期待を込めて待ち合わせ現場にきてみたものの現れやがらない、だが
・・・って、おい、来たよ?
新着メール一件だよ!。
ま、どうせ迷惑メールだろ?
こんなところで期待するのは馬鹿で阿呆っていう寸法だ。
慌てる乞食は貰いが少ない、ここで焦ってはならんと思いながらも携帯をすばやく開けてチェック&チェック。
『メールありがと☆一番、まともそうだから返してみました。
僕も渋谷で高校生してるよ?
てか、今も渋谷にいる?』
うっひょぉい、マジかよ、何だこの流れ?
新手の詐欺事件に発展するんじゃねぇだろうな?
ゲイを狙った男霊男霊詐欺とか、おぞましい名前がついてる奴だったりして。
でもまぁ、ここまで来たからにはやるっきゃない。
話のネタに一発かまして見るぜ。
『だいおう?
いるいるいます、いるいます。
今はPBCでGROOVE読んでるけど』
Grooveっていうのは、テクノとかそういったコンピューター系の音楽を作ってる人が読んでる雑誌。
俺の兄貴がそういった仕事をしてる絡みで俺も読むようになった。
ま、16歳が読むには早いけど、たまに面白い情報がある。
俺はテクノって言うか、ヒップホップが好きなんでどうせ調べるのはサンプラーとかの話題が多いんだが。
『あはは、だいおうって何?
なんか面白そうな人だね。
んじゃ、今からパルコ行きます。
至って普通のネコ型ロボットなんでがっかりしないで下さいね』
って、おいおい、コイツ、正気か?
てか、本当に来るのか?
モノごつっい兄やんが来たらどうすんだ、俺?
五体満足でおうちに帰れるか分からんぞ・・・。
あ、そっか、とりあえずGroove以外の場所で待ってりゃいいんじゃん。
んで、相手の顔を見て判断すれば・・・。
ひょっとしたら、宗教とか超怪しい奴かもしれないし、警戒しとかなきゃ話にならんぞ。
しかし、普通のネコ型ロボットって何だよそのセンスは?
まさかスリーサイズがドラ○もんってわけじゃないだろうな。
しかもアイツの体重はめちゃくちゃ重いんだぞ(ドラ○もん百科より)。
・・・よし、来るなら来てみろ。
おかしなダンスを踊るような奴なら速攻逃げてやるぜ!
『あー、了解。
俺は全然、面黒くない人なんでそちらこそがっかりしないでな。
いや、まじで普通ですってば。
着いたら教えてくだry』
こんなにやる気のないメールで大丈夫なのか分からんが、まぁ話のネタだな。
それに俺自身、今日は制服着てるし、本当に会える勇気があるのか分からない・・・。
奴の返事が来るまで、とりあえず乙会の参考書でも物色するか。
模試も近いし、あぁ、くそ、進学校なんてクソ食らえだ。
・・・
・・・20分たったけど、何の連絡もねぇ。
まぁ、最初から分かってたけど「釣り」ってわけだな、俺は華麗にスルーというわけだが。
でも本当は、どきどきして損したって思ってる自分がいるのも事実なわけで。
ちょっとだけ見てみたかった・・。
不謹慎な事は分かってるけどさ。
ま、何事も無く終わるってのもいいことだ。
いきなり男相手に出会い系なんていうのはハードル高すぎたかもしれないな。
だいたい、リスクが大きいんだよ。
たかがヤルヤラナイのためだけに、自分がソッチ系の性癖があるなんてばらされてたまるかって奴だ。
参考書を物色するのも飽きたし、段々、俺の心も覚めていくのが分かる。
家に帰って、野郎友達とスケボーでもするか。
せっかくの土曜の昼下がりもこれにて終了って奴だな。
あぁ、何かけだるいからグラフィティ描きのNocchiさんに会いに行くか。
あの人、変人だけど、中々面白い人だし。
ん?
何だ?
この隣の奴・・・。
いつの間に俺が最後に読もうとしてた、『ボーイズラブで学ぶ日本史入門』を・・・。
しかし、あれってBL小説って奴じゃないのか?
そんなの受験参考書の棚に置いてていいのかよ?
あ、この制服は我が校のライバルの奴じゃねぇか。
進学校だけど坊ちゃんばっかりで何か鼻持ちならねぇ連中なんだよな。
ま、こいつは身長は普通ぐらいだけど、色白で弱そうだから許すけどな。
それにしても高校生でこんなに白いのって恥ずかしくないのかね。
ま、俺も人のことは言えないが、スケボーは夜やってばっかりだから日焼けしないんだわ、これが。
お、こっち見たぞ・・・。
さっと、参考書を元の位置に戻しやがった。
やべ、じろじろ見てたのがばれたかな?
それにしても、・・・なんて顔してやがるんだ、コイツ。
一瞬、背筋が凍ったぜ。
綺麗な顔してやがるとはコイツのことだな。
俺も外見は悪くないと勝手に自負してたけど、こいつには負けるな。
なんかオーラが違うもん。
少しだけ垂れた瞳は大きくて、唇は元々そうなのか知らないけど、へにゃるんと笑ってるみたいな感じだ。
こんな奴とお友達になれれば俺の高校生活ハッピーなんだろうけどな。
変な意味じゃなく、普通に友達ってだけで十分幸せなんだが。
おっと、じろじろ見るのは危険だ・・・、そろそろ帰ろう。




