8話
↓1話
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夜が明け、朝食を食べた僕達はセクターの外に向かった。
出入り口を出た先でタマが僕にリュックを差し出した。
「旅に必要そうな物を見繕って用意しました。昨日ご用意出来なかったお菓子も入れておきました」
そう言うと更に僕に近づき、
「フリスビーも入れておきました」
と耳打ちした。
僕は苦笑いで
「ありがとう」
と軽く頭を下げた。
タマは少し寂しげな表情をしながら数歩下がり、大袈裟に腕を広げた。
「ルカ君はいつでもウェルカムです。何かあったら…何もなくてもこのワンダフル・キャッツ・タウンに"帰ってきて"いいですからね」
いつもの芝居がかった声だった。
そして真面目な顔でライカとクロエに視線を移す。
「ライカさん、クロエさん、ルカ君を頼みましたよ。お二人もどうかご無事で」
ライカは、『言われなくても』とでも言いたげに、やれやれと肩をすくめた。
「勿論デス」
迷いのない即答に、クロエの姿が何故だか頼もしく見えた。
僕達はもう一度お礼を言うと、タマに背を向けて歩き出した。
「どんな時でもワタクシはルカ君の味方ですからね」
タマの張り上げた声が僕の背中に響く。
僕は振り返って手を振った。
手を振りかえすタマに名残惜しさを感じながらも僕は前を向いて砂の大地を踏みしめた。
昼間は常に陽炎が揺らぐような暑さでも、日が落ちれば気温は下がる。
今日は風が強いから余計に寒く感じる。
周りは砂だらけで、風が吹くたびに巻き上げられた砂が体に当たる。
視界も悪いからか、ライカが僕の手を握る。
触れる毛並みの温かみが、冷たい空気を少し和らげてくれたような気がした。
そんな環境だと、いくら空を覆うように輝く星が綺麗でも、その下で寝る訳にはいかない。
起きたら砂の中なんてことにならない保証はないからだ。
崩れた建物はいくらでもあるけど、この砂嵐から身を隠すには心許ないものばかりだった。
いくつもの廃墟を見送り、歩き疲れて足が棒にでもなったんじゃないかと思った頃、クロエが一つの廃墟に合格を下す。
「崩レル可能性モ低イデス。今日ハココデ休ミマショウ」
廃墟に入っていくライカにも少し疲れの色が出ていた。
廃墟の中には先客がいた。
そのキツネのような獣人は、一瞬だけ驚いた表情を見せた。
「いらっしゃいませ」
元気よく発された声が廃墟の壁に反射する。
彼は、呆気に取られた僕達にお構いなしに捲し立てる。
「へへ〜、坊ちゃんに姉さんにロボットですかい」
値踏みするような視線が刺さる。
「いや、皆まで言わんともわかります。旅、してるんでしょ?あっし旅の商人ですんで」
揉み手をしながら近づいてくる。
「さあさ、入って入って。寒かったでしょ?そこの火にあたって」
僕とライカは手を引かれ焚き火へと誘導された。
「温まったら品物の方も見てってくだせえ」
こうして僕らは廃墟の中に招き入れられた。




