第15章:定義の反乱、渋谷の膨張
零の叫びと共に、渋谷ドメインが「脈動」を始めた。
消えゆく肉体を繋ぎ止めたのは、彼自身の意志ではない。
彼がこれまで奪ってきた「何千人分の未練と欲望」だ。
零は、自分の中に蓄積された「核の熱」と「聖騎士の盾」と「削除対象のログ」を、一つの特異点へと圧縮した。
++ EMERGENCY OVERRIDE ++
++ SKILL EVOLUTION : [ CRAVINGS ] -> [ WORLD EATER (世界を喰らう者) ] ++
「――定義変更。審判官、お前の翼は『重り』だ」
零が告げた瞬間、審判官の背中の美しい翼が、突如として数万トンの鉛へと変わった。
「……!? 管理権限が……奪われた……?」
審判官が膝をつく。
零は虚無の中から、真っ黒なノイズを纏って帰還した。
その姿はもはや人間ではない。
全身から黒い雷を放ち、眼球には銀河のような情報群が渦巻く、神のなり損ない。
「審判官。お前を食えば、その『管理者権限』も俺のものになるな。そうすれば、空の向こう側の奴らとも、対等に話ができる」
零が手を伸ばす。
その瞬間、渋谷を囲んでいた黒い霧の壁が、一気に拡大を始めた。
港区、品川区、目黒区――。
東京の半分が、一瞬にして零の「胃袋」へと飲み込まれていく。
「……あは。……全部、俺のところに集まれ」
【進行度:4.2%】
【称号:『渇望』が『世界を喰らう者』へと進化】
【メタ・アラート:観測者との同期率が20%を超えました】




