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第13章:第一審判官『イレーザー』
システムの沈黙が破られた。
人類の核すら「餌」にした零に対し、システムはついに、単なるプログラムではない「意志を持つ執行者」を投下した。
ドメインの中央、スクランブル交差点に降り立ったのは、一人の美しい青年だった。
全身を純白の法衣に包み、背中には六枚の「データの翼」を持つ存在。
「――神代零。君の存在は、この宇宙の演算容量を著しく損なっている」
青年の声は、スピーカーから流れる合成音声のように感情を欠いていた。
名は『第一審判官』。
システムの管理者権限を一部委譲された、現時点での「世界最強の刺客」だ。
「俺の容量がデカすぎるっていうのか? 誉め言葉として受け取っておくよ」
「……冗談は不要だ。君の『渇望』は、このバージョン2.0における最大のバグだ。今ここで、君を構成する全ログを『初期化』する」
審判官が指を差す。
その瞬間、零の足元から「地面」という定義が消えた。
彼は重力の法則から切り離され、虚無の空間へと放り出される。




