常だった。

一体や二体ではない。

魔獣が群れている。

そう確信しながら速度を上げる。

やがて現場が視界に入った。

「なっ……」

思わず息を呑む。

住宅街の道路を埋め尽くすように、白銀の獣たちが徘徊していた。

フォレストウルフ。一体や二体ではない。

二十体近い群れだった。

フォレストウルフが二十体?ありえない。

通常なら五、六体で行動するはずだ。その先には避難の遅れた人たちが追い詰められていた。

「急いで助けなきゃ」

俺は一気に高度を落とした。

轟音とともに地面へ着地する。

突然現れた人影にフォレストウルフたちが一斉にこちらを向いた。

「グルルルル……」

低い唸り声。

だが、構っている暇はない。

俺は右手を前へ突き出した。

「風属性初級魔法――風波」

掌に青白い魔法陣が展開される。次の瞬間、無数の風の刃が放たれた。

ヒュンッ――!

風の斬撃は一直線に駆け抜け、フォレストウルフたちを切り裂く。首が宙を舞い、前脚が吹き飛び、胴体に深い裂傷が刻まれる。

数秒後。

二十体近くいたフォレストウルフは地面へ倒れ伏していた。

「な、なんだ……?」

「何が起こったんだ……?」


背後から逃げていた人たちの戸惑う声が聞こえる。

突然現れた青年が、化け物の群れを一瞬で倒したのだ。

理解できるはずもなかった。それはそうだよな。

俺だって状況を完全に理解しているわけじゃない。

だが今は説明している時間より、人命を優先するべきだ。


「皆さん、急いで避難所へ向かってください。もう少しで自衛隊も到着するはずです」

「自衛隊……」


安堵したような声が漏れる。

しかし、一人の青年が前へ出た。


「それはありがたいです。でも、今何が起きているのか分かるんですか? それに、あなたは何者なんですか? 今のはどういうことだったんですか?」


青年の顔には不安が浮かんでいた。


「町中がパニックなんです。空を飛ぶ化け物や、あの狼みたいな奴らまで現れて……それに、あなたみたいな普通じゃない人までいる」

「正直に言います」


俺は青年を見つめた。


「俺にも全ては分かりません」


周囲の人たちの表情が曇る。

だが、嘘をつくわけにはいかなかった。


「ただ、一つだけ言えることがあります」


住民たちが固唾を呑んでこちらを見る。


「あの生物たちは人を襲います。だから俺は助けに来ました。今は生き残ることを最優先にしてください」

「……」

「避難所へ向かい、自衛隊や警察の指示に従ってください。俺は他にも助けを必要としている人たちを探します」


青年はしばらく黙り込んだ後、小さくうなずいた。


「……分かりました」

「みんな、避難所へ向かおう!」


その声をきっかけに、住民たちは再び動き始めた。

住民たちが去っていくのを確認し、俺は再び空へ視線を向けた。


「さて、次だ」


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