6話
↓1話
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レクリエーションルームまではまだ少し距離があるようだった。
僕の顔に先ほどの話を聞いて湧き出した不安が出ていたのか、タマは笑顔で大袈裟な身振り手振りをしながら色々な話をしてくれた。
ワンダフル・キャッツ・タウンの拡張の事、最近近くにある放棄されたセクターの調査をしている事、そのセクターをなんとか第二のワンダフル・キャッツ・タウンにできないか画策している事、セクター内には至る所に目立たないようにカメラが設置されていてNeighborはそのカメラでセクター内の様子を見ている事。
タマは別に僕を元気付けようとしていた訳ではなかったのかも知れない。
だけどタマの演技がかった話し方に僕も思わず笑みがこぼれた時、タマは顔を紅潮させながら
「さあ、着きましたよ。ここがレクリエーションルームです。嗚呼、ワタクシもう楽しみで楽しみで」
と言って扉に手をかけた。
「ルカ、好きな食べ物とかある?」
集めてきた食料を袋に詰めながら話しかけたが返事はなかった。
辺りを見渡す。
ルカの姿は見当たらなかった。
タマもいない。
──やられた、あの変態野郎め!!
すぐに駆け出す。
──大丈夫、落ち着いて、ルカの匂いは覚えてる、落ち着いて、落ち着いて、匂いを辿って。
急ぐ。
匂いが薄れてしまう前に。
すれ違う獣人達が邪魔だ。
匂いを見失わないように。
どれだけ走ったか、気づけば目の前に扉があった。
ルカの匂いはこの扉の向こうに続いている。
私は息を整えると扉を開けた。
広い部屋の中には予想だにもしなかった光景が広がっていた。
ルカが棒を振り回すと、棒の先から伸びた紐を猫獣人達が四つん這いになって追いかける。
その中で一際目立つように動いていたのがタマだった。
「ああっ、楽しいニャン。満たされるニャン。純人類最高だニャ〜ン」
気持ち悪い声に吐き気を覚えながらルカに駆け寄り抱きしめる。
「ルカ!!大丈夫だった?この変態に何された?」
ルカは何か悟ったような顔をしていた。
「ライカ、大人って大変なんだね。ライカも遊びたくなったらいつでも僕に言ってね」
静かに立ち上がったタマが会話に入ってくる。
「ふぅ、思った通り純人類と遊ぶのは一味違いますね。おや、ライカさんも遊びに来たんですか?」
私はタマを睨みつける。
「そんなに睨まないでくださいよ。黙ってルカ君を連れて行ったのは悪いと思ってます」
ルカもバツが悪そうに謝る。
「ごめんなさい…。勝手にいなくなったりして」
私は緊張の糸が切れ身体から力が抜けてへたり込む。
「ううん、よかった、ルカが無事で」
ルカから身体を離す。
そんな私にタマが近づいてきた。
「こうして策を弄したのにも理由があるのです」
そう言うと、いつものように演技がかった語りを始めた。
「ワタクシ達は猫獣人。これは、その猫の部分に刻まれた本能なのです。猫は人間に寄り添い共に生きるように進化してきた生き物です。そう、人間に遊んでもらう喜びも本能に刻まれているのです。ええ、ワタクシも猫獣人同士で遊んだりもしました。しかし、どこか満たされきらない渇きが残るのです。きっとこの渇きを満たせるのは純人類だけなんだと仮説を立てました。そんなところに現れたのがルカ君です。後は見ての通りです」
長々と話したタマが傍らから何かを取り出す。
実際に手に取った事はなかったけれど本能がそれを知っていた。
──ああ、フリスビーだ。
タマは私に向かって
「犬も猫と同じです。人間に寄り添い共に生きるよう進化しました。さあ、ライカさんも遊びましょう」
と言うとルカにフリスビーの投げ方を教えてそのまま投げさせた。
私は本能に身を任せた。




