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3話

↓1話

https://ncode.syosetu.com/n2867mv/1/

行き先も決まり、僕たちは歩き出した。

猫獣人のセクターと僕のいたセクターの方向は概ね同じで、ちょっとした寄り道くらいの感覚で行けるみたいだ。

僕は歩きながら、気になっていたことを投げかける。

「ねえクロエ、ルカ様って言うのやめてほしいんだ。様付けはなんか落ち着かない」

「ルカ様ニハ、様付ケサレルダケノ価値ガアルノデス。デスガ嫌ダト言ウノナラ今後ハ『ルカ』ト呼バセテイタダキマス」

──僕にどんな価値があるかわからないけど、様付けを辞めてくれるみたいだし、いいか。

その後もしばらく歩いていると、ライカが立ち止まった。

「着いたよ」

そう言いながら指した指の先には、金属製の扉と監視カメラがあった。

ライカとクロエは扉の前に立つと、カメラに向かって手を振った。

「ルカ、気をつけてね。ここのセクターの長なんか変な奴だから」

ライカが扉から少し離れて僕を見る。

「彼ハ猫獣人トシテ可笑シナ所ナンテアリマセンヨ」

クロエはその場でクルクル回りながら反論した。

すると扉が少しずつ開き、思わず身構えた僕に向かって大きめな影が迫ってきた。

「よくぞおいで下さいましたニャン。おやおや?そちらの少年は初めましてかニャン?ワタクシ『タマ』と申しますニャン。このセクターの長をやらせていただいていますニャン。ワタクシのことは『タマ』でも『ボス』でも好きなようにお呼びくださいニャン」

中年と思われる男性は困惑する僕の手をとる。

即座にタマの手が払われる。

「その話し方やめてよ。気持ち悪い」

ライカがタマに冷たい視線を向けていた。

「最初の印象って大事でしょう?ワタクシ猫獣人ですのでちゃ〜んと知ってもらわなければ」

タマは悪びれることなく仰々しくお辞儀した。

ライカの顔は見るからにイライラしていた。

「Neighborトノ同期ト、食料ヲ少シ頂キタイノデスガ」

クロエのマイペースさも時にはありがたい。

「ええ、大丈夫です。さあさ、どうぞ中へ」

タマはそう言って僕たちを扉の中へ入るよう促した。

扉の先は長い階段だった。

「Neighborはあなた方がカメラに映ってから思考タイムに入りました。珍しいですよ、普段は一瞬ですので」

タマが薄暗い階段を先導する。

長い階段を降りた先には、重厚そうな金属製の扉が待っていた。

「ところでそちらの少年は何とお呼びすればいいですか?」

ドアノブを握りながらタマが笑顔で振り向いた。

僕はタマの自由奔放さに呆気に取られながらも名前を告げ、初めて生まれ育った場所以外のセクターに足を踏み入れたのだった。

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