37.『手作り』と『冬の準備』
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今回の『文字数(空白・改行含まない)』は約三千八百
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料理長に訊いたら――ありました! 料理にも掃除にも使ってるって! やったね♪
「――と、ゆーことで、わけてもらいました! もちろん、“しょくよー”のを!」
「……どこに向かって言ってんだ、お前」
「はいはい! きにしなーい、きにしなーい」
辺境伯からのツッコミは、まるっとするっと受け流すよ〜。
休憩時間を使って作りたいと思います!
執務室のテーブルの上にあるのは――
重曹(食用)小さじ半分
クエン酸(食用)小さじ半分
コーンスターチ 大さじ2
粉糖 大さじ4
水 小さじ2
レモン汁 少々
ラムネの材料です。食べたい欲に勝てませんでした……!
まずボウルに、コーンスターチと粉糖を入れます――“ふるい”にかけてダマを無くすよ。
それにクエン酸と水とレモン汁を入れて、混ぜる。
酸っぱいのが苦手な人は、レモン汁を入れなくてもOK ――私は入れるけどね〜。
ポロポロになってギュッと握って固まるぐらいになったら、もう少しもみ混ぜるよ〜。水気があっても無くてもダメなので!
水気があると、重曹がシュワってしてきちゃうからね。クエン酸と水に反応しちゃうんだ。
逆に水気が無いと、塊になり難くなっちゃう……難しいね。
水気が無くなってきたら重曹を入れ、さらに混ぜる。
いい感じになってきたら、“小さじ”二つにギュウギュウ詰めて……小さじを合わせて、球体になるようにギュッ!
そ〜っと出して……っと。
気温にもよるけど、一〜二時間乾燥させると 完 成 です!
『生活魔法』の【乾燥】を使えばすぐだけど、乾燥させすぎには注意しないと。程よい湿り気がないと、摘もうとした瞬間にサラッと――それは悲しいね……。
ラムネを乾燥させている間にメイン、いっくよ〜! ――材料はこちら!
重曹(食用)大さじ2
クエン酸(食用)大さじ1
コーンスターチ 大さじ1
匂い付けに“お好みのアロマオイル(5〜10滴)”と、色付けに“植物を乾燥させて粉末にした物”――今回は“ラベンダー”を用意しました。
アロマオイルの提供は、いつも髪を結ってくれるメイドさんです! 有難う!
色付けは、食紅でも可です。
――で す が。お試ししないといけないので、小型のバスボムも作ります!
量は……四分の一ぐらいにしようかな?
ではまず、球体の【結界】を用意! 無理な場合は、何か透明な袋や大きめのボールでも代用できます。
次に重曹(大さじ4)、クエン酸(大さじ2)、コーンスターチ(大さじ2)を【結界】に入れて混ぜる。
白い粉が混ざったら、アロマオイルとラベンダーの花を乾燥させて粉末にした物を入れます――ちゃんと紫色になるかなぁ……。
“霧吹き”または『生活魔法』の【噴霧】で水を数回スプレーして少しずつ湿らせ、手で握って固まるぐらいまで混ぜる。
――お、ちょっと紫っぽい、か……?
【結界】を半分にして、片方の【結界】を四分割にする。
これで通常サイズの四分の一の小型バスボムになる――はず。
四分割にした【結界】を両手でギュ〜っと!
【結界】を大きくして、中に【乾燥】! ――乾燥させすぎに注意して……完成〜!
小型バスボムは、余裕でお子様の手にコロンと乗っかる大きさだ。可愛い。
残りの【結界】の中身もギュ〜っと塊にして……っと。
通常サイズのは、野球ボールぐらいの大きさ。これは普通に半日〜一日乾燥させる。
明日が楽しみ〜!
「……それがバスボムか?」
「の、こがたばん! ――じっけんするよ〜!」
――ってことで、水槽サイズの【結界】に【飲水(湯)】を入れて……。
「ボム、とーにゅー! ……しゃぼ」
小型バスボムを水面ギリギリからそーっと、ころっと入れる――と、シュワ、ブクブク〜と水面が盛り上がった。そして、ふわっとラベンダーの香りがする。
「おぉ……ラベンダーだ。いろも、ふんわりついてる〜!」
ブクブク、モワモワ〜……成功です!
小さいから、すぐ消えちゃったけど。
「へぇ~、面白いね〜」と言うハニーさんに「でしょ〜!」と、えっへん!
その傍らで、お茶の準備をしていたメイドさんが「バスボム……作れるんだぁ……」とポツリ。
……アロマオイル提供のお礼にバスボム、プレゼントしよっと!
バスボム作りの後、完成したラムネを味見――お口にポイッ。
舌の上に乗ったラムネは瞬く間にシュワ〜っと溶けていき、レモン汁かクエン酸の酸味。シュワっと甘酸っぱくて美味しかった! ――成功だね♪
今回は食紅は使わなかったけど、赤、青、黃の三色があったら色んな色のラムネが作れる。
紫とかオレンジとかピンクのラムネって可愛いと思うんだ〜。
あと、小さめのクッキーの型に入れて成型してもいいと思う。
あ、クッキーの型はバスボムにも使えそうだなぁ……。
◆
ラムネを食べながらバスボムをせっせと作った午後。
一回作ると作業スピードが上がるね! けど油断大敵! 【噴霧】は慎重に……!
食紅をもらってきて、色んな色のバスボムの素を作って、二色のバスボムやカラフルなバスボムを作った――香りはラベンダーだけど。
雪が本格的に降ってくる前に、色んなアロマオイル買いに行きたいなぁ……。
市販の入浴剤(粉)をバスボムに作り変えれたら楽なんだけどねぇ……。
◇◆◇
薪割りの音。
楽しそうにお土産の話をする使用人の声。
いつもより慌ただしい邸。
ちらちら降る雪。
キンと冷えた朝の空気。
慌ただしく秋が過ぎていき――のっそりと。だけど、ゆっくりと着実に冬が近づいてくる。
◇◆◇
掃除をし、使わない家具に埃除けの布を被せ、外側から窓を板で塞ぐ。
温度管理を自動でしている空調関係の魔道具をいくつか止める。
住み込みで辺境伯邸に勤めている使用人は、年末になると雪で行く手が阻まれる前に、遠くに実家がある者から里帰りするらしい。
人が減ると掃除が行き届かなくなるから、使用しない部屋を閉じていくそうだ。
使用人棟も。人が少なくなるから閉めて、残った使用人は辺境伯邸本邸で過ごすらしい。
空調関係の魔道具を止めるのも、それ。
人が居ない場所で起動させておくのは、魔力が勿体ないから。節電だ――節魔力?
その代わり、夜は主従関係なく、暖炉のある部屋に集まって一緒に食事をしたりして過ごす――冬の、年末限定の過ごし方らしい。
窓を板で塞ぐのは雪害対策なんだって。一階は特に厳重に。
毎年、雪に埋もれるそうだ。
……そんなに降らないって言ってたのに――一階が埋もれるのはデフォなの……? どこの米処だよ。どこの林檎の国?
雪が積もっている中庭へ、ズッボズッボ進んで行く。
くっ……! 小さな体が恨めしい……!
たった一夜で雪が三十センチも積もる土地――辺境伯領。
朝起きたら、窓から見える一面が真っ白で驚いたものだ。
だけど、これで序の口だってんだから……恐ろしいね。
初積雪の日は魚拓ならぬ、人拓を取った。
サラサラじゃない湿った雪だったから、後ろに倒れるとズボッと雪が密着して、綺麗な後ろ姿の跡が出来た。
あ、ちゃんと雪の下に危険な物がないか、安全確認してからやったよ!
それから毎日、朝食の後は玄関先で雪ダルマをちまちま作っている。
最初は掌サイズ。そこからどんどん大きくしていって、今は私ぐらいの大きさにチャレンジ中だ。多分、これぐらいが限界かなぁ……――私が持ち上げられないからね!
雪が降る度に、小さな雪ダルさんは消えてゆく――雪に埋もれるのだよ……。ガク。
邸内は帰省した使用人が増え、静かになってきている。庭師さん(若い人)も何人か田舎に戻って行った。雪が溶ける春先まで、しばしのお別れだ。
帰る人たちに一個だけど、バスボム(無香)をプレゼント。
家に着くまでに湿気っちゃうといけないから【結界】で密封して、『指先に集めた少量の魔力を“ちょん”と当てると【結界】から出せる』と説明してから渡した。
「気になってた」って喜んで受け取ってもらえて嬉しかった――一個でホント申し訳ない。冬ごもり中に、たくさん作っとくね!
最後まで残っているのは、ハニーさんと黒髪の家令さんに老執事と護衛さん、メイドさん(六人)と庭師さんと料理長と料理人さん(二人)。
皆、辺境伯邸がある街や近くの町村に家や実家があるらしい。
家令さんとハニーさん、メイドさん(二人)と料理人さん(一人)が街の外だから、年末年始の十日は帰るそうだ。
最後まで残ってた人の中で、皆よりちょっと離れてるから早めにお休みに入るんだって。
……寂しくなるね。
老執事と料理長と庭師さんは、辺境伯邸から少し離れたところに家があるそうで、ギリギリまで居るらしい。
メイドさん(四人)と護衛さんと料理人さん(一人)は街中。彼らもギリギリまで邸で仕事をするそうだ。
ご苦労様である――いや、仕事だもんね。
着いた中庭で庭師さんと護衛さんにも手伝ってもらって雪山をせっせと作る。
雪山を作って何をするかというと――――すべり台だ!
中を空洞にして、“かまくら”も兼用です!
山の大きさは護衛さんの胸ぐらいの高さ――身長、おいくつ? 百八十? ……じゃあ、雪山は百四十ぐらいかー。
ギュウギュウに圧縮して――しすぎたら掘れなくなるか。圧縮はそこそこに……。
片方を緩やかな坂にして……もう片方に階段……。緩やかな坂の方に水を撒いて……。
今日は、ここまで。水が凍ってからじゃないと穴は掘れないからね。一晩寝かせま〜す。
――私たちが雪山を作っている間、『従魔』のサーベルタイガーの幼獣は、元気に雪へダイブしたり、突き進んだりして自分なりに楽しんでいた。
うわぁ……鬣や尻尾に雪玉つけてるぅ〜。【温風冷風】? 【温風冷風】で溶ける? 取れる?? ――――お風呂かな?
サブタイ、悩んできた。思いつかん……(笑)




