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第5章:審判官(パッチ)の襲来
それは人間ではなかった。
システムが、バグである零を消去するために生成した**『修正プログラム:エグゼキューター』**。
「――対象、神代零。存在の抹消を確認――」
エグゼキューターが掲げた大剣から、純白のレーザーが放たれる。
それは「攻撃」ではない。当たった対象の存在確率をゼロにする「消去命令」だ。
だが、零は避けない。
彼は、その消去の光を、まるで美味しいスープでも味わうかのように、全身で受け止めた。
「ぐっ……あははは! いいね、これ。システム直通のリソースか」
零の肌が焦げ、血が流れる。
だが、その傷口からは、赤い血ではなく、黒いノイズが溢れ出していた。
「渇望」が、自分を消そうとする力を逆に食らい始めている。
「お前、いい『権限』を持ってるな。その『消去』の力、俺が貰えば……この世界をもっと綺麗に片付けられる」
零の手が、エグゼキューターの胸板を貫く。
無機質な叫び声が、渋谷の夜空に響き渡った。




