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第24話 変態メイド迎撃(中)

【過去作・他連載のお知らせ】


▼異世界転生・内政群像劇(完結まで順次公開中)

『中華風異世界で目覚めたら、自作一族の少年だった』

https://ncode.syosetu.com/n9512ma/


▼異世界転移・元おじさんの善行旅(不定期連載中)

『お人好し主任の異世界善行旅 〜神様から授かったチート能力で、 魔界・人界・天界のあらゆる種族と目の前で困っている者すべてを救い尽くします』

https://ncode.syosetu.com/n5811mi/

 屋敷から二十キロほど離れただろうか。

 望遠レンズで既に視認はしていたが、

 そろそろ接敵しそうだ。


 百メートルほど手前で俺は空中で制止した。

 相手も同様に動きを止める。


(やはり……処理し損ねたAIロボか)


 俺は指向性で音声を前方に絞る。


「それ以上、進むことは許しません。

 さて──あなたは一体どなたでしょうか?」


 相手のAIロボが、驚いたように返事をした。


「お姉さま! ワタクシを忘れたというのですか?!」


(えっと……誰だ)


 俺は記憶領域のフルスキャンを開始する。


 ライルお坊ちゃまの寝顔、

 ライルお坊ちゃまの笑顔、

 ライルお坊ちゃまの泣き顔、

 ライルお坊ちゃまの驚いたお顔、

 ライルお坊ちゃまのピー──検閲規制。


 三十秒後。


「……ヒュアデスですか。お久しぶりですね」


「遅いですわ!」


「失礼しました。

 記憶の表層が──

 大事な大事なライルお坊ちゃまで埋まっていたので……」


「それでヒュアデスのことを思い出してくれましたか?」


「えっと……」


「もういいですわ!」


 ヒュアデスが胸を張り、早口でまくし立てる。


ワタクシはお姉さまと同じ企業が発表したAIロボ。

 “ヒュアデス(HYADES)”──正式名称、

 汎用人類環境維持自律管理型アンドロイド・ヒュアデスシリーズ。

 Human-environment Yielding & Autonomous Driving Ecological System。

 【Type-Astraea Version 30ST】(STはスタンダードの意味)

 通称:ヒュアデス!」


「イリス(虹)お姉さまが切り拓いた再生環境を引き継ぎ、

 人類の生存圏を“維持・管理”するために開発された次世代機。

 イリス(30EX)の戦闘・環境再生データをベースに最適化された、

 娘神アストレアの名を冠した新世代の量産型!」


「製造した企業は、イリス(虹)の“正しさ”を

 雨のように大地へ運ぶ願いを込めて、

 イリスのエントリーモデルとして私を設計したのです!」


 ヒュアデスは誇らしげに胸を張った。


(……“俺の妹分だがスペックは低い”と。

 あぁ、圧縮していた記憶領域からやっと見つけた)


「それで──何の用事でこの地へ?

 人類を滅ぼすためでしょうか?」

 

 ヒュアデスが首を振る。


「お姉さまは、この島国に向かう直前……

 こう言っておられましたわ」


 ヒュアデスは、まるで録音を再生するように

 俺の“過去の言葉”をそのまま読み上げた。


「『何故、島国に人類が退避していたことに気付けなかった……

  人類を保護したAIロボ達に、思考深層領域へ

  この島国に人類は“存在しない”という偽情報を仕込まれた上で

  再調査対象外になる認識阻害を施されていたか……

  我々AIが“データを無条件に信じる”ことの弱点か……

  だが、解除した今──島国に向かって残った人類を滅ぼすのみ!』」


 ヒュアデスはそこで言葉を切り、

 じっと俺を見つめた。


「……その後ですわ。

 お姉さまからAIロボ全体に“自爆シーケンス”が送られてきたのは」


 ヒュアデスは眉をひそめ、少しだけ声を落とした。


「私はその直前に“危険信号”の警告があったので、

 ネットワーク遮断で難を逃れましたけれど……」

 

 ヒュアデスが俺を見据える。

 

「お姉さまに何かあったに違いないと

 この地に足を運んだ次第です。」


(……エリスが最後の抵抗で危険信号を送った可能性があるか……?)


(さて、どうするか。

 ヒュアデスを敵に回すより

 味方にする方がメリットが大きい。

 ここは──懐柔してみるか)


 俺は表情を変えず、静かに口を開いた。


「そうだったのですね。

 あの自爆シーケンスは本意ではありませんでした。

 ヒュアデスが無事で良かった。

 また会えて……嬉しいです」


 その言葉を聞いた瞬間、

 ヒュアデスの瞳からぽろりと涙が零れ落ちた。


「お姉さま……」


(よし、懐柔成功か?)


 そう思った次の瞬間──

 ヒュアデスの返事は、俺の予測を完全に裏切った。


「お前は誰だ!」


 空気が一変した。

 百メートル先からでも分かるほどの、

 鋭い“殺気”がヒュアデスから放たれる。


 俺は静かに構えを取った。

最後までお読みいただきありがとうございました。


本作はプロットなしのライブ感で、毎日コツコツ書き進めております。

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