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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
CATASTROPHE

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HOPESTARⅡ

 今回もよろしくお願いします。

 アスターテ歴231年2月17日。雪の降る寒い夕方だった。

 ヴァサーゴとケルビムは、もうかれこれ2日間王都近くのアルクトゥルスの私邸を包囲していた。屋敷にはとっくに火が放たれ、今は母屋と燃えた残骸だけが残っていた。

 アルクトゥルスが何やら人体実験に踏み切っているらしいことはヴァサーゴも薄々感づいていた。だがその危険な行動を黙認していたのは、自らの友がまさかそんな事をするわけないだろうという正常性バイアスが働いたためだろう。責任はアルクトゥルスを止められなかったヴァサーゴにもある。

「突入せよ」

 麾下の部隊に指示を出し、自らも前に出る。この屋敷の扉はアルフェラッツ家の血を継ぐ者、そしてヴァサーゴとケルビムしか開けられないようにアルクトゥルスが調整してある。

 広間には大量のトルーパー・レギオンが待ち受けていた。アルクトゥルスが開発した魔導兵器"レギオン"シリーズのうちの一つだ。

 レギオンたちはヴァサーゴの方を見ると、その甲殻類や昆虫を思わせるボディを展開して内蔵兵器を起動した。

「ケルビム」

「はっ」

 ケルビムが剣を抜きながら前に出て、レギオンの発した無数の魔力弾(ブリッツ)をかいくぐりながらそれらを一つ残らず片付けた。一般兵にとっては厄介だが、ケルビムほどの戦士にとっては数が多いだけでただの的だ。

 部隊を引き連れ、ヴァサーゴは奥へと進む。より深く入り込むにつれてトルーパー・レギオンが増えていく。地下には、入り口の階段からは想像できないほど広大な空間が広がっていた。この世界とは似つかない大量の配管が天井を這い、ずらりと並べられた棚には大量のシリンダーが置いてあった。その中には不気味に泡立つ液体とともに丁寧に切り分けられた人の体の一部が封入されている。

 出迎えるのはやはりトルーパー・レギオン、それと大きな影が3つ。取り込んだ人体を介して機体をより繊細にコントロールするアディクト・レギオンだ。

 そのカプセルの中に居るのは⋯。

「実の娘たちをこんなものに乗せるなんて⋯!」

 ケルビムがトルーパー・レギオンを薙ぎ払いながらアディクト・レギオンに迫り、素早くその武装類と歩行脚を切り落とす。しかし周りにいたトルーパー・レギオンが変形してアディクト・レギオンの新たな足となり、なおもヴァサーゴたちに襲いかかる。

「キリがないですよ!こんなのどうすれば⋯!」

 ケルビムですら苦戦している。こうなったら、もう⋯。

「殺すしか⋯ないだろう」

 親友の実の娘を自らの手で殺すなんて常軌を逸した行動を咄嗟に取れるものはそうそう居ない。だからこそ、アルクトゥルスは娘たちを盾として並べたのだろう。

 だがヴァサーゴとケルビムは、アディクト・レギオンのコアユニットに剣を突き立てた。涙で視界が歪む中見えた、今際の際にこちらを睨み返してきたアルキオーネの顔がヴァサーゴの脳裏から消えることはなかった。

 地下室を進むと、大量の機械に囲まれて立っているアルクトゥルスが居た。

「とまれ。これからは何があっても手を出すな」

 ヴァサーゴが隊を止める。

「娘たちを⋯殺してきたのか⋯」

 振り返ったアルクトゥルスの瞳にはまるで生気が宿っていなかった。

「これで君たちは、私の娘たちの仇となった訳だ⋯」

「何処まで墜ちれば気が済むんだ、アルク!」

 ヴァサーゴは迷わずアルクトゥルスに切っ先を突きつけた。

「いったい何人殺したんだ⋯!」

「2205体(・)。でも安心しろ、ヴァサーゴ。彼らは皆凶悪な犯罪者だった。消えたほうが世のためになる者たちだ」

「そういう問題じゃない!それがどんな悪人であろうと、私利私欲ために命を奪うのがどれだけ残虐で醜いことか分からないのか!」

「私利私欲とは人聞きの悪い。どの時代でも、科学の発展には常に犠牲がつきものだった。もちろん今もね」

 そのカガクとやらのためなら平気で人の命すら犯すとは。

 これは狂気だ。紛れもない狂気だ。あの優しかった親友がここまで狂ってしまうなんて誰が想像できただろうか。

 この堕ちてしまった友を、これ以上放って置くわけには行かない。止めなければ。

「アスターテ王国大将軍アルクトゥルス・フォン・アルフェラッツ、今この場でその任を剥奪した上で⋯貴様を処刑する。これは王の命令だ」

「君となら分かりあえると思ったんだけどね⋯!」

 アルクトゥルスは自分の剣でヴァサーゴの剣を弾き返し、"虹橋一閃(ビフレスト)"でヴァサーゴとケルビムの後ろに回り込んだ。

『薄暮鳴響(ギャラルホルン)』

 アルクトゥルスの指先から眩いレーザーが放たれ、その熱で射線上にあるものを全て溶かした。ふと見るとアルクトゥルスの黒髪は銀に染まり、銀色に燃える炎のような魔力をまとっている。

「アルフェラッツ家の家系能力”銀鏡界(プラチナワールド)”。あなたたちも知っているだろう?相手の魔力と同期し、その術式効果のすべてを暴く。肉体情報のすべてを見通す弦廻眼とは対になるような美しい能力だ」

 ケルビムと二人で息を合わせなければアルクトゥルスには勝てない。

『トルネード』

 ヴァサーゴが斬撃の竜巻を作り出し、自分とケルビムを囲った。斬撃を盾としてレーザーを防ぎ、直接切り伏せようと乗り込んできたアルクトゥルスをケルビムがいなしてヴァサーゴがそこに強烈なカウンターを叩き込んだ。アルクトゥルスは魔法に関しては天才的だが、もともと地の身体能力は高いほうではない。左肩から大きく切られて血が流れ出している。

「さすがに1対2じゃ分が悪いね…!」

 アルクトゥルスは壁にあった巨大な扉を開いた。するとその中から巨大な足音が鳴り響き、巨大なケンタウロスのようなシルエットをした魔導兵器が現れた。

「頼むよ。カイザー・レギオン!」

 もともとはアルクトゥルスの研究成果を未来永劫守るため作り出した、ワンオフの特殊なレギオンシリーズだ。超高純度魔力鉱炉心による過剰なまでの大出力、魔力弓の火力、自機や他のレギオンシリーズを自ら製造・修復する機能、どれをとっても最強のレギオンにふさわしい性能を持つ。

 ヴァサーゴはカイザー・レギオンに向かって剣を振り下ろすが、甲高い音が鳴るだけでその装甲はびくともしない。

「これもしかして魔力鉱か?!」

「ああそうさ。この量を集めるのはなかなか大変だったよ」

 アルクトゥルスは尚も絶え間ない斬撃を浴びせ続けてくる。

 レギオンたちの大量の魔力弾(ブリッツ)をさばくだけでも一苦労なのに、アルクトゥルスのレーザー光線も襲いかかる。

 これはまずい。そう直感した。

 呼んでくださり、ありがとうございました。


 分かる方はすぐに分かると思われますが、レギオンシリーズのモデルは「ガメラⅡ レギオン襲来」に登場したレギオンです。僕の趣向ですが、レギオンがすごく好きなのでいつか要素を絡めたいと思っていました。

 本家レギオンもマザーレギオンが大量のソルジャーレギオンを従えていますね。名前からしても特性からしてもほぼそのままに近い感じになってしまいました。

 アディクト・レギオンは実はレギオンではなく、「ガメラⅢ 邪神覚醒」に登場するイリスがモデルだったりします。人を取り込んで強くなるところとかイリスっぽいですよね。ここまで来るとギャオスっぽい何かも出さないといけないかな?


 レギオンとイリス、GAMERA-Rebirth-にも出て欲しかったなあ⋯。

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