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魔獣災害――前世の記憶を持つ俺が日本を救うまで 双世界の守り手  作者: 玄呂 恭真
1章

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13話 条件

「……わかりました」


総理の視線がこちらへ向く。


「ですが、条件があります」

総理は静かに口元を緩めた。


「その条件とやらを聞こうか」


俺は総理の目を真っ直ぐ見返した。


「条件は三つあります」


部屋の空気が張り詰める。

「一つ目は情報の秘匿です。これから話す内容は、俺が認めた相手以外には共有しないでください。情報がどこまで広がるか分からない以上、管理できる範囲を限定したいんです」

総理は無言で頷いた。


「二つ目は軍事利用の制限です。俺が提供した知識や情報を、原則として軍事目的に転用しないこと。もちろん、日本を守るために必要な防衛研究まで否定するつもりはありません。ですが、それが他国への攻撃や軍拡競争につながるような使い方は認められません」


総理の目がわずかに細くなる。俺はそのまま続けた。


「そして三つ目、俺自身と、家族や友人の保護を約束してください。もし情報が流出すれば、狙われるのは俺だけじゃない。家族や友人まで危険に晒される可能性があります。だからこそ、その安全を保証してほしい」


話し終えると部屋に短い沈黙が落ちた。総理は腕を組み、しばらく考え込む。その表情からは賛成なのか反対なのか読み取れない。だが、少なくとも真剣に検討していることだけは分かった。やがて総理は小さく息を吐く。


「なるほど」


そう呟くと、納得したようにゆっくり頷いた。


「遥人君、君は思った以上に慎重な人間らしい。すこし驚いたよ」

総理は腕を組むのをやめ一国の代表としての威厳を放ちながら話し始めた。


「単刀直入に言おう、条件には飲めるものと飲めないものがある。一つ目と三つ目は飲める。しかし、二つ目だけは約束できない。未知の力に対抗するために対策が必要だ。特に現代武器が通用しなかった場合その技術を使うほかない。よくSF映画でもあるだろう?銃が通用しないなど。ただ一つ約束できるのはその技術で戦争に使用しないと約束しよう」


確かにその意見は合理的だ。総理が魔獣に対処するためには魔法関連の知識は必要な場合がある。しかし、一回使いだすと止まらないのが人間の嵯峨だ。最初は約束が守られる。しかし、時間がたつごとに約束はうやむやにされいずれ使われる可能性がある。


「・・・それが守られる保証はありますか?」


それを聞いた総理はうめいた


「確かに君が言う通り、その保証があるかといえばない、今約束できても次の政権がそれを守るとは言えないからな、それが政治というものだ。しかし方法はなくもない。それは」


その時だった。扉からノックの音がした。


「総理、緊急事態です。至急対応が必要です。」


部屋の外からあわただしい音ともに部屋に官僚らしき人が入ってきた。


「なんだね、あわただしいが詳細を教えてくれ」


 総理は冷静に応じ、官僚は総理に耳打ちで詳細を伝えているようだった。総理の顔色が変わった。先ほどまで冷静だった目に、わずかな緊張が走る。


「……馬鹿な」


 その一言に、部屋の空気が凍り付いた。俺は思わず身を乗り出す。


「何があったんですか?」


 総理は数秒だけ考え込むように沈黙した後、俺へ視線を向けた。


「遥人君。緊急事態だ」


 その声には先ほどまでの交渉相手としての色はない。一国の総理としての声だった。


「茨城県南部で再び正体不明生物の出現が確認された」

「……っ!」


 思わず息を呑む。あり得ない。

 あの場所からはもう魔力反応も消えていた。


 それなのに――なぜ。またあのワイバーンたちがでてきたのか?


「天城さん、今の状況はどうなっているんですか?」

「詳細な情報はまだ入ってきていない、ただ茨城で正体不明生物が発生し被害不明だそうだ。遥人君今はこの状況だ。条件云々言っている状況ではない。国民の命にかかわってくる。協力してくれないか?」


 総理は真剣な顔でこちらに問いかけてきた。この人がこの国の代表。確かに俺にも守りたいものがある。そのためなら戦わなければいけない。


「わかりました。条件については後々として協力しましょう。」

「ありがとう」


 総理は短くそう言うと立ち上がった。


「状況によっては、自衛隊の出動も視野に入る」


 部屋の空気が一変する。


「では会議室に案内する。ついてきてくれ」


 総理と俺は席を立ち会議室へ向かった。


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