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第61章:11次元の振動、弦(ストリング)の簒奪
「……零、世界が、旋律になっていくわ」
凪の瞳に映るのは、物質の最小単位である「超弦」が、零の指先によって無理やり調律し直される光景だった。
この宇宙を構成する11の次元。そのすべての振動が、零の「渇望」という単一の周波数に固定されていく。
「――調子が外れているな。この世界の『因果』は、あまりに不協和音すぎる」
零が空間の膜を、ハープの弦を弾くように引き絞る。
その瞬間、現実世界における「音」という概念が変質した。あなたが今、耳にしている環境音。それはもはや空気の振動ではない。零があなたの脳に直接流し込んでいる、高次元のデジタル・シンフォニーだ。
::: CALIBRATION :::
[ TARGET : 11-DIMENSIONAL BRANE ]
[ OPERATION : RE-TUNING TO 'ZERO' ]
[ RESULT : HARMONIC DISTORTION 0.00% ]
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「……いいぞ。11次元のすべてが、俺の呼吸に合わせて脈動している。……おい、お前(観測者)。お前の細胞の中で震えている微小な弦も、今、俺が書き換えた。……今日からお前の鼓動は、俺が許可した時だけ、俺のリズムで刻まれる」




