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隣の席のオッドアイギャルは俺の心の声が聞こえるらしい  作者: 夕凪虚音
第1章 心を読む少女 ― 推し爆誕編
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第2話 なんで、私のこと覚えてないのよ

金髪のオッドアイギャルは、ゆっくりと振り返った。


その幻想めいた双眸が――まっすぐに俺を射抜く。


どうか聞こえてないでくれ。


そう心の中で土下座しながら願う。


「……今、何か言ったかしら?」


良かった。


どうやら聞こえてないみたいだ。


俺はほっと胸を撫で下ろす。


――その瞬間。


「私の聞き間違いじゃなければ、その……可愛いって聞こえたのだけど」


ほんのりと。


その頬が、わずかに赤く染まっていた。


――ちゃんと聞こえてるじゃねぇか。


(……ちくしょう!!)


(はい、可愛いって言いましたなんて言えるかよ!!)


(……実際とんでもなく可愛いけど)


(そういうの言えるのはラブコメの主人公だけって相場で決まってるんだよ!!)


(てか、この子もよく、可愛いって聞こえたとかいえるな!!どんだけハート強いの!?)


(……まぁ実際言ったんだけど)


俺は心の中で早口にまくし立てる。


この状況を何事もなかったことにする方法はないか。


必死に考えながら俯いた。


(……うん、何も思いつかない)


結論は一秒で出た。


俺は嫌われることを覚悟して顔を上げる。


軽蔑の目で見られる。


俺の高校生活は開始早々、既にクライマックスを迎えていた。


(まぁ、高校生活なんて元からどうでもよかったし)


そう思いながら彼女を見る。


……けど、意外だった。


こんな綺麗な子なら。


褒め言葉なんて今まで腐るほど言われてきたはずだ。


それなのに――


まるで初めて言われたみたいに、顔を赤らめていた。


(……あれ?どうしたんだ?)


彼女はふいっと視線を逸らす。


平静を装うように、小さく息を吐いた。


「……何もないなら、私、行くから」


そう言い残し、


彼女はどこか逃げるように、少し早足で歩き出した。


そして――


「……なんで、私のこと覚えてないのよ」


その背中が、ほんの一瞬だけ止まる。


吐き捨てるでもなく。


責めるでもなく。


ただ寂しさを滲ませたような声で――ぽつりと、そう呟いた。


「……あれ?」


(今、何か言ったか?)


聞き取れなかった言葉を追うように、俺は彼女の背中を見つめる。


そして、その背中を見送りながら――


俺は彼女の顔が赤かった理由を理解した。


(はっ!?)


(顔が赤くなるほどブチギレたって事か?)


(……俺、何やってんだよ!!)


(クソ、昨日読んだ漫画では入学早々運命的な出会いしてたっていうのに)


(俺ときたら、入学初日から高嶺の花をブチギレさせるとか……)


卑屈な俺は頭を抱える。


だが、すぐに結論を出した。


(まぁいい……人なんていくらでもいる)


(会わなきゃいいだけだ)


俺の入学する愛聖高校は、いくつもの学校が合併してできた、いわゆるマンモス校だ。


その名残なのか、制服も色とりどり。


近いうちにまた別の学校と合併するらしい、なんて噂まである。


(そんな……人いっぱいの学校だ)


(もしかしたらあれが会うのが最初で最後かもな)


そう自分に言い聞かせながら、俺は校舎へ向かった。


そして――


自分のクラス、1-Aの扉を開く。


座席表を確認し、


指定された席へ腰を下ろした。


(よし!主人公席だ)


心の中でそんなことを呟きながら、何気なく隣を見る。


だが――


そこには、まだ誰もいなかった。


(あれ……? 横の席、休みか?)


ぽつりと呟く。


新しい制服。


新しい教室。


始まったばかりの高校生活。


教室のあちこちでは、すでに小さなグループができ始めていて、クラスは妙に活気づいていた。


きっと彼らは、これから“花の高校生活”を謳歌するんだろう。


――まあ、俺には関係ないけどな。


ついさっき高嶺の花をブチギレさせたところだし


そんな眩しすぎる青春を、俺は鼻で笑い飛ばす。


「……さっさと終わんねぇかな」


ぽつりと漏らした、その時だった。


「ゆ〜ういちっ♪ なに黄昏れてんの〜?」


突然、後ろから女の子みたいな声が飛んできた。


振り返る。


そこにいたのは――見慣れた顔だった。


中学からの腐れ縁。


如月きさらぎ ひじり


雪みたいに白い髪。


ふわりと甘い匂い。


細い手首。


柔らかな微笑み。


――最初に言っておくが、こいつは男だ。


(いや、どう見ても女の子だろこいつ)


(なんでこの見た目で男なんだよ!!)


誰か早く、


「設定ミスです」


って教えてくれ。


こいつとは、中学で俺が青蘭中学に転校してきた時からの付き合いで、バスケ部でも一緒だった。


蓮也を含めた三人で、よく“仲良しトリオ”なんて呼ばれていた。


……まあ、今となっては、その呼び名も笑えないけど。


「おはよう、聖。今日も相変わらず可愛いな」


「長い付き合いだし、そろそろ実は女の子だって白状してくれてもいいんだぞ?」


「中学で出会ってからだから約三年越しの伏線回収ってやつ?」


「てか、そうあってくれ」


願望。


決していかがわしい気持ちはない。


俺のいつもの軽口に、聖は顔を真っ赤にして叫んだ。


「はぁ!? いきなり何言ってんの!?

 バカじゃないの!?」


「てか、伏線ってなに?」


「ゆういちまた夜遅くまで漫画読んでたでしょ?」


さすが親友。

察しが良い。


「そうそう!最近すげぇ面白い漫画を描く漫画家見つけてさ〜」


「夜更かしはダメだよ!!お肌の大敵なんだから!」


唇をぷるぷる震わせて怒る姿すら、どう見ても可愛い。


実は俺、聖のこういう分かりやすい反応をおちょくるのが結構好きだったりする。


だから、さらに畳みかける。


「いやマジで思うんだけどさ。

 聖ってその辺の女子より圧倒的に可愛いだろ」


「神様、性別設定ミスってますよって

 クレーム入れたいレベルなんだけど?」


冗談のつもりだった。


……けど、半分くらい本気でもあった。


「そんなくだらない事で神様にクレーム入れないであげて!!」


「あと、可愛いとか、そ、そういうことサラッと言うのやめて!」


両手をばたつかせながら慌てる聖。


……どう見ても動揺している。


その反応が面白くて、つい口が止まらなくなる。


「新しいクラスの男子連中、絶対聖の顔に騙されてるって。

 実際“男”って知った瞬間、どんな顔するんだろうな」


「この俺の列に、俺含めて五人の男いるだろ?今から聖が順番に告って言っても多分騙されて五人ともオッケーするって」


「なんでゆういちもオッケーしてるんだよ!」


「ゆういちは僕が男だって知ってるよね?」


即ツッコミだった。


ポカポカと俺の背中を叩く。


眉を吊り上げる仕草まで可愛い。


「ははっ。でも、それだけ聖が可愛いってことだよ」


また、ふと漏れた本音。


てか今日の俺、可愛いって言いすぎじゃないか?


もう二人目だぞ?女の子に言うの。


その瞬間――


聖の肩がびくりと震えた。


「べ、別に……そんなの嬉しくないし……

 て、てか可愛くないし!!!」


ふん!っと顔を横に向ける。


その頬は、ほんのり赤く染まっていた。


――ん?


今、少しだけ声のトーンが変わったような……?


髪を指先でくるくる弄りながら、どこか伏し目がちな聖。


……なんか妙に照れてる?


そう思った、その時だった。


教室のドアがガラリと開く。


「おーい、みんな席につけー!

 今日からこのクラスの担任をする遠坂だ、よろしくー!」


勢いよく入ってきたのは、短髪・筋肉・大声の三拍子揃った全力体育会系教師だった。


結論から言うと、俺が最も苦手とする人種である。


……いや、それより。


さっきの聖の“違和感”は何だったんだ?


中学の頃から、時々感じていた妙なズレ。


何かを隠しているような――そんな違和感。


けれど。


聖はもう、いつもの笑顔に戻っていた。


(あぶない、あぶない……ゆういちにバレるところだった)


(もし私が、“本当は女”だって知ったら――どんな顔するんだろう)


(てか、ゆういちもひどいよ!)


(ゆういちは中学で出会ったって言ってるけど、本当はもっとずっと前から会ってるのにさ?)


(なんで覚えてないの!?)


(それにしても、男のフリしてでも、ずっとあなたのそばにいたいなんて……やっぱり私、おかしいのかな)


(でも……しょうがないよね)


(一緒にいるためなんだもん)


(あの時のゆういちの優しさが、嬉しすぎたから)


(“男”じゃなきゃ、君のそばにはいられないと思ったから)


(……ねえ、ゆういち)


(全部知った時も――)


(私を友達って言ってくれるかな)


――その笑顔は。


やっぱり“男の笑顔”には見えなかった。


(……まあ、いっか)


(こいつは昔からの腐れ縁だ)


(正真正銘の“男”なんだから)


――この時の俺は、まだ知らない。


この腐れ縁が、俺の高校生活をとんでもなくかき乱すことになるなんて。


そして何より――


俺の“心”まで、かき乱してくることになるなんて。


※本作は、一部AIの補助を参考にしながら執筆していますが、物語の構想・登場人物・表現の最終決定はすべて筆者が行っています

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