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第12章:灰の王、熱を喰らう
轟音はなかった。
着弾の瞬間、渋谷の空に現れたのは「巨大な口」のような空間の歪み。
核分裂が引き起こすはずの数千万度の熱、致死量の放射線、そして全てを薙ぎ払う衝撃波。その「結果」が、零の掌一点へと収束していく。
「――美味しくないな。無駄に熱いだけで、味が薄い」
零の左腕が、熱を吸収しきれずに黒く炭化していく。
だが、彼は笑っていた。
彼の「渇望」は、自身の肉体が壊れることすら「対価」として受け入れ、ミサイルが持っていた『破壊』という定義を、自らのリソースへと強引に変換していく。
:: SYSTEM LOG ::
:: DATA CONVERSION : 98% COMPLETE ::
:: NEW ATTRIBUTE ACQUIRED : [ PROXY OF RUIN (滅びの代行者) ] ::
「これで、俺は『爆発』を所有した。……おい、空の向こうで見ている連中」
零は、もはや形を失った炭化の腕を振り上げる。
一瞬。
炭化した皮膚が剥がれ落ち、そこから現れたのは、黄金色に輝く「高密度エネルギーの義腕」だった。
「お前たちが投げたゴミは、俺が有効活用してやる。……次は、もっといいモノを寄越せ」




