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第30話 変態メイド空撮

【過去作・他連載のお知らせ】


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『中華風異世界で目覚めたら、自作一族の少年だった』

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▼異世界転移・元おじさんの善行旅(不定期連載中)

『お人好し主任の異世界善行旅 〜神様から授かったチート能力で、 魔界・人界・天界のあらゆる種族と目の前で困っている者すべてを救い尽くします』

https://ncode.syosetu.com/n5811mi/

◇巡行一日目


 俺は空から、ライルお坊ちゃまとグラブトの会話を拾っていた。


(緊張しながら大人びて喋ろうとするライルお坊ちゃま……かわいい)


「グラブト、今回の編成と旅程はどうなっている?」


「ライルお坊ちゃ……失礼しました。

 若君。編成は騎馬戦闘員が十八名、側近が六名、

 後方支援・輜重隊が六名ですな。

 旅程は十三泊十四日。第一荘園から第五荘園までを巡行いたします」


「わかった。指揮は任せる。頼んだぞ、グラブト」


「はい、若君。

 この老骨にお任せください」


(……一日あたり二十〜二十五キロほどを馬で進む計算か。

 初日はお屋敷を出て、第一荘園の館までだな)


「若君、領民が見送っています。

 手を振ってあげてください」


 ライルお坊ちゃまが、ぎこちなくグラブトの助言に倣う。


「こ、こうか?」


「はい。お見事でございます」


(なるほど……エルヤ家、つまりケイン様の統治は仁政のようだ。

 領民がライルお坊ちゃまに向ける表情は笑顔だ。

 例外も何人かはいるが、それはどこにでもある程度だな)


◇巡行二日目


「若君、おはようございます。

 荘園のマナーハウスでは眠れましたかな?」


「あぁ……うん」


「ふむ。料理人から、昨夜も今朝も食があまり進まなかったと聞いております。

 お屋敷の贅沢に慣れ過ぎておりますな」


「そうかも……しれないな」


(あぁ……手厚い歓迎の宴が催されたのだろうが、

 俺が改善する前の食事では、口に合わなかっただろうな)


「今日は農村や水車小屋の視察だったか?」


「左様でございます。

 領民の暮らしを知る事も、領主一族の務めでございますれば」


◇巡行四日目


 ライルお坊ちゃまのお顔が少し険しい。

 長旅の疲れも出ているのだろうが……


「グラブト、第二荘園の館の到着はまだかかるか?」


「あと半分、といったところですな。

 そろそろ長時間の乗馬でお尻が痛くなってきたでしょう?」


「そ、そんなことはない」


「隠さなくても結構です。

 儂も若いころは尻の皮がよく捲れたものです。

 今はすっかり硬くなって、この通り平気になりましたがな」


「……正直、大分痛い……」


「はっはっはっ、でしょうな。

 とはいえ、第二荘園では若君には

 代官から地域の収穫報告を受け、

 サイン(花押)していただく必要がございます」


「……程々で頼む……」


 俺がライルお坊ちゃまの辛そうなお顔に

 心を痛めていると、ヒュアデスから通信が入る。


『ヒュアデス、どうかしましたか?

 陸上養殖で何か問題でも?』


「いえ、そちらは順調に事を運んでいます。

 質問があって……」


『何ですか?』


『はい。お姉さまなら、そもそも巡行が

 必要のない体制にすることもできるのでは?

 お姉さまが居れば、反乱や横領も未然に防げますよね』


「なるほど。それなら話は簡単です。

 いいですか、ヒュアデス。


 私はライルお坊ちゃまを、

 自分一人では何も出来ない無能にしたいのではありません。


 領主として完璧にこなせる一人前の──

 それこそ誰の助けも要らないような立派な人間が、

 私には依存して甘えるようにする事が望みなのです」


『なるほど、流石はお姉さまです!

 清々しいほどに屈折していますね!』


「あなたにそれを言われるのは釈然としませんが……

 わかったなら、作業に戻りなさい」


『はい! 承知しました!』


 そしてヒュアデスとの通信が切れた。


「うふ……うふふふ、ぐふふ……」


 おっと、いけない。

 つい、青年になったライルお坊ちゃまが

 毅然とお仕事を終えた後、

 私の前で甘える姿を想像してしまった。


 俺は空から、

 ライルお坊ちゃまのご様子を観察しながら、

 心から声援を送るのであった。


(頑張ってくださいませ。

 お屋敷に戻られましたら、全力で癒して差し上げます)


 そう、静かに心に決めながら。

最後までお読みいただきありがとうございました。


本作はプロットなしのライブ感で、毎日コツコツ書き進めております。

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