出会ってみた奴がまさかの天使級だったわけで俺はとてつもなく緊張します(棒読み
『着いたんだけど・・・。
参考書売り場のところで制服着てる奴です。
気に食わなかったら帰ってよし』
その時、ケツに氷のツララをぶっさされたような恐怖が俺を襲ったぜ。
何故かって?
参考書売り場にいる『制服着てる奴』は俺を含めて二名しかいねぇんだわ。
つまり、この坊ちゃん高校の奴が、俺のメールしてた奴だったわけで・・・。
すまん、正直マジだとか殆ど予想だにしてない展開だった。
てか声かけるの怖いのよ・・・。
俺って、内弁慶だから心の中では饒舌だけど、初対面の人に馴れ馴れしく話しかけらんねぇんだわ。
あれ?内弁慶の使い方おかしくないか?
ま、そんなんはさておき、こんなときは文明の利器、メールにてお願い。
あぁ、すんません、ヘタレでゴメン。
『てか俺も参考書のところにいるんだけど。普通に制服着てます』
うぉい、アイツが携帯を確認してやがるのがリアルに分かる。
やばい心臓がばくばく言ってやがる。
俺はこの緊張の渦の中で死ぬかも知れん。
あ、やばい、目が合ったし、話さなきゃ・・・。
「あの」
「あの」
向こうも俺と同じタイミングで声を出す。
見事にハモっちまったじゃねぇか。
しかもやばい事にはお互いに言葉が後に続かねぇというわけで。
何なんだ、この数十年前のお見合いみたいな展開は。
誰か俺を操っている奴がいるのなら、今すぐ止めろ、速攻止めれ。
「えっと、あのメールしてた人?」
コイツが沈黙を破り、小声で俺に聞いてくる。
ヤバイ、この男はヤバイぐらいにかわいいぞ。
まるで天使か何かの生まれ変わりだ、きっとそうに違いない。
こんな男を傷つけちゃいけない。
いいか、正直にゴメンなさいするんだ、いいな?
俺は正直、Youをからかってました、ごめんなさいだ。
ジャニー並みにYouをキメてやれ!頑張れ、俺!
「え、あ、はい。
そうですけど・・・」
やべぇ、詰まった!
昼に食ったジャージャー麺のお陰で、俺って口臭くないか?とか気になり始めて、もう何も言えないってば。
「良かった~。
本当に高校生じゃん。
僕は高二だけど、君は?」
なんていうか、この口調はいかにも育ちが良さそうだな。
地方生まれで下町育ちの俺とはかなり違うぞ。
「こ、高一です・・」
しかも、俺の方が年下だよ。
俺も素で答えるなよ、高三ですって言えば良かったじゃないか。
しかも俺はなんで丁寧語使ってんだよ?
「ちょっと出よっか?」
ぐいっと腕を引っ張られ、そのまま坂を下る。
やばい、このままヤクザに引き渡されるんじゃないだろうな?
気まずすぎる展開だ。
よし、逃げよう。
今ならまだ奴らの包囲網を突破できるやも知れぬ。
これがラストチャンスだ!
「・・・あのさ、びっくりした?
僕も初めてだったから、まさか本当にいるとは思わなかった」
俺の決心はいきなり揺らぐ。
奴のはにかんだ笑顔が本当に可愛いかったから。
こういうのが女顔なのかわかんないけど、俺みたいな感じじゃないな。
ネコ型ロボットってはさもありなんって感じだ。
しかし、こいつの言葉を額面どおり信じていいものかは不明だ。
いつもこうやって金を巻き上げているのかもしれないし。
適当に相槌を打つのが一番だな。
次に隙が出来たら逃げればいいわけだ。
「俺もかなりびっくりした・・。
絶対、嘘だと思ってたから・・・」
ま、今でもそう思ってるんだけどな。
「あはは。
でしょ?
僕も絶対怪しい奴だろうって思ってたもん。
でも、良かった、こんな可愛い人が来るって思ってなかったもん。
それに真面目そうだし」
いや、それはこっちの台詞だって。
俺は全然可愛くないってば。
顔は男前な方だよな?自己評価だけど。
ま、確かに背は高くないし、肩幅もないし、筋肉もあんまりないし、色白ではあるが、性格は余裕で男そのもの。
もう俺の男らしさと言えばさっき読んだ、椿族どころじゃねぇぞ。
・・・いや、それほどじゃないな・・。
結構女々しいところもあるんだよな、俺ってば・・。
それに、普段は夜中に警察官のおっさんに声かけられそうなほどスケボーにはまってる、やんちゃ盛りの16歳なんですが・・・。
試験でいい成績取れたから進学校に行ってるけど、決して真面目ではないぞ?




