9話
↓1話
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僕達が焚き火の周りに座ったのを確認すると、目の前のキツネ獣人が饒舌に話し出した。
「あっし"エキノ"いいます。ここで会ったのも何かの縁、皆々様とは末永〜くお付き合いさせてもらえたらぁ思います」
その後もBIGになるためセクターを出ただの、商品の仕入れが大変だの、と一方的に語り続けた。
ライカはこういうタイプ嫌いだろうな、と思い視線をライカに移す。
案の定ライカは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「そろそろ温まったでしょう?じゃ、品物見てもらいましょか」
エキノはそんなことお構いなしと言わんばかりに、隣の部屋から大きな荷物を持ってくると中身を僕達の前に並べ始めた。
「私は必要な物は持ってるから」
ライカは興味ないみたいで、焚き火から少し離れたところに寝袋を広げ始めた。
「姉さん、それはイケズですわ」
エキノは心底残念な表情を浮かべ、僕に振り返った。
「坊ちゃんは見てくれますよね」
僕は狙いを定められたようだ。
並べられた品物はレーションから日用品、ロープやナイフのような旅で使えそうな物、と一通りは揃っているようだった。
そんな品物の一つを見てずっと黙っていたクロエが口を開く。
「ルカ、頭ヲ守ルノニ、ヘルメットガ必要デハナイデショウカ」
チャンスと言わんばかりにエキノが畳み掛ける。
「坊ちゃん、お連れのロボットの言う通りヘルメット、便利ですよ。落ちてくる瓦礫は勿論、日差しからも守ってくれますよ」
──確かにヘルメットはあった方がいいかもしれない。
そう思ったけれど、一つ問題があった。
僕は金銭の類を一切持っていない。
そんな困惑が表情に出てしまったようだ。
「いや〜、坊ちゃんそんな顔で見ないで〜。あ〜もう、ここは勉強させてもらいます」
エキノはヘルメットを持って僕に近づいてきた。
「将来のお得意様に免じてこれはプレゼントさせてもらいます」
僕は頭にヘルメットを被せられた。
緑色の十字の柄が入った白いヘルメット。
「え、いやそんな」
僕は急な展開に困惑することしかできなかった。
「よっ、この商人泣かせ」
顔の横に手を当ててそう言ったエキノはそそくさと並べた商品を片付け始めた。
「くれるって言ってるんだし貰っとけば」
寝袋の中からこちらを見ていたライカは、適当に手を振るとそのまま背を向けてしまった。
「モウ遅イデスシ、寝マショウ」
クロエもそう言うと直ぐに顔のディスプレイをオフにした。
僕は拭いきれない違和感を覚えながら、タマが用意してくれたリュックから寝袋を用意して、ヘルメットを脱いで中に入った。
──明日ちゃんと返そう。
そう誓って眠りについた。




