3話
↓1話
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行き先も決まり、僕たちは歩き出した。
猫獣人のセクターと僕のいたセクターの方向は概ね同じで、ちょっとした寄り道くらいの感覚で行けるみたいだ。
僕は歩きながら、気になっていたことを投げかける。
「ねえクロエ、ルカ様って言うのやめてほしいんだ。様付けはなんか落ち着かない」
「ルカ様ニハ、様付ケサレルダケノ価値ガアルノデス。デスガ嫌ダト言ウノナラ今後ハ『ルカ』ト呼バセテイタダキマス」
──僕にどんな価値があるかわからないけど、様付けを辞めてくれるみたいだし、いいか。
その後もしばらく歩いていると、ライカが立ち止まった。
「着いたよ」
そう言いながら指した指の先には、金属製の扉と監視カメラがあった。
ライカとクロエは扉の前に立つと、カメラに向かって手を振った。
「ルカ、気をつけてね。ここのセクターの長なんか変な奴だから」
ライカが扉から少し離れて僕を見る。
「彼ハ猫獣人トシテ可笑シナ所ナンテアリマセンヨ」
クロエはその場でクルクル回りながら反論した。
すると扉が少しずつ開き、思わず身構えた僕に向かって大きめな影が迫ってきた。
「よくぞおいで下さいましたニャン。おやおや?そちらの少年は初めましてかニャン?ワタクシ『タマ』と申しますニャン。このセクターの長をやらせていただいていますニャン。ワタクシのことは『タマ』でも『ボス』でも好きなようにお呼びくださいニャン」
中年と思われる男性は困惑する僕の手をとる。
即座にタマの手が払われる。
「その話し方やめてよ。気持ち悪い」
ライカがタマに冷たい視線を向けていた。
「最初の印象って大事でしょう?ワタクシ猫獣人ですのでちゃ〜んと知ってもらわなければ」
タマは悪びれることなく仰々しくお辞儀した。
ライカの顔は見るからにイライラしていた。
「Neighborトノ同期ト、食料ヲ少シ頂キタイノデスガ」
クロエのマイペースさも時にはありがたい。
「ええ、大丈夫です。さあさ、どうぞ中へ」
タマはそう言って僕たちを扉の中へ入るよう促した。
扉の先は長い階段だった。
「Neighborはあなた方がカメラに映ってから思考タイムに入りました。珍しいですよ、普段は一瞬ですので」
タマが薄暗い階段を先導する。
長い階段を降りた先には、重厚そうな金属製の扉が待っていた。
「ところでそちらの少年は何とお呼びすればいいですか?」
ドアノブを握りながらタマが笑顔で振り向いた。
僕はタマの自由奔放さに呆気に取られながらも名前を告げ、初めて生まれ育った場所以外のセクターに足を踏み入れたのだった。




