INNER SELF
今回もよろしくお願いします。
更新が大幅に遅れて申し訳ありませんm( _ _;)m
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ソフィが死を覚悟した直後、空の彼方に青い星のような光が現れた。
『伏せて!』
それとほぼ同時にイスラフェルの声がどこからともなく聞こえ、刹那、青い閃光が視界を埋め尽くした。視界の端に、風圧でジブリルの身体が飛ばされないように抱きとめるクリスティーンの姿が写った。
閃光は悪魔を焼き尽くし、あとにはいつもの青空が広がっていた。
* * *
クソっ、やっちまった。これでこちらに王都の状況に干渉できる能力があることが敵にバレた。ラミィが関わっているからって感情に流されるべきじゃなかった。この場合、バレない程度に援護しつつラミィの回復を待って再びしばらく潜伏させるのが最善だろう。
じきに存在に気づいた城中の悪魔たちがラミィたちに襲いかかる。
「何人いる?!」
シーカーフェザーを通して彼らに語りかける。
『私たちを含めて24人よ!』
ソフィが咄嗟に答えた。
24人か…。いくら足が速いブライトバードパックでも何往復も繰り返している時間はなさそうだ。
『転送開始』
とりあえずブライトバードを呼び出し、中を確認する。
コアユニットは1人乗り。胸部シートは4人が定員だが、座席をたたんで詰めればかろうじて6人は乗れる。残り12人は…。
その場で外付けのコンテナを生成し、ブライトバードの尾部に接続する。変形機構に干渉する位置だが仕方が無い。そもそもこの往復で戦闘は想定していないし、問題無いだろう。
彼らを回収したところで行き先は…、ナハト・クリーフェンやテル・エル・アマルナでは城塞としては作りが脆弱すぎて何かあった時に皆を守りきれない可能性が高い。もちろん従来の城でこの敵を凌げるとは思っていないが、備えがあることに越したことはない。だが、レイヴン本部では内通者に僕がこっそり手回しして救出したことがバレる。
彼らが自分たちだけでなんとか辿り着けそうな範囲で、なおかつ堅牢な作りをした城。そんなところは一箇所しかない。
アル=イスカンダリーヤを起点に北に伸びるノーザン・ハーフェン街道に連なるアスターテ第3の都市、ルシフェル公爵領フルスバーグ。
アル=イスカンダリーヤからは60キロってところか。悪魔と交戦せずに昨晩出発していれば、身体強化魔法を使えば今日にはたどり着ける距離だろう。ブライトバードでも時間はあまりかからないはずだ。ルシフェル家のジブリルがこちら側にいる限り、あちら側も大人しく言うことを聞いてくれる。
『今から皆さんをフルスバーグの近くまで送り届けます。そこから歩いてフルスバーグまでたどり着いてもらいたい。皆さんは"悪魔と交戦しておらず、昨晩すぐにアル=イスカンダリーヤを脱出して夜通し走り続けた"というシナリオです。何があっても私が関与したことは漏らさないでください。フルスバーグ側にもあなたたちの存在を隠すようお願いしてください。大功取消ということではなく今だけの辛抱です。どうかご理解を』
「わかりました。私たちはどうすれば?」
ソフィが答えた。
『今ブライトバードでお迎えにあがります。けが人と体調不良者を重傷な順に6人選んでください。負荷が少ない座席に乗せます』
手早くコンテナの強度と重力負荷相殺システムをチェックし、コアユニットに乗り込む。エンジンに火を入れ、垂直に離陸して全速力でアル=イスカンダリーヤに向かって加速を始めた。
* * *
一週間後。
「レラティビティ一等将校、仮眠終了しました」
レイヴン会議室の面々はもはや野生の獣人と表してもいいくらいのやつれようだった。
「ウィルソン一等将校はどちらに?」
「先ほど鳩が一羽到着したので、隊長室で情報の精査中です」
「ありがとう。あたってみる」
先程まで床に突っ伏して寝ていた男性士官が立ち上がり、報告した。
「レラティビティ一等将校です」
隊長室の扉をノックし、呼びかける。権限的には同格ではあるが、先任はあちらなのでウィルソンの方が格上だ。
「入れ」
「失礼します」
こちらもこちらで地図とにらめっこしているようだ。それと、好都合なことに僕ら以外誰も部屋にいない。
「この部屋は盗聴されていたりしませんか?」
「ああ、もちろんだ。珍しいな、内緒話なんて」
「ご説明いたします」
僕は内通者に気付いた経緯を、警戒されぬようところどころぼかしながら話した。
「…私は先週、秘密裏に西部の要塞に赴いておりました」
「例の高速移動か?温存したかったんじゃなかったか?」
「1週間あれば回復できますし、今使うべきと考えました。リンデン、ハイデ、メルドルフ、ペル・アトゥムで待機していた兵、合計5万を秘密裏にペル・アトゥムに集結させました。ギリギリではありますが何とか極秘の戦力を確保してきました」
「よくやった。だが、なんでまたペル・アトゥムなんて辺鄙な城に…」
「直線距離で一番王都に近く、なおかつ十分な備蓄があったので」
「なるほど。いざとなればそれでカタをつけるのだな。このことを知っているのは?」
「私とウィルソン殿だけです」
「わかった。覚えておこう」
あと5人か。人と会話するのはめんどくさい。だがやらなければ…。
それに、向こうも何とかしなければ。何かあったときの切り札だ。
「浮かない顔だな、アズラエル殿下」
アズラエルは来賓用のラウンジでソファに腰かけ、紅茶を飲んでいた。
「!…、久しぶりだな、サイエンティスト」
「そうだな。1か月ちょっとってところかな」
無言の沈黙が流れる。別人として近づいたとしても何を話せばいいんだ。
「…君もここに来ていたんだな」
「まあ、私はもともとレイヴンの人間だからな」
「君はレイヴンのやり方に納得しているのか?」
「…やり方、というと?」
危ない。”サイエンティスト”は僕とアズラエルの会話は聞いていないはずだ。僕はアズラエルの隣のソファに腰かけた。
「アル=イスカンダリーヤの状況は聞いているだろう?未だに城内には多数の人々が取り残されている。レイヴンはそれを『後回しにする』と決めたんだ」
アズラエルにとっては相当受け入れがたい結論だったらしい。
「合理的だな。至って合理的だ。成功するかわからない賭けに出るより、大人しくしていた方がいい」
「君もそう思うのか…」
「と、いうと?」
「合理性が求められるのはわかってる。だけどこれは人の、それも一般人の命がかかっている話なんだ。彼らの肉親が今王都にいたら同じ事が言えるのか聞きたいね」
アズラエルの言葉に熱がこもる。
「国の力は国民の力だ。国民のために尽くせるリーダーがいないと国は衰える。だから僕は皇太子として、次のアスターテの王として、常に市民のことを第一にすることを信念としている」
「なんか…なあ」
「なんだ、何か文句でもあるのか?」
「いろいろ思い詰め過ぎだ。もっとフランクに生きたほうがいい」
「だけど、僕は皇太子で…」
「でもまだ16の子供だ」
アズラエルは黙った。
「国を維持するには綺麗事だけじゃやっていけない。時にはしたくないこともしなくちゃいけないが、そのためにレイヴンがいるんだ。めんどくさいことは全部私たちに任せて君は”綺麗事”を突き詰めろ」
アズラエルが気持ち上を向いた気がした。
「…しゃべりすぎちゃったかな」
「いや、そんなことは無いよ」
「周りはみんな意識してても無意識にでも僕を無条件に受け入れてしまうんだ。だけどサイエンティスト、君みたいに真っ向からぶつかってくる相手の方が僕は気楽だな」
「…それはよかった」
考えてみれば、アズラエルの本音をはっきり聞いたのは今日が初めてかもしれない。
読んでくださり、ありがとうございます。
『マンダロリアン&グローグー』観てきました。
もうとにかくグローグーが可愛い。マジで可愛い。僕もグローグーと一緒に銀河を旅したいです。




