「私」と成長
「ん・・うん・・眩しい・・」
意識がはっきりとしだすと体の痛みに表情が歪む、関節や筋肉が引っ張られるような痛み筋肉痛かな…洞窟彷徨ったからかなぁ…
眼を開くと部屋は明るい、天井部を見ると幾つもの魔法の明かりが灯されていたが広さに対して灯りが多すぎだ、しかも大きさの割に明るくないしなんだコレ?
「フィル姉さんいや・・エル兄さんかな?」
ボーとしていると食堂の方から皆の話声が聞こえて来た、どれ位寝ていたのかわ判らないが心配を掛けた事を謝らないと、しかし、体の節々が痛み起き上がるのも億劫だ、ボコられたけど治したし…大した怪我をした記憶も無い。
「いたた、、、どこかにぶつけたっけ?」
今までの甲高さがする声から柔らかな澄んだ声に変わっていた。
「・・・誰の声・・?私?」
そっと喉を触ろうとするが何故か喉を強打した、ゲフッ、
「自分の喉を殴るとか・・馬鹿か私は・・・ん゛・・?」
どういう事だ?私とか…一人の時は俺で通してたのに・・・あれ?
「私・・」
「私・・・」
「私ぃ・・・?」
ベットで上半身を起こしゆっくり目を瞑り両手を組み女神アリアに祈りを捧げる。
(スゥー・・・出てこいアリアー!俺に何かしたなぁー!)
『何ですか?忙しいのに気軽に呼ばないでくださいよ』
(え?忙しいの?じゃなくて!なんで俺(あれ心の中だと言えるのか)って声に出して言えないんだよ!)
『あーその事ですか、魂の補完をする時についでに魂に書き込んでおきました、ん?いえいえ、お礼なんてそんなぁ必要ないですよ~え?そこまで言うのなら、そうですねぇたまに神殿でお祈りをしてくれるとかぁ布教活動をして下されば、いえいえいえ、そんなに喜ばれても困ると言うかぁ~』
眉間に皺が寄りこめかみに青筋が立つ。
(うっわぁっスゲーイライラするー喜んでねーよ、元に戻せよ)
『魂に刻み込んだのに無理ですよ?女の子らしくなって良いじゃないですか?何時までも俺とかダメですよ、聖女ともあろう者が』
(・・・"書き込んだ"から"刻み込んだ"になったぞ!それに聖女じゃねぇし)
『まぁいいでしょう、後、魂の補完は少し問題も残りましたが大方は上手くいきましたよ、それと体の方はファナさんで何とかして下さいね』
体だと?掛けられていた布団を跳ね飛ばし自分の体を確認する、膝下位のワンピからスラリと伸びた両手足が腰もくびれが出来て胸も・・・僅かだが大きくなっている・・・はずだ・・。
髪の色は赤く変わり元のベージュでは無くなっていた、両手もマジマジと見てみると指は長くどう見ても子供の体では無くなっている。
バッと両手を組み再び祈り始める。
(俺の体が・・・どういう事か説明して・・・下さい)
『ファナさんが蓄えた魔力量が多すぎて一度に吸収出来なかった分を身体の成長に回して消費しました、そうしないと補完が終わるまでに魂が魔力に押し潰されそうだったので、でぇですね、補完と変換を同時に行っていたら制御が上手くいかなくてですね、申し訳ないですが2の月位は常時魔力を使う様にしてください』
魔力を常時使う?え?どういう事?流石に混乱して何も言えなくなる。
(なんでだよ?失敗したのか?)
『なっ!失敗したとか失礼な!魔力を蓄える魂の能力がまだ少し追いつかないので魔力を消費し続けて容量に合うようにして下さい、消費しないと死にはしませんが魔力過多で倒れますよ、今は魔法の明かりを灯しておきましたから』
この天井に浮かぶ魔法の明かりは俺のか・・無駄に明るい・・・大きい。
(こ、この体は元に戻るのか?)
『成長した体は元に戻りませんよ、御伽噺じゃあるまいしまぁ命が助かっと思って諦めてください』
(うぅ、どれくらい成長したんだ?)
『そうですねぇ3,4年位かと、まぁ胸元は変わっていないようですが…ププッ…』
胸元を両手で押さえ再確認してみたがやっぱり無かった・・・。
(うるさいなぁ胸なんてどうでもいいんだよ!)
『今ちょっとションボリしてたじゃないですかー!』
(してねーよ!胸とか良いんだよ、ちっぱいで!)
『はぁ、まぁファナさんがそれで良いならいいんですが、そのままでいいですか?』
(って・・・?大きく出来るの・・か?)
『魔力の余剰分を廻せば少しは出来ますが、控えめで良いようですしねっ!』
(!!そっその……もう少し…その…出来れば…その…)
『な・ん・で・しょ・う・か・?んん~?』
くそ―足元見やがってーしかし、チャンス一度っきりだ、邪魔をするのは俺のプライドだけ・・・すまぬ男の誇り・・。
(うわぁ~ん…女神アリア様ーお慈悲を―)
『フフ、仕方ありませんねファナさんの頼みですから今回だけですよ、ウフフフフッ』
悪魔との契約ってこんな感じなんだろうか、弱い部分を突かれて済崩し的に逃げられなくなるんだね、俺は悪くねぇ。
胸元が温かくなり確認すると絶壁が掌に収まるくらいの大きさになっていた。
(あ…あ゛りがとうございます゛・・)
『泣かなくっても・・・男性って・・まぁ今は女性ですが・・・年相応にしておきましたので貸し一つですよ、説明も終わりましたから戻ります』
(はい、ありがとうございます)
・・・ハッ!何故お礼言ってるんだよ俺、良い様に流されてる。
いや、今回だけは・・・仕方ないよね・・・気掛かりも無くなったし、貸し一つか怖ぇー。
何時までもベットの上って訳にもいかない皆に謝らないと、俺は床に足をつけると部屋の扉がゆっくり開きミリルお姉ちゃんが入って来た。
「あ、おはようございます、お姉ちゃん・・」
迷惑を掛け続けてるせいでギクシャクした喋り方になったがミリルお姉ちゃんは固まったままピクリともしない、その顔は目の下にクマを作り憔悴した表情だった。
「ファ、ファナ、ファナァァ」
大洪水いや決壊したダムが如く涙を流すミリルお姉ちゃんが俺を抱きしめそれはもう号泣だ、俺もミリルお姉ちゃんの背に腕を廻し抱きしめ泣いた。
「お姉ちゃんごめんなさい、心配かけてごめんなさ゛いぃ」
その叫び声を聞いてフィル姉さんとエル兄さんが駆け込んで来た。
俺を見てフィル姉さんはエル兄さんの肩を抱きとても安心した顔をしていた。
「眼ェ覚めたんだね良かった良かった、体大丈夫?」
「10日も眠ってたんだ心配したぞ」
「あ゛い゛、だいじょうぶでず、私その・・ごめんなさい・・」
体、そうだよねいきなり成長したんだ普通じゃ有得ない事が起きた、フィル姉さんとエル兄さんの顔を見ればどれだけ心配してくれていたか分かる、それに10日も眠ってたなんて夢の中に居たのは少しの間だと思ったんだけどなぁ。
今だ泣き止まないお姉ちゃんにまだ心配そうなフィル姉さんにエル兄さん、ちゃんと謝らないとミリルお姉ちゃんにお願いして俺はベットから立ち上がり頭を下げようとした時、バランスを崩して尻餅を付いてしまった、裾がめくれ細い脚があらわになる。
「いたた、重心が・・・」
「「「!」」」
「エルゼル見るなぁ『ドス』」
お尻を擦りながら立ち上がるとエル兄さんが倒れて何とも言えない表情で気を失っていた、傍らにはフィル姉さんが佇みそっと振り返る。
「もう少し休んで落ち着いたら説明してね?エルゼルからは聞いてるけどファナちゃんからも聞くからね、それとお仕置きは確定だから覚悟しとくように!」
「ヒィィィィ」
「グス・・今回は仕方ありませんね・・ズズ」
ミリルお姉ちゃんまでも・・・今回は仕方ない、私が悪いんだし、しかし、倒れる度女神に改造され、目が覚めればお説教、これからどうなるんだろう私・・・そうだ、魔物の巣に行かないとエル兄さんい頼んでみようかな。
そんなこんなで、12の月も終わろうとしていた。




