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魔獣災害――前世の記憶を持つ俺が日本を救うまで 双世界の守り手  作者: 玄呂 恭真
1章

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11/21

10話 家

家に帰ってきたはずなのに、俺の中では避難所にいるような感覚が抜けなかった。


僕らは次の日の早朝に避難所を出た。昼頃に隣町についた。つい数時間前までは現実とは思えない光景が広がっていたのにそこでは何も変わらぬ日常があった。そこから電車で千葉方面に乗り、夕方頃に家に着いた。

あれから24時間が立とうとしている。現場を経験した僕たちから見ると生々しい現場の中、見たことのない魔獣に遭遇するとんでもない話だがニュースではそこまで話題になっていなかった。ニュースにはこう書かれていた。「茨城県で不明生物が出現し多くの負傷者と町の被害があり、その生物は自衛隊によって駆除された」と。本当は俺がワイバーンを倒したはずなのに、なぜ自衛隊になんだ。そして徹底的に情報統制している。今のご時世インターネットにワイバーンの写真一つもないなんてありえない。

しかし、まあある程度予想はできる。可能性があるのは 正体不明の生物を隠したいか、それか俺がやったことで政府の信用を保つためにうそをついたか、ある程度は絞れるだろう。

この時まではその理由を知るがこんなにも早いのを想像できなかっただろう。


***


家に帰ってから二日、あれから平穏を取り戻しつつある俺は多くの難問と葛藤していた。


「魔法について話していいのかなー、それにあの記憶、俺はアクタという名前だった」


自分の部屋のベッドで寝ころびながら独り言をしていた。魔法について話すか、隠すかこれは大きな難問だ。今も沙耶や悠太に隠している状態だ。そしてあの記憶あれはおそらく前世の記憶ってやつなのだろう。実際に記憶があって魔法使えるし。確認するため掌に野球ボールほどの大きさの炎を出す。


「ラノベ展開真っただ中だな」


それに前世より魔法が使いにくい気がする。しかし、魔法を使うほど体になじむっていうか、使えるようになっていくんだよな。そう思いながら炎と同じくらいの大きさの水、風、土、光を出していく。


「なんで魔法が使えるようになったんだろう、地球では使えないのが普通なのかな?」


しかしある異変を気付く、大気中に魔力が存在している。


「なぜ大気中に魔力があるのに人々は魔法使えないのだろう?」


前世と今世の記憶と知識を頼りに過程をたてようとする。

!!・・・あの要石の光の正体、あれは魔力の光だったんだ。だからみんなには見えなかったのか、でもなんで最後には見えるようになったんだ?そしてなぜワイバーンがでてきたんだ。この世界には存在しない魔獣なのに…(魔獣とは魔力を持った動物のこと)

考えれば考えるほど疑問が増えていく。


「とりあえず先に魔法のことを話すか秘密にするか決めようかな」


その時、家の呼び出しチャイムが突然鳴り響いた。


「遥人―出てきてくれない?」


下の階からお母さんの声がした。それに応じ階段を降りる。郵便かな?そう思いながら玄関の扉を開ける。目の前には予想していた郵便の人ではなくスーツを着た男の人がいた。道には黒い車が止まっている。見た目は30代、ワックスで髪の毛をセットしいかにも仕事ができるオーラが漂っている。しかし、彼は私を見つめるだけで何もしゃべらない。


「えっと、どちらさまでしょう?」

「おっと、これは失礼」


男は少し頭を下げながら答える


「私は内閣調査室の川村と申します。こちらは黒瀬様のお宅で間違いないでしょうか?」

「はい、そうですけど…へ?内閣調査室?」


頭が混乱する。その間に名刺が渡される。そこには内閣調査室 川村 響 と書かれていた。


「えっと内閣調査室?とは何でしょう?内閣ということは政府の人間ってことですよね?」

「はい、私は政府の人間です。可能であれば中でお話いただけますでしょうか」


なにかこちらをうかがうように話してくる。そのときお母さんが廊下に顔を出す。


「遥人だれだったの?」


俺が答える前にスーツの男が答える。


「内閣調査室の川村と申します。黒瀬遥人様にご用件があり参りました。 こちらでのやり取りは控えたいので、可能であれば中でお話しさせていただけますでしょうか」

「もちろん、どうぞ中へお入りください」


お母さんが二つ返事で返す。しかし俺は気づいた。おそらくはワイバーンのことまたはワイバーンを倒した時の魔法のことだろうか、あるいはその両方か。ここでお母さんに聞かれるのがまずいと判断した俺は川村さんに伝える。


「いえ、お話なら車の中でお聞きします、そちらのほうがご都合がいいかと」


川村さんは一瞬鋭い視線を向けた後、静かにうなずいた。 それと同時にお母さんが不思議そうな顔で聞いてくる


「遥人知り合いなの?」

「いやちょっと話してくるだけだから、夕飯には戻るね」

「わかったけど、気をつけてね?この前あんなことがあったんだから」

「わかった。行ってくるね」


二つ返事で承諾してもらい、安堵の気持ちを抱えながら川村さんのほうへと振り向く。川村さんは車へ誘導するために手を差し出し、その動きはゆっくりと大きく振られ、まるで道案内をする執事のような丁寧さが感じられた。


「それでは行きましょう」


俺は道にとまっている黒い車へ向かう。どこへ行くかはわからないけど何かあれば今は魔法があると自分を安心させながら車へ乗り込んだ。

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