1620 *シエイラ* 6 登城
一度、館に戻り、領主代理様に献上するものを集めた。
領主代理様のところには十五日に一回の割合で登城している。
こちらの状況を教えたり、王国の現状を教えてもらったりと、まあ、情報交換みたいなものね。
本当ならタカトが会いにいって語るのがいいんでしょうが、女神の不興を買わないためにも最前線にいなければならない。その代わりとしてわたしが登城しないといけないのだ。
十万円分のお酒──あ、ヤマザキさんからのお酒があったわね。今回はそれを持っていきましょうか。かなり高級な味みたいだからね。
わたしは妊娠を期にお酒は辞めた。今はお茶に──ローズティーに興味があるわね。美容にもいいというので、休憩時はローズティーを飲んでいるわ。
「あ、ミサロ。領主代理様のところにいくからツマミになるようなものをお願い」
タイミングよくミサロが入ってきたのでツマミをお願いした。
「わかったわ。今日は、ポテトサラダを持っていくといいわ」
お酒にポテトサラダ? と思ったが、たまにタカトがお酒のツマミにしていたのを思い出した。
大きいタッパに入ったポテトサラダを渡された。ま、まあ、お城にも冷蔵庫があるんだし、腐ることはないでしょうよ……。
「フレールかナーダを呼んでちょうだい」
ニャーダ族の若い娘で、わたしの護衛でもある。お城にいくときにはついてきてもらっているわ。
ちょっと前までは、ニャーダ族の女性は家を守るものとされていたけど、ビシャやメビが活躍してからは、男性と同じく戦士として扱われるようになってしまった。
戦いに不向きな者もその身体能力のお陰で並みの男性より優れており、すぐれている者はゴブリン駆除や魔物狩りに出たりもしている。
まあ、毎日出るほどでもないので、最近は訓練場で鍛えているほうが多いわね。
しばらくしてやってきたのはナーダのほうだった。
「奥様。今回はあたしがついていきます」
どうも奥様って呼び方に慣れないわよね。
タカトとは結ばれたものの、教会の許可をもらったわけでもなければ夫妻税を払っているわけでもない。そもそもタカトはコラウスの民となっているわけではない。流民扱いとなっている。
これは冒険者も同じで、冒険者として登録しているなら依頼料から税は引かれる。タカトも冒険者登録しているので税は依頼料から引かれるようになっている。
セフティーブレット自体、特例としてコラウスに置いてもらい、税金は払ってはいない。いや、優遇されていると言っていいでしょう。
お互い、後ろ盾になっている状態。どこかの庇護に入っているわけでも国に属しているわけでもない。そんな状態で婚姻していると言っても社会的に意味をなさないのよね……。
でもまあ、わたしとタカトは結ばれた。子供も産まれた。家族を得られた。わたしの欲しかったものが手に入ったのだから社会的に認められなくても全然構わない。周りはわたしとタカトは夫婦と見られているんだからね。
……それでも奥様って呼ばれるのはこそばゆいものだわ……。
「わかったわ。三十分後に出発するからお風呂に入って汗を流してきなさい」
お城に登城するのだ、無礼がないようにしなくてはならないわ。
「マーガルもよ」
「はい、わかりました」
わたしもホームに入り、シャワーを浴びて登城用の服に着替えた。




