「私」と変化と苦悶
皆に謝罪した後、2日程しっかり休み体調も元通りになった、魔力は漏れ出ている様だが魔法の明かりの増減が酷い。
部屋で食べていた食事だがみんなと一緒に食べる様にしたが、余りお腹が減らないのでミリルお姉ちゃんには簡単な食事を用意して貰った。
私の隣にミリルお姉ちゃん、向かいにフィル姉さんとエル兄さんが座り静かに食事が進んで行く。
柔らかく煮込まれた野菜がホロリと溶ける、ゆっくりと一口ずつしっかりと租借し飲み下す、あぁ染み渡る・・が皆の視線がちょっと痛い。
「・・ごちそうさまでした」
「「・・・」」
「美味しかったですか?ファナ」
「うん、おいしかった」
少しして、フィル姉さんが指先を合わせる様にして落ち着きなく動かし聞いて来た。
「じゃあファナちゃん説明して貰えるかな?」
「はい」
私は家族と離れ離れになり俗にいうホームシックになった事を話した、最初は色々あって楽しかったが時間が経つにつれ両親に合えない事と自分の置かれた立場に苛立つようになっていったっと。
エル兄さんとの会話で私が癇癪を起し地面を思いっきり踏みつけたら足元に魔物の巣があり転落した事、その後エル兄さんと脱出の為巣の中を彷徨った事など全てを話した。
話を聞き終わるとフィル姉さんが少し寂しそうな表情になり頭を掻いた。
「ごめんなさいね、寂しい思いさせちゃったかな」
フィル姉さん達が責任を感じる事は無い、俺が勝手にいじけてしまっただけなのだから。
「私がちゃんと相談してればよかったんです、ごめんさない」
「うん、じゃあこの話はこれで終わり、ファナちゃんの家族の事は雪が解けたらエルゼルに一度見て来てもらいましょう」
フィル姉さんの申し出にお礼を述べエル兄さんにお願いした、
「両親がどうあれちゃんと教えてください」
「ファナ、お前・・・」
両親が無事だという事は信じているが魔物の巣に落ちる前、エル兄さんは俺が望む結果で話してくれたが、私が自分で雲隠れしたと思われたらどうなっているかわ判らない。
あの時私を襲って来たのは盗賊騎士達だ野盗とは違う、誰かに雇われ攫いに来たのだからそれなりの身分も在るだろう、小銭で雇える規模じゃ無いだろうし、だとすると相手は身分の高い者・・貴族かもしれない。
「ファナ、ご両親はきっと無事です、ファナが無事帰って来るのを待ってますよ」
ミリルお姉ちゃんが手を添え優しく微笑みかけてくれる。
「ここでしっかり修行してお父さん、お母さんに会いに行く、お姉ちゃんと一緒に」
添えてくれた手をしっかり握り微笑み返した、お姉ちゃんはうんうんと頷き
「その時は一緒に帰りましょう」
親身になって真剣に考えてくれる皆が居るんだから私は魔法をしっかりと使えるようになる・・かな?
この体になって今もそうなのだが魔力が溢れだすような感覚が在る、2の月は魔法を使えか・・一体どれ位の魔力が増えたのか女神の使った神器がどれ程の性能なのか、駄女神でも女神の神器だきっと私の予想の斜め上を行くだろうし、やっぱり不安だ。
「それでファナちゃん、その体の成長の事なんだけど・・・」
あーですよねー気になりますよねー髪は真っ赤に変わり身長も伸び外見は子供から大人に変わりつつある。
身長だけでも130から150前後にはなっているだろう、エル兄さんを見上げる角度が低くなってるし。
女神の事は話せないと言うより話そうとすると制限が掛かるし、ん~~。
「女神の祝福のおかげだと思います・・・それしか分かりません」
ホントの事を喋りたいが喋れない皆を騙しているようでチクリと心が痛む。
「祝福かぁそんな噂もあったね~ホントだったんだ?」
少し驚いた顔でフィル姉さんはエル兄さんに同意を求めていた。
「確かに調べていた時に祝福の話はよく聞きました」
「よくって・・そんなに噂になってたんだ・・」
「程々にな、まぁ信じられないだろうしな俺だってファナの変化を目の前にしても信じられない」
噂と言っても真実だから言われても気にしてなかっが奇異の眼で見られてたのかなぁ・・
「神殿で祝福を授ける習慣はかなり昔から続いているけど、女神から祝福を受けた人は居ないと思うよ」
「居ないんですか・・?」
「居ないだろ普通、女神からなんて・・」
「さすがファナです!」
「お姉ちゃんはブレないよね・・」
「なんですファナ?」
このファリウス大陸は女神信仰だ、400年前の魔物との大戦終結時に命を懸けて世界を救った"慈愛の女神アリア"を信仰している、儀式としての教会の祝福だけで女神から祝福を授かった人は居ないらしい、そりゃ神官のおっちゃんも泡吹いて倒れるよね。
「まぁ成長しちゃったのは間違い無いし、この辺りはファナちゃんが考える事だからねぇ」
「はい」
そろそろお話も終了だ、だとするとお仕置きタイムかチラリとフィル姉さんを見ると満面の笑みである。
「んじゃ、ファナちゃんへのお仕置き~」
ビクッと肩が上がる、そっとミリルお姉ちゃんが俺の両肩を押えそっと耳元で囁く。
「お姉ちゃんも参加しますから・・」
「ヒィィ」
エル兄さんに助けを求めようとするとその姿は無く、振り返ると自分の部屋の扉の前で敬礼している姿が見えた、逃げられた!
援軍は居ない・・孤立無縁絶体絶命状態、両サイドから逃げ出せない様に囲まれた、両手を掴まれ引きずられていく、どこかって?湯舟だよ温泉だよ・・
「成長したファナちゃん鑑賞会!」
「素晴らしいですね!」
鼻息荒い二人に剥ぎ取られて嫌でも目に入って来る二人のアレ・・
「嫌だ―スイカとメロンに囲まれるなんて嫌だ―!」
縦置きレモンの俺の心が痛む、少しでも大きくして貰っておいて良かった・・ありがとなアリア!
初めて心からアリアに感謝したかもしれない。
「「おぉこれは~育ったねぇ(ましたね)」」
湯舟からは私以外の二人の叫びが冬の空に木霊していた。




