1610 記憶が失いかけている
パレット三枚入るようになった。
「出荷を思い出すな~」
手伝いでやった出荷搬送。あの工場内と繋ぐエアーシャッターがあった……なんて言ったっけ、あそこ? もう忘れ始めているよ。
「……同僚の名前も怪しくなってきたな……」
前の世界の記憶が薄れてきている。十年以上、働いていた場所なのにな。悲しいぜ……。
重ねたパレットをボックスロッカー……と言えなくなったが、まあ、ボックスロッカー改と呼称しておこう。
パレットを三十枚。これだけあれば充分だろう。
ドア──ってか扉を閉める。
「パレットを入れたので出してください」
モニターに映るアズさんに伝えた。
「わかりました。荷物を積んだら入れておきますね」
「ありがとうございます。他に必要なものはありますか? 薬とカロリーバーならすぐに入れられますが」
「今のところ足りております。次回、お願いします」
「では、用意しておきますね。山崎さんにお酒、助かってますとお伝えください」
「はい、しっかりと伝えておきます」
失礼しますと、モニターはこちらから消した。
「なんかやたら品のある人だったな~」
女王に仕えている人か? 久しぶりに緊張したよ。
「拡張してもらった分、ガレージの棚を増やしておくか」
パレット三枚置けるほど広くなった。これならマンダリンも送れるな。空を飛ぶものがあった法が魔王との戦いに有利になるだろうよ。
「マンダリンを入れておくか」
外に出て、タルガにガーゲーに戻ることを伝えた。
「はい! おれはここで修業しています!」
巨人になって整備したからか、なかなか過ごしやすい場所になってきた。
深い空堀もあるから一人でも問題ない。巨人になっている時間も二時間に達した。気をつけろよと残してガーゲーへと戻った。
「タカト。マーリャがきてくれとさ」
ルスカルさんにそう言われて港にいってみた。
「おー。見違えるようになったな」
改造を始めて……何日だ? 十日、いや、それ以上は過ぎているはず。計画とおりの日数になったのかな?
「マーリャさん。お疲れ様です」
「お疲れ。大まかな改造は終了したわ。あとは実際に乗って確かめて欲しいのよ」
「わかりました。明日の朝から出港してみますよ」
一日走ってみればわかるだろう。
「一応、水と食料を積み込みますね」
「水は満タンにしてあるわ。カロリーバーも満杯にしておいたわ」
「厨房はすぐにでも使えるので?」
「問題ないし。ただ、調理具はまだ用意してないわ。本出港までには揃えておくから安心して」
それなら一日分の食料を積めば問題ないな。
「マンダリンは積みました?」
「まだよ。二十台は積めるようにしたから」
二十台は積めても乗り手がいないのが難題、なんつって。失礼しました。
「ありがとうございます。これで疲労を労ってください」
梅酒を取り寄せてマーリャさんに渡した。
「じゃあ、一通り見てきますね」
ニュールーズクーズ・ラグルスに乗り込んだ。




