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10話

↓1話

https://ncode.syosetu.com/n2867mv/1/

「──ちょ─────す──だ──せ」

何かエキノの声が聞こえる気がするけど、歩き疲れた僕の体は再び意識を手放した。


朝起きるとそこには異様な光景が広がっていた。

クロエが伸ばした腕でエキノを雁字搦めにして拘束していた。

拘束されたエキノの口には布が詰められていて、何か訴えるようにフガフガ言っているが、何を言っているかはわからなかった。

「え、クロエ何してるの!?」

「ルカ、オハヨウゴザイマス。見テノ通リ拘束シテイマス」

──その理由を聞きたいんだけど…。

少し遅れてライカも目を覚ました。

ライカは欠伸しながら、この異様な光景を当たり前のように受け入れていた。

「おはよ。ま、案の定って感じだね」

「おはよう、ライカ。案の定ってなに!?早くクロエ止めないと」

「大方、盗みでも働こうとしたんでしょ。大それた事できるようには見えないし」

そうライカが答えると、クロエが壁に向かって顔から光を照射した。

すると壁に昨夜のものと思われる映像が映し出された。

赤外線カメラで撮ったのであろう緑がかったような映像には、エキノが僕の荷物を漁ろうと触れた直後にクロエに拘束される様がハッキリと見てとれた。

エキノが拘束されていることには納得がいった、けれどまた次の疑問が湧いてくる。

「ライカはなんでエキノが怪しいと思ってたの?」

「ん〜、そもそも殆ど人がいない地上で商人ってのもね」

ライカは平然とした態度だった。

言われてみれば確かにそうだ。

「クロエもわかってたんでしょ?だから、わざわざディスプレイ暗くしてスリープしてるフリなんてした」

「流石ライカ、ヨクワカッテマスネ」

僕達のやり取りを聞いていたエキノが、やっとの思いで口の詰め物を吐き出すと、クロエを

「ハメやがったな、人でなし」

と罵った。

クロエはすかさず

「機械デスノデ」

と返した。


──困った。ヘルメットを返せるような空気ではなくなった。

僕がヘルメットを手に立ち尽くしていると、ライカが近づいてきた。

「そのヘルメットがどうかしたの?」

「ん、返そうと思ってたんだけど…。う〜ん、どうしよう」

ライカはエキノの荷物を漁り、ロープを持ってくるとそれでエキノを縛りながら僕に話す。

「別にいいんじゃない?どうせ盗品だろうし」

「………でも」

縛られていくエキノを抑えながらクロエもライカに同意する。

「ヘルメットガアルダケデ生存確率ハ上ガリマス」

さっきから黙っているエキノに視線を向ける。

心なしか仄かにニヤけているように見える。

『盗品じゃない』とでも言ってくれればと思ったけど、こんな状況じゃ会話に入ってこないだろう。

──それに、まあ、盗品なんだろうな。

エキノを縛り終えたライカが立ち上がり、「じゃあこうしよう」と提案する。

「そのヘルメットはひとまず借りて、元の持ち主が見つかったら返すか、物々交換ってことでなんかあげる」

ライカは名案だと言わんばかりにウンウンと頷きながら、

「これでいいでしょ」

と僕に言う。

僕は対案も浮かばないし、ライカの意見を受け入れた。


その後、エキノの処遇は、盗品諸共Neighborに任せることになった。

身柄引き渡しのため、とりあえず近くのセクターを目指すべく僕たちは廃墟を出た。

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