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神曲リノベーション・地獄篇  作者: Dante_Alighieri
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第二十一歌

 こうして、この喜劇が歌うことのない事柄を話しながら、ダンテたちは橋から橋へと進んでいった。頂に辿り着くと、マレボルジャの次の裂け目と、空しく嘆く新たな者たちを見るために立ち止まった。

 そこに見えたのは、異様なまでの暗さだった。


 ヴェネツィア人の造船所では、冬の間の航海できない時期に、新しく船を建造したり、数多く航海に出た船の側面を補修したりする。船首や船尾の釘を打ち直し、櫂を作り、縄を撚り、船首の三角帆や主帆を継ぎ当てる。傷んだ船体を塗り直すため、ねばねばした瀝青が煮え立っていた。

 同じような瀝青が、神の御業によって火もなく煮えたぎり、岩壁を覆いつくし粘ついている。


 ダンテは覗き込むが、瀝青の泡が膨れ上がっては潰れて沈んでいくほかは、何も見えなかった。下を凝視していていると、ウェルギリウスが「危ない、気をつけなさい」と叫び、ダンテが立つ場所から自分のもとへと引き寄せた。

 突然の恐怖に怖じ気づきながらも、避けるべきものを見ながら逃げ出す者のように、ダンテは振り返った。

 背後に、岩の橋の上を駆けてくる一匹の黒い悪魔が見えた。


 ああ、なんと凶悪な姿だろう。翼を広げ、尖った肩を突き出し、罪人の両脚のくるぶしを鉤爪に掛けて両腿を担いでいる。その重さをものともしない軽々とした足取りが恐ろしい。

 悪魔は、ダンテたちのいる橋の上から叫んだ。

「マンブランケの仲間よ、聖ツィータの役人が一人がいるぞ。こいつを沈めてしまえ。俺は、こいつと同じような奴が大勢いるあの都市に戻る。ボントゥーロは別格だが、どいつもこいつも収賄や汚職に手を染める輩だ。悪事も金次第でどうとでもなる都市だ」

 悪魔は、罪人を下に投げ落とすと、岩の橋の上を引き返していった。首輪を外された番犬マスティフでさえ、これほどの速さで泥棒を追いかけたことはないだろう。


 投げ落とされ沈んだ罪人が、瀝青にまみれて浮かび上がる。

 橋の陰に身を潜めていた悪魔たちが叫んだ。

「ここは、十字架像があるセント・ヴォールトではないぞ。セルキオ川と同じように泳ぐことはできない。鉤爪の餌食になりたくなければ、瀝青の上に出てくるな」

 百余の刃を男に突き刺して、悪魔たちは言う。

「ここでは、潜って踊るんだ。できるものなら、隠れて盗んでみるがいい」

 それは、料理人たちが下働きに命じて、大鍋の底に肉を肉刺しで沈めさせる様子と変わらなかった。


 ウェルギリウスは「ここにいることを悟られないようにしなさい」とダンテに命じた。

「隠れられる岩陰に、身を低くして潜んでいなさい。私にどのような危害が加えられようとも、恐れてはなりません。私は、このような闇の取引に一度来ているので、どうすればよいかよく知っています」

 ウェルギリウスは、橋の向こう側まで渡り切った。六番目の堤に達すると、何事にも動じない態度を示す必要があった。


 物乞いに飛びかかり、立ち尽くしながらも乞わせようと獰猛に吠える犬ように、悪魔たちは橋の下から飛び出し、一斉にウェルギリウスに鉄叉を向けた。

 ウェルギリウスは声を荒げる。

「お前たちの誰一人として、手出しはできない。鉄叉で私を捕らえる前に、話を聞く者一人を前に進ませなさい。その後に私を刃にかけるか決めるがよい」

 悪魔たちは叫んだ。

「マラコーダに行かせろ」

 その声に一人が動き出し、ウェルギリウスのもとにやって来て言う。

「どうにかできるとでも、思っているのか」

 他の者たちは、じっとしている。


 ウェルギリウスは言った。

「マラコーダよ、神の意志による恵みなしに、お前たちの妨害から護られて私がここまで来られたと思っているのか。邪魔をするな。この凄惨な道をある者に案内することを天は望まれているのだ」

 マラコーダの傲慢さは、たちまち消え失せた。鉄叉を足下に落とすと、仲間に告げる。

「もう、こいつには手出しできない」


 ウェルギリウスは、ダンテを呼んだ。

「橋の岩陰に身を低くしている必要はありません。安心して私のところに戻ってきなさい」

 ダンテは立ち上がり、師のもとへと急ぐ。

 悪魔たちが前へと踏み出してきた。

 かつて、カプローナ城から協定に守られて出てきた歩兵たちも、大勢の敵兵を目の前にして恐れている様子をダンテは見たことがある。同じように、悪魔たちが約束を守らないのではないかと恐れた。

 ダンテは、張り付くように全身をウェルギリウスに寄せながら、善良さの欠片もない彼らから目を逸らさずにいた。


 悪魔たちは鉄叉を振り下ろし、ダンテに向けた。

 一人が仲間に言う。

「こいつを背中からやってしまっていいか」

「やっちまえ。一発くれてやれ」

 仲間が答えた。

 ウェルギリウスと話をしていた悪魔は、すぐに振り向き、叫んで命じた。

「止めるんだ、スカルミリオーネ」

 そして、ダンテたちに言った。

「六番目の弧橋は粉々に砕けて、谷底に落ちているので、この岩の橋を通って先に進むことはできない。昨日の、今から五時間後の時刻で、この道が崩れてから、千二百年と六十六年が経った。

先に進みたいのなら、この崖の上を行けば、そう遠くもなく渡ることができる別の橋がある。その方面に、瀝青から出て身体を干している者がいないか手下を見張りに行かせよう。危害を加えたりしないので、そいつらと一緒に行けばいい」

 マラコーダは、手下を呼び出す。

「前に出ろアリキーノ、カルカプリーナ、カニャッツォ、お前もだ。バルバリッチャは十人隊の指揮を執れ。リビコッコ、ドラギニャッツォ、鋭い牙のチリアット、グラッフィアカーネ、ファルファレッロ、怒れ狂うルビカンテも出てこい。煮え立つ鳥もちの周りを見て回るのだ。そして、この方たちを巣穴の上を途切れず渡れる別の岩の橋まで無事にお届けするのだ」


「ああ、私が目の当たりにしているのは、どういうことなのでしょう」

 ダンテが言う。

「お願いです。道が分かるのなら、案内なしに私たちだけで行きましょう。いつもの師であれば察するはずです。奴らは歯を剥き、私たちに災いをもたらす悪意をその目に浮かべています」

 すると、ウェルギリウスはダンテに言った。

「怖じ気づくことはありません。彼らには好きなだけ歯を剥かせておきなさい。危害を加えるのは、苦しみに呻く茹でられた肉に対してだけです」


 悪魔たちは、堤の上で左に向きを変えた。

 全員がバルバリッチャ隊長に向かい、舌を歯に挟み合図する。


 隊長は、尻の穴を喇叭にして音を出した。

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