11話
↓1話
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刺すような陽射しが容赦なく降り注ぐ。
そんな陽射しも頭に被ったヘルメットのお陰で、昨日までよりは少しだけマシに思えた。
肘から上を体に、両手首を縛られ、そこから伸びたロープをライカに引かれたエキノは時折目を細めて辺りを見回していた。
暫く歩いた後、休憩することになった。
クロエは以前にも見たように、頭からプレートを出して充電し始めた。
ライカは火を起こし、鍋を出しスープを作り出していた。
すると、適当な瓦礫に繋がれたエキノがコソコソと話しかけてくる。
「坊ちゃん、あっし目がねぇ悪いんですよ。碌に見えてないのに外歩くなんて怖くて怖くて。お願いですから、リュックからメガネ取ってくれませんか。横のポケットに入ってんで」
──なるほど、キョロキョロしてたのは目が悪いからだったのか。
流石に、あまり見えてない状況で外を歩くのは可哀想だと思い、僕はエキノにメガネを取ってあげることにした。
エキノの荷物はクロエが運んでいた。
充電しているクロエの背中から伸びたロープは、ソリに続いており荷物はそこに乗せられている。
エキノの言う通り、メガネはリュックのポケットに入っていた。
ポケットからメガネを取るとエキノに渡す。
横を通ってもクロエは特に反応しなかった。
太陽が真上に昇った頃、ライカが調理を終えてレーションとスープを持ってきた。
レーションは相変わらずだけど、スープは野菜だけじゃなく魚も入っていて濃厚な味がした。
タマのセクターでもらった魚の干物を使ったらしい。
ライカが作ったスープは2人分だけだった。
その事について聞くと、ライカは
「食料は私達の分しかないしね。まあ、多少は余裕あるけど、相手が盗人だと…ね」
と言って、エキノの荷物からレーションを取り出してエキノに渡した。
エキノは
「あんまりですぜ、姉さん…」
と呟くとそっぽを向いて食べ始めた。
──拗ねちゃった、それに思いっきり日に当たってるけど暑くないのかな?
食事を終え一服していると、エキノが僕を呼んだ。
「坊ちゃん、あっしのリュックから水取ってくれませんか。レーションは口パサパサして適いませんわ」
──確かに水無しでレーションを食べるのはキツイ。
そう思ってエキノに水を渡した。
次の瞬間、僕はエキノに拘束されていた。
──えっ!?なに?どうして?
突然の事でパニックになる。
ライカも最初は目を丸くしていたが、すぐに敵意を剥き出しにした顔になった。
クロエはプレートを仕舞ってこちらを向く。
そんな2人に向かってエキノがドスの効いた声を出しはじめた。
「小僧殺されたくなかったら、動くんじゃねえぞ!!」
2人が固まる。
「いいぞ、じゃあ姉さん荷物をこっち投げろ。優しくだぞ、おかしなマネしたら小僧の首折るからな」
ライカが恐る恐る荷物を投げる。
「よし、そのまま15分動くなよ。15分たったら小僧解放してやる。その前に動いたら…わかるよな」
2人はお互いに目線を投げ合って、そのままゆっくりと頷いた。
エキノはリュックを背負うと、僕の手を引き走り出す。
2人からだいぶ離れると、徐々にスピードは落ちていき、エキノが息を切らせながら話し出す。
「坊ちゃんのお陰で逃げ出せましたわ」
話し方はさっきのドスの効いた声から戻っていた。
「驚いたでしょ、潜った修羅場の数が違いますからね。これくらいの事は朝飯前ですよ」
エキノは1人気持ちよくなって、僕にはお構いなしに話を続ける。
「姉さんは、ありゃ〜ダメですね。腕っぷしは立つんでしょうが、実践経験が浅すぎる。ロボも似たようなもんでさ」
僕も緊張がほぐれ、疑問を一つ口にする。
「どうやって、ロープを解いたの?」
エキノは懐からメガネを取り出して、それを振りながら
「これですよ。レンズで太陽光を集めてロープを焼いたんですわ。手首のを焼き切れればあとは…」
そこまで言うと、口の中に手を入れ糸のような何かを手繰り寄せだした。
口から出てきたのは布に包まれた小さな刃物だった。
「これで残りも切る」
軽く刃物を振るジェスチャーをする。
「拘束した時に口の中も調べないってのは、まあド素人ですわな」
エキノは僕に見せた刃物を再び飲み込むと、時間を確認し
「坊ちゃんはここで解放です。ああ、今は追いかけない方がお互いのためだと思いますぜ。あの2人じゃあ、あっしをNeighborまで連れていけないでしょうし」
そう言うと、手を振りながら
「二度と会わないよう願っときますわ」
と吐き捨てて、再び走って行ってしまった。
僕はエキノに背を向けると休憩していた方へ歩き出した。
5分ほどで走ってきたライカとクロエに合流できた。
僕を抱きしめたライカの目には涙が浮かんでいた。




