14話
↓1話
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足首を掴まれ、水中に引きずり込まれる。
明らかに湖の底より深く引き込まれている。
恐る恐る目を開ける。
滲んだ視界には、斜め上から降り注ぐ太陽光を遮るように壁が円形に広がっていた。
徐々に光が小さくなっていく。
僕は引かれている足に視線を移すと、そこには足を掴む人の手と華麗に泳ぐ魚の尾鰭があった。
──息苦しくなってきた、早く水面に出ないと。
掴まれていない方の足で、相手の腕を蹴るも、勢いは水の抵抗を受け、思うように相手にダメージを与えることはできなかった。
それでも相手には鬱陶しかったのか、足を掴む手に込められた力が強くなった。
僕は痛みに思わず口を開けてしまった。
なけなしの酸素が口から泡となって漏れる。
──もうダメだ、意識が……。
薄れゆく視界に最後に映ったのは、さっき見た整った顔だった。
ガヤガヤと賑やかな声が聞こえる。
微かに何かが胸に触れている感触がする。
次の瞬間それは衝撃に変わった。
「ガハっ……ゴホっゴホ」
水を吐き出すも、気管に入った水に咽せる。
体はなんとか動く、ゆっくりと目を開けるとそこには、僕の胸に手を当ててもう1人と何か言い争う人魚と遠巻きに僕を見てはコソコソと話す数人の人魚がいた。
「目を覚ましたか、良かった」
背中をさすりながらそう言った声は、湖で聞いた歌声よりも低いけれど、透き通るように聞こえる女性の声だった。
ようやく咳は止まり、肩で息をしながら身体を起こす。
辺りを見渡すと、どこか均整のとれた岩壁に囲まれた空間になっていた。
岩壁に取り付けられた灯りに照らされた一部屋分ほどの地面。
その前後には水面が広がっていた。
「すまない、このバカが君を無理矢理連れてきてしまった。族長として皆を代表してお詫び申し上げる」
背中をさすっていた女性がそう言うと、隣にいた女性にも謝るように促す。
「ごめんごめん、いや〜まさか水中で呼吸できないとは思わなくて。マジごめんね」
軽いノリで謝る少女は、湖で見た、僕を水中へ引きずり込んだ、整った顔の人影だった。
息も整ってきたから、当然の疑問を口にする。
「……ここは…どこ?」
声は掠れていた。
さっき族長と言っていた女性が立ち上がって答える。
「大丈夫、ちゃんと1から10まで説明する。まずは自己紹介からだ。私はロンド、族長だ」
「よろしく……お願い…します。……ロンドさん」
なんとか声を出す。
しばらく大きな声は出せそうにない。
「で、君を連れてきたこのバカはアリア」
ロンドがアリアの背中を叩く。
「アリアでーす。よろしく〜、君はなんていうの?」
「…ルカって…いいます。……よろしく…お願いします」
「ルカくんね、じゃあ、早速子供作ろっか」
「……は?」
──は?この人はいきなり何を言ってるんだ?
そう思っている束の間、ロンドがアリアの頭を思いっきりはたいていた。
僕の頭は真っ白になった。




