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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
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NO WAY HOME

 今回もよろしくお願いします。

 まったく何考えてるんだこのお転婆娘は?!いくらアタリの固有魔法だからと言って、そしていくら相手が戦闘メインではないからと言ってガチの職業軍人相手にケンカ売る魔法のシロートがどこにいるって言うんだ?!

「ちょっと、何考えてるんですか?!このままうまくいけばこんな危険なことせずとも相応の罰を与えられるでしょう?!」

 ささやき声でクリスタに耳打ちする。

「ええ、そうですね。でも、周りから私たちはどうこのクソ野郎共をとっ捕まえたように見えます?捕虜を脅しコソコソ忍び込んで不意打ち、でしょう。そんな騎士道精神のかけらもないやり方、身内にも笑われますわ。それに、いま私はあの顔を無性にぶん殴ってやりたい気分でしてよ」

 なんか言ってくれとアズラエルに目を向けるが、「どうしようもない」と言わんばかりに肩をすくめている。

「いいですか。私はイスラフェル自身、そしてあなたの愛する魔法を信じています。あなたは研究成果(あなた自身)を否定するのですか?」

「いえ、私の鎧は常に完璧な状態に維持してありますが…」

「ならよろしい」

 クソ。押し切られた。頭のいいバーサーカーって何なんだよ一体。

「すみません、いつでも雷鳴の腕輪(ドラウプニル)を使えるように準備していてください。何かあったら全部吹っ飛ばしてとんずらします」

 アズラエルの耳元でそっと話しかける。

「了解。すまないなあ、僕の婚約者が迷惑かけて」

「いえ、生き物は感情あってこそです。鎧の機能はオールグリーンですので、万が一にもクリスタ殿下に傷がつくことはありません。今更気づいたのですが、もしかしてアズラエル殿下って敷かれてる方だったりします?」

「実はそうなんだよ」

 クリスタの鎧とリンクさせた左手首の腕輪から遠隔で制御画面を呼び出し、鎧の状態をチェックする。仕方ない。念には念を入れて、ドーピングだ。


”PHYSICAL SUPPORT ON”


 クリスタとハルブは向かい合って立ち、両者ともに顔の前に剣を構えた。ダゴン式の決闘の作法だ。立会人はソフィが務める。

「始め!」

 その一声とともにクリスタとハルブが全速力で急接近する。刃がかみ合い、火花を散らす。ハルブは下段を横に薙ぎ払い、クリスタは宙返りしてそれを避ける。そして刃に自らの魔力を込め、上から回転切りを食らわせる。

『エンチャント・(ミゾレ)

 冷気の中でより大きく成長した氷片が無数の刃となり、嵐のようにハルブの防御魔法を削り取る。変幻自在の氷の粒で四方八方か攻めるクリスタの攻撃を、堅実な剣で確実にいなすハルブ。圧倒的な質量を持つということは、それだけ術者の消耗が激しいことを意味する。ハルブは持久戦に持ち込み、魔力の切れたところを狙うつもりだろう。

 氷片がわずかに途切れた隙間から、クリスタ本人が斬りかかる。ハルブもそれに反応して剣で受け止めるが、その身体は宙を舞っていた。

「何かいつもより数段膂力が大きいのですけど!」

 クリスタが僕に確認してくる。

「ちょっとした身体強化魔法です。お気になさらず!」

 魔力の体外整流システムの他にもう一つ、結構前から僕が研究しているものがある。外付けの身体強化魔法だ。

 身体強化魔法などの肉体に関連する魔術は基本術者自身の肉体しか操作できない。その上かなりの技量も必要とされるため一般魔法のなかでも高等術式に分類されるが、これを外付けの魔道具にすることで身体強化魔法を習得していないものでも使うことができるようにするというものだ。

 肉体の個人差のせいで、万人が全く同じ身体強化術式に適応できるわけではない。そこで、システム側で使用者の肉体の魔術的特性を読み取って術式を発動可能な形に自己改変する魔道具を作った。それをクリスタの着けている試製強化外骨格に搭載してある。

 まあ、そりゃあこんなヤバい装備ができたら各国から狙われる。元々は過酷な作業で腰を痛めた土木建築系の労働者のために作り始めたが、あまりに強化効率が良すぎて作業の補助どころの性能ではなくなってしまったというオチである。

「ちょこまかと…!」

 クリスタはその強化された身体能力で部屋中を駆け回り、ハルブの剣を華麗に躱す。

『エンチャント・豪炎(サラマンドル)!』

 ハルブが剣に炎魔法を込め、強烈な突きを繰り出す。おそらくこれで決着をつけるつもりだ。その切っ先は氷片を溶かしながら真っ直ぐにクリスタに迫った。だが、クリスタはニヤリと笑った。

白銀世界(キラキラセカイ)牡丹(ボタン)

 空中に巨大な氷の花弁が何枚も出現し、ハルブの剣を中心にして集まりガッチリと捉えた。

「あら、残念ね。もう少しだったのに」

 クリスタはそのまま花弁を回転させて、剣を掴んで引き抜こうとするハルブに無数の斬撃を浴びせた。

 ハルブは一瞬で重傷を負い、意識を失って倒れた。

「お見事です」

 勝負はついた。

「結構疲れますのね。最後ハルブが剣を握りしめていてくれたから助かりました」

 まあ、普通は剣から手を離すだろうな。

「ああイズ、最後の瞬間に君が何か針のようなものを2本ハルブの首筋に差した気がしたのは気の所為だよな?」

 やっぱりアズラエルには見破られていたらしい。

「ええ、気の所為ですよ。何のことだかさっぱりです」

 確かにまあ僕はいつも懐にバッテリーを入れてるし?細いワイヤーを2本作って簡単なスタンガンにすることもできるけど?別にそんな決闘に水を差すようなことは…しませんよ?


 * * *


 あまりの業務量にアケメネス城の中で過労で倒れたものがすでに30人。かくいう僕も表向き駐在員としてアケメネスに滞在しているため、アスターテとの外交方面で多忙を極めている。

 まず第22代ダゴン国王クリスタ・フォン・ダゴンの戴冠式、そしてアスターテ王国皇太子アズラエル・フォン・アスターテとの婚約の発表。褒賞の授与と首謀者の裁判、そして戦死者の追悼。更に破壊された城・城壁の修理の手配。アレウロが暫定的に大将軍に就任し雑務をこなしているが、当分終わる気配は無さそうだ。


 * * *


 まずいかもしれない。

 今度はアル=イスカンダリーヤからの連絡が1週間途絶えている。

 こちらからアケメネスを制圧した旨の鳥を飛ばして以降、アル=イスカンダリーヤからの返答がない。伝達に生き物を使っている以上数日遅れることはまあよくあるのだが、昨日までに到着する予定のアル=イスカンダリーヤ発の早馬も来ていない。こちらもこちらで後始末がいろいろ忙しいというのに、あっちでも何かあったのか?

 そう考えながら半日ほど過ごしていると、来賓用宿舎の僕の部屋の窓辺にカラスが泊まっているのを見つけた。差出人は、クー・パルケウチカ弓術将軍。


 足に巻かれた青い帯が伝えること。それは___


 "国家存立危機事態発生、全隊員現行任務の無条件放棄の上本部に集結せよ"

 読んでくださり、ありがとうございます。


 スパイダーマンいいですよね。僕の3番目に好きなアメコミヒーローです。ちなみに上からクイックシルバー、ウィンターソルジャー、スパイダーマンです。

 MCUスパイダーマンよりもアメスパ2部作のほうが好きです。何周したかわかりません。

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