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辺境でのんびり契約親子ライフ  作者: ユキノリク


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35/39

35.『完成』と『冬の使者』

お読みいただき、有難うございます。

ブクマ、評価、リアクション、感謝ですm(_ _)m



文字数(空白・改行含まない)約五千字……orz




 『手紙魔法』改め『小型ワープ装置』――試作だから、もっと改良改善して正式に魔道具として『魔術師ギルド』に特許の申請と登録をするそうだ。

 私――『雷帝』も連名で。


 辺境伯子息(・・・・・)の名前だと、後々色々面倒(・・・・・・)が起こるだろうから……と、『雷帝』名義になった。

 「べつに『らいてー』って、ださなくても……」と言ったら、「アイデアを出したのはレックスちゃんだもの! 私はただ魔法陣と術式を彫っただけよ?」と『蒼焔(そうえん)の魔術師』さんに言われちゃった。


 ……特許が通ったら、ライセンス料とか入るんだっけ……? ――――もらえるモノ、もらっとくかー。



 そして魔術師さんは、改良するため滞在二日で帰って行った。

 なんかもう、「早く作業したいッ!」ってウズウズ、ウキウキしちゃってて――魔道具師(職人)だねぇ……。


 魔術師さんの滞在は、二泊三日だったけど楽しかった!


 ……辺境伯は「精々した」って言ってた――――相性、悪すぎじゃない??




 『奇想天外! オモシロ魔法!(仮)』――届くの楽しみにしてるからね!


 ……さすがに『魔法書』を『小型ワープ装置(試作)』で送るのは無理だよね……重いし。う〜む、手渡しかなぁ?



 魔術師さんが帰ってから半月――『小型ワープ装置』改め、魔道具『手紙転送装置』が完成した!


 魔術師さんが魔法書と一緒に持って訪問。

 もちろん、先触れの手紙が届いたし、辺境伯の許可も取ったよ!


 そして『魔術師ギルド』に特許出願中〜。

 魔術師さん曰く「許可出るわよ〜。なんたって職員たちが目の色、変えてたもの♪」だそう。


 ――手紙やら書類やら……遠くとのやり取り、大変だもんね……わかる。配達する側も大変だもの……。


 『配達人(ポーター)』の仕事が無くなる――なんてことはないだろう。

 急ぎ(・・)の物は直ぐに返事が欲しいだろうから、人をやる(・・・・)


 ……『配達人(ポーター)』の仕事が少しでも減ればいいなぁ……。



 『魔道具』として特許出願した『手紙転送装置』は、『小型ワープ装置(試作)』と変わらない板状の魔石だ。

 その(ふち)にはシンプルながらも銀で装飾が施されている。

 ほゎ……かっこいぃ……。


 魔石に彫られた魔法陣と術式も変わらな――ん?


「ねぇ、なまえのとこ――いし、ちがう?(・・・・・・・)


 『小型ワープ装置(試作)』の時は魔石に直接、名前が彫ってあったけど『手紙転送装置(魔道具)』の方は、名前が彫られた別の魔石が埋め込まれている。


「あ、気づいた?

手紙転送装置(これ)』、複数あると場所取るでしょ? だから、名前だけ付替えれたら便利じゃない? って」


 それ、私も思ってた。邪魔になる……ゲフゲフ。けど、解決策が思いつかなかったんだよねぇ……。


「……たしかに……。でも、はずしてるひとからのてがみ、とどかなくない?」

「――だから、この銀の装飾よ〜」

「――――まさか、これ(銀の装飾)……じゅつしき……?!」

「そのまさか(・・・)よ♪ 名前が彫られた魔石を銀の装飾(これ)にくっつけて置いておくと、届くの」

「ほえ〜、すごーい!」


 術式……! ただのオサレじゃなかった……!


 ただ――名前が彫られた魔石が増えていくのが、ネックかな?

 数が増えるけど板状魔石に比べたら、まだ…………う〜ん、どうだろう??

 ……改良の余地、ありかな?



 役所なんかは『小型ワープ装置』の方が楽かもね――――書類の山ァァア゙ァ゙ァ゙……!











 一週間後。異例の早さで特許申請が通った。


 どんだけ大変なんだ……。




 『手紙転送装置』の特許申請が通って一月(ひとつき)が経つ。


 『手紙転送装置(魔道具)』が少しずつ普及しだし――楽になるどころか、忙しくなったー!? と、王都の『冒険者ギルド』が、てんやわんやしてるとか、なんとか……。


 ……あるよね、そういうことぉ……。


 魔術師さんから『しばらく王都には行かねー……』という、まさかの男言葉での一文に察した。

 巻き込まれたんだね……。なむ〜。



 そんな手紙が届いてから一週間。今日はいつも以上に寒い……!

 寒さで目が覚めた。 え? 急に、どしたん?!


 目が覚めても布団から出たくなーい!

 空調関係の魔道具――こんな時に故障か……?


 だから老執事が起こしにきても、布団を被ったままだ。

 『従魔』のサーベルタイガーの幼獣が布団の中で丸まっていて、私はそれにひしっとくっついていた。ふわふわ、ぬくぬく〜。


 だけど、いつまでもそんなことは出来ないから、意を決して布団から出る――ただし、もぞもぞ……っと。


 ……うっへー……寒ぅ〜。

 幼獣に「ウニ゙ャ」と抗議の声をあげられた。寒いね、ごめん。



 ……ん?


 窓の外で何か――空から落ちてきた……ように見えた。

 腕を摩りながら窓に近く。


 ちらちら、と。空から白いモノが――


「ゆきー!」


 ぺちんと、窓に勢いよく張りつき、外を見る。

 うわ、息で窓が白くなっちゃった……。ふきふき。



 ちらちら視界に入る雪は、今世で初めて見る雪だ。

 どおりで寒いわけだぁ……と、納得する。


「……降ってきたか」

「ゆきッ! つもる?!」


 私の隣にきて、窓の外を見る辺境伯――を、ギュッと握った手を上下しながら期待を込めて見上げる。


「軽く地面が白くなる程度だろ、すぐ溶ける――まだだな」

「えー、すぐとけちゃうの〜? ……ざんねん」


 ちぇ〜……と口を尖らせる。


 まあ、そうだよねぇ……。勢いがないし、ホントちらちらだし。地面についたらすぐ溶けちゃいそう……。


 不満に思っても、自然だから仕方がない。ちぇ〜……。



「……これからいくらでも降るし、積もる――嫌になるぐらいな」

「いやになるぐらい?! ――“かまくら”つくれるかなぁ……」


 前世だったら(前は)嫌になるぐらい積もるなんて知ったら、うげーって思ったけど、今はすごく楽しみだ! ――子供だからかな?


「カマクラ?」

「えーっと、ゆきでできた……おうち?

“ゆきやま”つくって、かためて……“いりぐち”つくってから、なかを“くーどー”にするの。それで、なかで……くつろぐ?」


 前世の記憶を思い出しながら言ってみたけど――作ったのは小さい頃だしなぁ……。何かした、って記憶もないし……。

 何かやったかな? ただ中に居ただけのような……。期間限定の秘密基地(隠れてない)的な感じで中に入ってた、ような……。


 “かまくら”内で、お餅を焼く静画を見たことはあるけど……お餅なんて無いだろうし……。


 腕組みをして、むむむ? と考えていると、頭が(かたむ)いていく。


「……とりあえず、雪山は除雪すりゃぁいくらでもできるから、いけんじゃねーか?」

「ほんと!?」


 おぉ~! 今から雪遊びが楽しみだ!


「まあ、とりあえず、風邪引くから着替えるぞ」

「はーい!」


 テンションが上がった私の頭をポンポンする辺境伯に(うなが)され、元気よく返事をした私は、窓から離れ着替えにいく。



 実は、魔術師さんのアポ無し突撃訪問の前から、辺境伯邸には少しずつ人の出入りが増えていた。


 冬の準備だ。

 この辺境伯領は、冬になると雪に閉ざされるから、収穫祭前から王都や南東部方面から商隊がやって来る。秋の風物詩になっているそうだ。



 領内はそこまでの雪にはならないらしい――とはいっても、北西部だから他よりは多い。

 そのため辺境は、王都――どころか、他国との間の道も雪で通行止めになってしまう。


 さすがの『魔の森』も雪で閉ざされ――魔獣も大体が冬眠するから出てこないし、人間も森には入れなくなる。

 だから『魔の森』近くの砦から騎士さんたちも戻ってきているそうだ。長い冬休みだね。



 日本なら除雪車で除排雪が出来るけど、異世界(ここ)では人力になる。


 魔法? やってやれないことはないだろうけど、多分やってる側から雪が積もる――あぁ、これは前世(向こう)もか。

 それに魔力が尽きるのが先かも。やっても、やっても……終わらないよ〜! って。え、こわ。

 自然は容赦無く猛威を振るうからねぇ……。



 なので、雪に閉ざされている間に必要な物を買い溜めている――らしい。


 初めて見る光景に驚いた。

 隣国(あっち)じゃ、ここまでバタバタしてなかったと思う。いつもの延長線――っていうか……。




 昼食の後、私はいつものように幼獣と中庭に来ていた。


 朝に降っていた雪はすでに()んでいて。地面を薄っすらと染めていた白は、太陽の温かさで消えていた。

 それでも雪は日影にひっそりと、ちまっと残っている。それも日が当たれば消えてしまいそうなぐらいだが。


「う〜ん……ごぜんちゅーだったら、ゆき、さわれたかなぁ?」


 残念……と、濡れた芝生を触る。


 「うにゃぁ……」と幼獣が鳴きながら濡れた足をピッピッと振って歩いていた。

 足が――というより、肉球が濡れるのが嫌なのかな?


 ……野生よ……何処にいった……。



 邸の人たちが冬支度をしている中、お子様な私には出来ることが無い。無力だ……。


 一月(ひとつき)前まで、綺麗に秋桜(コスモス)が咲いていた花壇も、今じゃ荒野と化している。冬だねぇ……。

 そんな花壇やお庭の冬支度のお手伝いをします!


 花壇には、春に花を咲かせるチューリップや水仙(スイセン)の球根が埋まっている。

 寒さに強い球根は、そのまま“植えっぱなし”でOKらしい。

 けど、土が凍っちゃったら球根にも被害が出るかもしれないから、凍結防止のための対策!

 落ち葉や(わら)を敷くといいんだって! ふわっふわのお布団だ!


 落ち葉は、このために集めて乾燥させてます! ――庭師さんが!


 集めて置いてあった小屋に行き、【結界】に落ち葉を入れて運ぶ。土の上に厚くなりすぎないように敷いて……。

 多すぎると、むし……ゴニョゴニョ。あと根腐れしちゃうんだって。それは困っちゃうよね。

 多くなりすぎないように、気をつけて……。


 ガサッ、ガサガサッ! という音に顔を上げると、幼獣が落ち葉に突っ込んで伏せになるところだった。


「あー! タイガー(大河ぁ)! ぐしゃぐしゃ〜! ダメだよ」

「にゃっ、にゃぁ♪」

「ああぁ……ぐしゃぐしゃ……!」


 楽しそうで何よりですが……落ち葉の上でゴロンゴロンするから、幼獣の体には落ち葉の欠片や土で汚れだした。


 白っぽいから汚れが目立つんだよなぁ…………シャンプー……。ガクッ。


「おーきくなってきたから、あらうの、たいへんなのにぃ……」

「ウニャア?!」

「あ」


 私の洗う発言に、幼獣が危機を察知したようで、ピャッと逃げて行った。……おい。


 ……それでもね、今日はシャンプーだよ……? ――逃さないからね?


 ――と、ちょっとヤンデレチックな思考をしつつ、花壇に落ち葉を敷き続ける。


 ふかふか〜。良い感じじゃない? OK? やったー♪

 あ、躑躅(ツツジ)やライラックの根元にも敷こう……!


 春になったら、綺麗なお花、また咲かせてね〜。ぽんぽん、っと。



 立ち上がり、左手を腰に当て、おでこを右手の甲で拭う仕草をする。

 ふい〜、良い仕事しました!


「……なにやってんだ、お前」

「あ、パパ」


 影に覆われ見上げると、辺境伯が呆れた顔をしていた。

 辺境伯に「仕事を続けてくれ」と言われた庭師さんたちは軽く頭を下げ、作業に戻る。



 振り向いて、辺境伯を正面に見る。


「おしごとは?」

「休憩だ」

「おつかれさまー!」


 そう言って、手に【洗浄(ウォッシュ)】、全身に【浄化(クリーン)】をかけた私を辺境伯が抱き上げた。


「で? なにやってたんだ、お前は」


 「おてつだい!」と、力一杯、言う。


「お手伝い、だぁ?」

「かだんのつちが、こーらないよーに、おちばのおふとん、かけてた!」

「……撒き散らしてたの間違いじゃねーの?」

「……ひどい、いーよぉだ」


 身振り手振りで説明すると、辺境伯に一蹴された。そらぁ、子供のやることですしぃ〜。


 それにしても撒き散らしてた、って。酷い言いようだ。どこから見て――あぁ、二階の執務室の窓から? そんな風に見えてたの?

 ……思いの外、楽しかったからなぁ……。けど、そんな風に見えていたのなら、心外だわ、心外!



 “くぅ〜……”と、お腹が鳴る。

 ……いっぱい、動いたからね〜……えへへ。


「……パパ」

「あ? なんだ?」

「――――ここ(私の手)に、サツマイモとジャガイモが、あります」


 【空間収納】から私の右手にサツマイモ、左手にジャガイモを出して、辺境伯に見せる。


 中庭(ここ)に来る前に調理場に寄って、料理長に少〜し、分けてもらったのだ!


「そして、あしもとには、ほどよいりょーの、おちばがあります」

「……何が言いたい……」


 そりゃあ、もちろん!


「やきイモ……しよ!」


 “くぅ”っと、もう一回お腹が鳴った。




 呆れた顔をするけど、用意してくれるとこ……好きだよ?



 ――お腹の空きは、十分か……?


 三時のおやつにするぞ〜! ――時間、かかるけどね……!




……『手紙魔法(?)編』、続いてたね……

(;*µ*)アリェ〜?

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