35.『完成』と『冬の使者』
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文字数(空白・改行含まない)約五千字……orz
『手紙魔法』改め『小型ワープ装置』――試作だから、もっと改良改善して正式に魔道具として『魔術師ギルド』に特許の申請と登録をするそうだ。
私――『雷帝』も連名で。
辺境伯子息の名前だと、後々色々面倒が起こるだろうから……と、『雷帝』名義になった。
「べつに『らいてー』って、ださなくても……」と言ったら、「アイデアを出したのはレックスちゃんだもの! 私はただ魔法陣と術式を彫っただけよ?」と『蒼焔の魔術師』さんに言われちゃった。
……特許が通ったら、ライセンス料とか入るんだっけ……? ――――もらえるモノ、もらっとくかー。
そして魔術師さんは、改良するため滞在二日で帰って行った。
なんかもう、「早く作業したいッ!」ってウズウズ、ウキウキしちゃってて――魔道具師だねぇ……。
魔術師さんの滞在は、二泊三日だったけど楽しかった!
……辺境伯は「精々した」って言ってた――――相性、悪すぎじゃない??
『奇想天外! オモシロ魔法!(仮)』――届くの楽しみにしてるからね!
……さすがに『魔法書』を『小型ワープ装置(試作)』で送るのは無理だよね……重いし。う〜む、手渡しかなぁ?
◆
魔術師さんが帰ってから半月――『小型ワープ装置』改め、魔道具『手紙転送装置』が完成した!
魔術師さんが魔法書と一緒に持って訪問。
もちろん、先触れの手紙が届いたし、辺境伯の許可も取ったよ!
そして『魔術師ギルド』に特許出願中〜。
魔術師さん曰く「許可出るわよ〜。なんたって職員たちが目の色、変えてたもの♪」だそう。
――手紙やら書類やら……遠くとのやり取り、大変だもんね……わかる。配達する側も大変だもの……。
『配達人』の仕事が無くなる――なんてことはないだろう。
急ぎの物は直ぐに返事が欲しいだろうから、人をやる。
……『配達人』の仕事が少しでも減ればいいなぁ……。
『魔道具』として特許出願した『手紙転送装置』は、『小型ワープ装置(試作)』と変わらない板状の魔石だ。
その縁にはシンプルながらも銀で装飾が施されている。
ほゎ……かっこいぃ……。
魔石に彫られた魔法陣と術式も変わらな――ん?
「ねぇ、なまえのとこ――いし、ちがう?」
『小型ワープ装置(試作)』の時は魔石に直接、名前が彫ってあったけど『手紙転送装置』の方は、名前が彫られた別の魔石が埋め込まれている。
「あ、気づいた?
『手紙転送装置』、複数あると場所取るでしょ? だから、名前だけ付替えれたら便利じゃない? って」
それ、私も思ってた。邪魔になる……ゲフゲフ。けど、解決策が思いつかなかったんだよねぇ……。
「……たしかに……。でも、はずしてるひとからのてがみ、とどかなくない?」
「――だから、この銀の装飾よ〜」
「――――まさか、これ……じゅつしき……?!」
「そのまさかよ♪ 名前が彫られた魔石を銀の装飾にくっつけて置いておくと、届くの」
「ほえ〜、すごーい!」
術式……! ただのオサレじゃなかった……!
ただ――名前が彫られた魔石が増えていくのが、ネックかな?
数が増えるけど板状魔石に比べたら、まだ…………う〜ん、どうだろう??
……改良の余地、ありかな?
役所なんかは『小型ワープ装置』の方が楽かもね――――書類の山ァァア゙ァ゙ァ゙……!
一週間後。異例の早さで特許申請が通った。
どんだけ大変なんだ……。
◆
『手紙転送装置』の特許申請が通って一月が経つ。
『手紙転送装置』が少しずつ普及しだし――楽になるどころか、忙しくなったー!? と、王都の『冒険者ギルド』が、てんやわんやしてるとか、なんとか……。
……あるよね、そういうことぉ……。
魔術師さんから『しばらく王都には行かねー……』という、まさかの男言葉での一文に察した。
巻き込まれたんだね……。なむ〜。
そんな手紙が届いてから一週間。今日はいつも以上に寒い……!
寒さで目が覚めた。 え? 急に、どしたん?!
目が覚めても布団から出たくなーい!
空調関係の魔道具――こんな時に故障か……?
だから老執事が起こしにきても、布団を被ったままだ。
『従魔』のサーベルタイガーの幼獣が布団の中で丸まっていて、私はそれにひしっとくっついていた。ふわふわ、ぬくぬく〜。
だけど、いつまでもそんなことは出来ないから、意を決して布団から出る――ただし、もぞもぞ……っと。
……うっへー……寒ぅ〜。
幼獣に「ウニ゙ャ」と抗議の声をあげられた。寒いね、ごめん。
……ん?
窓の外で何か――空から落ちてきた……ように見えた。
腕を摩りながら窓に近く。
ちらちら、と。空から白いモノが――
「ゆきー!」
ぺちんと、窓に勢いよく張りつき、外を見る。
うわ、息で窓が白くなっちゃった……。ふきふき。
ちらちら視界に入る雪は、今世で初めて見る雪だ。
どおりで寒いわけだぁ……と、納得する。
「……降ってきたか」
「ゆきッ! つもる?!」
私の隣にきて、窓の外を見る辺境伯――を、ギュッと握った手を上下しながら期待を込めて見上げる。
「軽く地面が白くなる程度だろ、すぐ溶ける――まだだな」
「えー、すぐとけちゃうの〜? ……ざんねん」
ちぇ〜……と口を尖らせる。
まあ、そうだよねぇ……。勢いがないし、ホントちらちらだし。地面についたらすぐ溶けちゃいそう……。
不満に思っても、自然だから仕方がない。ちぇ〜……。
「……これからいくらでも降るし、積もる――嫌になるぐらいな」
「いやになるぐらい?! ――“かまくら”つくれるかなぁ……」
前世だったら嫌になるぐらい積もるなんて知ったら、うげーって思ったけど、今はすごく楽しみだ! ――子供だからかな?
「カマクラ?」
「えーっと、ゆきでできた……おうち?
“ゆきやま”つくって、かためて……“いりぐち”つくってから、なかを“くーどー”にするの。それで、なかで……くつろぐ?」
前世の記憶を思い出しながら言ってみたけど――作ったのは小さい頃だしなぁ……。何かした、って記憶もないし……。
何かやったかな? ただ中に居ただけのような……。期間限定の秘密基地(隠れてない)的な感じで中に入ってた、ような……。
“かまくら”内で、お餅を焼く静画を見たことはあるけど……お餅なんて無いだろうし……。
腕組みをして、むむむ? と考えていると、頭が傾いていく。
「……とりあえず、雪山は除雪すりゃぁいくらでもできるから、いけんじゃねーか?」
「ほんと!?」
おぉ~! 今から雪遊びが楽しみだ!
「まあ、とりあえず、風邪引くから着替えるぞ」
「はーい!」
テンションが上がった私の頭をポンポンする辺境伯に促され、元気よく返事をした私は、窓から離れ着替えにいく。
◆
実は、魔術師さんのアポ無し突撃訪問の前から、辺境伯邸には少しずつ人の出入りが増えていた。
冬の準備だ。
この辺境伯領は、冬になると雪に閉ざされるから、収穫祭前から王都や南東部方面から商隊がやって来る。秋の風物詩になっているそうだ。
領内はそこまでの雪にはならないらしい――とはいっても、北西部だから他よりは多い。
そのため辺境は、王都――どころか、他国との間の道も雪で通行止めになってしまう。
さすがの『魔の森』も雪で閉ざされ――魔獣も大体が冬眠するから出てこないし、人間も森には入れなくなる。
だから『魔の森』近くの砦から騎士さんたちも戻ってきているそうだ。長い冬休みだね。
日本なら除雪車で除排雪が出来るけど、異世界では人力になる。
魔法? やってやれないことはないだろうけど、多分やってる側から雪が積もる――あぁ、これは前世もか。
それに魔力が尽きるのが先かも。やっても、やっても……終わらないよ〜! って。え、こわ。
自然は容赦無く猛威を振るうからねぇ……。
なので、雪に閉ざされている間に必要な物を買い溜めている――らしい。
初めて見る光景に驚いた。
隣国じゃ、ここまでバタバタしてなかったと思う。いつもの延長線――っていうか……。
昼食の後、私はいつものように幼獣と中庭に来ていた。
朝に降っていた雪はすでに止んでいて。地面を薄っすらと染めていた白は、太陽の温かさで消えていた。
それでも雪は日影にひっそりと、ちまっと残っている。それも日が当たれば消えてしまいそうなぐらいだが。
「う〜ん……ごぜんちゅーだったら、ゆき、さわれたかなぁ?」
残念……と、濡れた芝生を触る。
「うにゃぁ……」と幼獣が鳴きながら濡れた足をピッピッと振って歩いていた。
足が――というより、肉球が濡れるのが嫌なのかな?
……野生よ……何処にいった……。
邸の人たちが冬支度をしている中、お子様な私には出来ることが無い。無力だ……。
一月前まで、綺麗に秋桜が咲いていた花壇も、今じゃ荒野と化している。冬だねぇ……。
そんな花壇やお庭の冬支度のお手伝いをします!
花壇には、春に花を咲かせるチューリップや水仙の球根が埋まっている。
寒さに強い球根は、そのまま“植えっぱなし”でOKらしい。
けど、土が凍っちゃったら球根にも被害が出るかもしれないから、凍結防止のための対策!
落ち葉や藁を敷くといいんだって! ふわっふわのお布団だ!
落ち葉は、このために集めて乾燥させてます! ――庭師さんが!
集めて置いてあった小屋に行き、【結界】に落ち葉を入れて運ぶ。土の上に厚くなりすぎないように敷いて……。
多すぎると、むし……ゴニョゴニョ。あと根腐れしちゃうんだって。それは困っちゃうよね。
多くなりすぎないように、気をつけて……。
ガサッ、ガサガサッ! という音に顔を上げると、幼獣が落ち葉に突っ込んで伏せになるところだった。
「あー! タイガー! ぐしゃぐしゃ〜! ダメだよ」
「にゃっ、にゃぁ♪」
「ああぁ……ぐしゃぐしゃ……!」
楽しそうで何よりですが……落ち葉の上でゴロンゴロンするから、幼獣の体には落ち葉の欠片や土で汚れだした。
白っぽいから汚れが目立つんだよなぁ…………シャンプー……。ガクッ。
「おーきくなってきたから、あらうの、たいへんなのにぃ……」
「ウニャア?!」
「あ」
私の洗う発言に、幼獣が危機を察知したようで、ピャッと逃げて行った。……おい。
……それでもね、今日はシャンプーだよ……? ――逃さないからね?
――と、ちょっとヤンデレチックな思考をしつつ、花壇に落ち葉を敷き続ける。
ふかふか〜。良い感じじゃない? OK? やったー♪
あ、躑躅やライラックの根元にも敷こう……!
春になったら、綺麗なお花、また咲かせてね〜。ぽんぽん、っと。
立ち上がり、左手を腰に当て、おでこを右手の甲で拭う仕草をする。
ふい〜、良い仕事しました!
「……なにやってんだ、お前」
「あ、パパ」
影に覆われ見上げると、辺境伯が呆れた顔をしていた。
辺境伯に「仕事を続けてくれ」と言われた庭師さんたちは軽く頭を下げ、作業に戻る。
振り向いて、辺境伯を正面に見る。
「おしごとは?」
「休憩だ」
「おつかれさまー!」
そう言って、手に【洗浄】、全身に【浄化】をかけた私を辺境伯が抱き上げた。
「で? なにやってたんだ、お前は」
「おてつだい!」と、力一杯、言う。
「お手伝い、だぁ?」
「かだんのつちが、こーらないよーに、おちばのおふとん、かけてた!」
「……撒き散らしてたの間違いじゃねーの?」
「……ひどい、いーよぉだ」
身振り手振りで説明すると、辺境伯に一蹴された。そらぁ、子供のやることですしぃ〜。
それにしても撒き散らしてた、って。酷い言いようだ。どこから見て――あぁ、二階の執務室の窓から? そんな風に見えてたの?
……思いの外、楽しかったからなぁ……。けど、そんな風に見えていたのなら、心外だわ、心外!
“くぅ〜……”と、お腹が鳴る。
……いっぱい、動いたからね〜……えへへ。
「……パパ」
「あ? なんだ?」
「――――ここに、サツマイモとジャガイモが、あります」
【空間収納】から私の右手にサツマイモ、左手にジャガイモを出して、辺境伯に見せる。
中庭に来る前に調理場に寄って、料理長に少〜し、分けてもらったのだ!
「そして、あしもとには、ほどよいりょーの、おちばがあります」
「……何が言いたい……」
そりゃあ、もちろん!
「やきイモ……しよ!」
“くぅ”っと、もう一回お腹が鳴った。
呆れた顔をするけど、用意してくれるとこ……好きだよ?
――お腹の空きは、十分か……?
三時のおやつにするぞ〜! ――時間、かかるけどね……!
……『手紙魔法(?)編』、続いてたね……
(;*µ*)アリェ〜?




