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魔獣災害――前世の記憶を持つ俺が日本を救うまで 双世界の守り手  作者: 玄呂 恭真
1章

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16/21

14話 会議

総理と俺は会議に向かう途中情報が次々と入ってきた。飛翔生物と狼のような生物が街を襲っているようだ。

飛翔生物はおそらく前回も現れたワイバーンだろうが狼のような生物?何だろう前回にはいなかったはずだ。

そうこう考えている間に会議室に到着した。官僚が扉をあけ総理が先に部屋に入る。そのあとに続いて俺も部屋に入る。部屋に入ると中には10人ほどの人が集まっていた。部屋はさっきよりも広く机が円のように並べられていた。

中には自衛隊の服を着ている人、スーツを着ている人、様々だ。その中には内閣調査室の川村さんもいた。総理についていくと中にいる人から視線が集まるのを感じる。


「総理お待ちしていました」


席から立ち総理に話しかけるのはスーツを着た中年の男性。テレビで見たことがある。確か名前は山田官房長官。

総理はうなずいた。


「総理、その後ろにいる青年は誰ですか?」

「例の動画の人物だ。詳しい話は後にしよう。遥人君、こちらに座ってくれ」


総理に促されるまま席に着く。俺の隣に総理が座るともともと部屋にいた人たちが次々に座った。


「さて、川村君状況をみんなに共有してくれ」


川村さんは会議室の前方スクリーンの横に立ちながら説明を始めた。


「現在茨城県南東付近で正体不明生物が次々と出現し町に被害が出ています。負傷者は多数いると予測され人数の詳細など情報収集に努めています」


川村さんはスクリーンに被害にあっている場所を地図に表示しながら説明そしている。そして次のスライドになった瞬間俺は息をのんだ。


「これは町の防犯カメラに映った正体不明生物の映像です。一つはつい数日前に出現した飛翔生物、そして今回新たに確認された狼のような見た目をしているこの生物。前回の事件を踏まえ正体不明生物が多数いると予想されます。それに鑑み自衛隊に出動要請をかけました。しかし周辺には自衛隊駐屯地がなく陸上で早くとも到着まで一時間半の見込みです。また千葉県に駐屯している落下傘部隊第一空挺団に緊急出動をかけ現時刻より30分後で到着予定です。現時点で把握している情報は以上となります」


川村さんが説明している間、話の内容が頭に入ってこなかった。なぜなら映像にあった狼のような正体不明生物あれはフォレストウルフ、森林に住む魔獣だ。表面には硬い真っ白の毛皮が生えており中途半端な物理攻撃が通用しない相手だ。そう考えていると総理が話を振ってきた。おそらく知っていることが顔に出ていたのだろう。


「遥人君、君はあの生物たちを知っているね?一刻の猶予もない、情報を教えてくれないか?」

総理の発言に川村さん、山田官房長官以外の人がこちらに鋭い目線を送ってくる、


「総理、本当にこの青年に機密情報を共有するのですか?」

「身元調査は完了しているのでしょうか」

「失礼だが、なぜ彼があの生物を知っているのか説明を求めたい」

「我々としても根拠なく発言を信用するわけにはいきません」


総理は机を軽く叩いた。


「静かに」


その一言だけで会議室は沈黙した。


「諸君の懸念は理解している」


総理は全員を見渡す。


「だが今は犯人探しをしている場合ではない」


そして俺へ視線を向けた。


「この場で最も多くの情報を持っているのは彼だ。ならば我々が取るべき行動は一つだろう。それではもう一度聞く、遥人君あの正体不明生物たちの情報をくれないか?」


しばし沈黙が流れる。


「…今からいうことはおそらくこの地球上誰も知らないことでしょう。状況が状況がですので端的に重要な部分だけ話します。詳細はまた後日でいいですね?天城さん」


総理はうなずく


「川村さん、さっきの防犯カメラの映像をスクリーンに映してくれますか」


そういうと川村さんはスクリーンに映す。


「この二体の正体不明生物、この個体名はワイバーン、そして狼のようなものはフォレストウルフという名前です。まずワイバーンの説明からです。おそらく先日の事件で知っているとは思われますが彼らの主な攻撃は火を噴くことです。しかし、彼らの強みはそこだけではなく高い機動力と目がよいことです。上空から鋭い爪で襲ってくることもあります。そしてフォレストウルフ。こいつらは硬い毛皮に覆われ物理攻撃がほとんど効きません。また鋭い嗅覚を持っているので隠れていても見つかるのは時間の問題な厄介な魔獣たちです。」

「失礼だが、その説明には客観的根拠が見当たらない」


俺が話終わるとスーツを着た初老の男性があざ笑うかのように口をはさんできた。昔の悪夢のような記憶が、よみがえる気がした。


「我々は未知の生物を分析しているのであって、空想上の存在を議論しているわけではない」

「そこまでだ」


総理が話をふさいだ。


「人を馬鹿にするとはいいご身分だな、さっきも言っただろ、遥人君は知識を持っている。ちなみに君が馬鹿にした火を噴くワイバーンだが君は、この映像をどう説明する?」


総理がそういうと川村さんは実際に先日で記録された火を噴くワイバーンの映像を流した。


「これは実際の防犯カメラの映像だ。それでも君は遥人君のことを馬鹿にするのか?これ以上言うならこの会議室から出て行ってもらう。」


そういうと初老の男性は口をふさいだ。


「すまない、遥人君。話を続けてくれ」


総理にうなずくと話を再開する。


「話を続けます。恐らく、駆除するには最低でも銃火器が必要になります。今回の自衛隊の派遣にあたり実弾を使用できますか?」


その問いに真っ先にこたえたのは自衛隊の迷彩服を身にまとう向かいの席にいる5,60代の男性だ。


「陸上幕僚長の東條だ。現在、自衛隊による対処作戦を指揮している。銃火器についてだが携帯をさせているが発砲するには総理の許可が必要だ」

「わかりました。ありがとうございます。天城さんおそらく許可が必要になります、その時はお願いします」


総理は即座にうなずいた。


「そして最後に一つ」


会議室を見渡す。


「おそらく自衛隊だけでは対応しきれません。だから私も現地へ向かい対応します」


会議室が静まり返る。


「危険だぞ」


誰が言ったのかは分からない。だが、その疑問は当然だった。俺はゆっくりと立ち上がる。


「――倒せます。少なくとも、この場の誰よりもあの魔獣たちを知っていますから」


その瞬間だった。部屋の空気が震えた。目には見えない何かが会議室全体を包み込む。机の上の書類がわずかに揺れ、蛍光灯も一瞬だけ明滅した。息苦しさに思わず姿勢を正す者もいる。東條陸上幕僚長の表情が引き締まる。川村さんは目を見開いた。

そして天城総理だけが、静かに俺を見つめていた。瞳が淡く青く輝く。言葉では説明できない圧迫感に、何人かが思わず息を呑んだ。


「俺には、その力があります」

「……分かった。黒瀬遥人君。政府協力者として、活動を許可する」

「ありがとうございます」


俺はそういうと出口へと向かう。


「少し待て、ヘリを手配しよう」


それを言ったのは東條陸上幕僚長だった。


「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

「じゃあ君はどうやって行くんだ?」


その言葉は純粋な疑問だった。


「飛んでいきます」

「……は?」

誰かが間の抜けた声を漏らした。

そういうと俺は扉を開け廊下へと出た。背後ではまだ困惑した空気が流れていたが、説明している時間はない。



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