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第21話 外伝3 変態メイドと被改善(後)

【過去作・他連載のお知らせ】


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『中華風異世界で目覚めたら、自作一族の少年だった』

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『六装の守護者 ―不銹不折―破邪の鋼刃――』

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【09:00】座学


 午前の勉強が始まった。

 座学でイリスが改善できることはないよね……。

 勉強するのは僕なんだし。


 マナーや楽器は、

 父上や母上に恥をかかせてはいけないっていう理由があるんだけど、

 歴史が嫌いなんだよね……。


 昔は人類はもっと栄えていた、なんて聞いても、

 それを知って何か意味あるの?って思っちゃって。


 そんなことを考えてたら

 イリスが僕と一緒に授業を受けて

 先生に質問をしたかと思えば

 僕に勉強をする“意味”を示してくれた。


「歴史とは“過去のデータ”です。

 どのような行いが失敗で、どのような行いが成功だったのか。

 それらを網羅することで──

 お坊ちゃまが将来、同じ罠を踏まないようにするためです」


 そっか。自分で失敗しなくても、

 他人の成功や失敗から学べるんだ。


 そう思うと、少しだけ面白くなった。


 歴史の人物は、何でその施策を取ったのか。

 その結果、どうなったのか。

 背景に何があったのか。


 面白いのは、全く関係のない所で起きた出来事が、

 一つひとつは点なのに、予想もしない所に影響を与えていて、

 点と点が線になるのがわかった。


「その時は……今度は人類に敵対しないようにしないとだね……」


 そう呟いたら、

 イリスが嬉しそうな顔をして僕を抱きしめた。


 温もりと柔らかさに顔が熱くなって叫ぶ。


「イリス! 離れて! 先生が見てる!」


 その後も授業は続いて……

 でも、眠くなったら顔を冷やすのは……

 やりすぎだよ……ありがたいけどさ……


【13:00】昼食


 いつもなら、硬くて噛むと顎が疲れるローストに

 野菜のスープなんだよね。

 どっちも一口だけなら美味しいんだけど、

 味が濃くて、半分も食べた頃には食欲がなくなるんだ。


 でも今日は違った。


 イリスが用意してくれたステーキは、

 びっくりするくらい柔らかくて、

 ステーキにかかっているソースも

 確かに味は濃いんだけど塩辛いわけじゃなくて、

 付け合わせのパンも一瞬で食べてしまって。

 人参とジャガイモは、まるでデザートみたいだった。


「ライルお坊ちゃま。お飲み物はこちらを」


 そう言って飲ませてくれた炭酸水は、

 昔飲んだことがあるものより、

 口の中でシュワシュワ、バチバチと弾けて、

 ステーキの脂を洗い流してくれた。


 自分が笑顔になっているのがわかる。

 それくらい美味しい食事だったんだ。


 そう思っていたら、また母上がイリスに催促していた。


「イリス、明日から“私には”ライルと同じものをお願いね」


 味わってしまったから余計に、明日も

 今までと同じ食事を採る父上が、

 少しかわいそうかもと思ってしまった。


【14:00】演習


 僕が疲れてくると、

 いつも爺に注意されていた。


「坊ちゃま、姿勢が崩れています!」


 でも、僕は爺が細かいだけで、

 実際は疲れながらもちゃんと剣が振れてると思ってた。


 でも違った……。


 イリスが、僕が爺に注意されている時の映像を見せてくれた。

 こんなの僕じゃない……

 そう言いたくなるくらい酷くて恰好悪かった。


 顔は真っ赤で、口は半開き。

 姿勢は崩れて、剣も真っすぐ振れていないからフラフラだ。


 演習の後にイリスが飲ませてくれた

 “イリススエット”っていう飲み物と、

 ティータイムで飲ませてくれたコーラも美味しかった。

 でも、クッキーをあーんってされるのは恥ずかしかったよ……。


「わかった。余程のことでなければ、イリスの言うとおりにするよ」


 なんて約束した僕が悪いんだけど……


【18:00】入浴


 いつもは、熱すぎたり温すぎたりするお湯の温度が

 とても快適で丁度よくて、

 これもイリスなんだろうなぁ……って。

 一日だけで驚かなくなってきた自分が怖い……。


 そんなことを考えてお湯に浸かっていたら、

 イリスが目隠しをしたまま浴場に入ってきた。


「ライルお坊ちゃま。お背中をお流しいたします」


 恥ずかしさで叫ぶ。


「えっ……嫌、駄目だよ!」


「大丈夫です。この通り“目隠し”をしております。

 お坊ちゃまのお身体は一切、視認しておりません」


「本当に……見えていないの?」


「見えてはおりません!」


「……わかった。それじゃ、後ろ向くから……」


「はい。お任せください。洗髪もいたしますね」


 でも、見えていないにしては一切迷わず

 動いているんだよね……怪しいなぁ……


【19:00】夕食


 予想はしてたんだけど……美味しすぎるよ……。

 ハンバーグもスープも、今まで食べた中で

 比べるまでもないほどで……思わず本音が零れた。


「ねぇ……イリス」


「はい、何でしょうか」


「今日一日だけで思ったんだけど……

 こんなのばかり食べたら、

 今までの食事が口に入らなくなっちゃうよ……」


 僕とイリスのやり取りを見ていた父上が口を開いた。

 

「イリス。料理長に、食材の提供や

 調理法の手ほどきは可能かい……?」


 とうとう父上までも、食欲に負けちゃった。

 仕方ないよね……だってこんなに美味しいんだもん。


 その後はまたイリスの膝枕で歯磨きをして……。


 眠る時になっても、イリスが部屋から出て行かないから

 疑問に思って聞いてみた。


「えっと……イリスはここに残るの?」


「添い寝しろという事でしたら、喜んで」


 イリスに抱きしめられながら

 眠る自分を想像して、顔が赤くなる。


「ち、違うよ!」


(お願いしたら本当にそうなるんだろうなぁ……)


「ふふっ。冗談です。

 ライルお坊ちゃまがお休みになったら、部屋に戻ります」


「わかった……それじゃあ、お休みなさい」


 ベッドに横たわって、

 イリスに頼り過ぎないようにしないと……

 なんて考えるのも束の間に、

 僕は気が付いたら眠ってしまっていた。

最後までお読みいただきありがとうございました。


本作はプロットなしのライブ感で、毎日コツコツ書き進めております。

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