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地方生まれの聖女様  作者: タタラ
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「私」と戦闘訓練

11の月に入り世界が少しずつ白くなってくる、灰色に染まる空を見上げふわりふわりと舞い降りてくる雪を目で追っていた。


「雪だぁ~積もるかなぁ?」

「この辺りはそれなりに積もるぞ」

「そっか楽しみ」

「お気楽だなお前は~」


この会話だけなら何気ない日常の一コマなのだが俺はエル兄さんと木剣を持ち対峙する。

「今日こそ私が勝つ!」

ビシッとエル兄さんを指差すと


「俺に勝とうなんて10年早いよ、今日も跪くがいい」

ニヤリと笑うエル兄さんが憎らしい…




事の始まりは数日前フィル姉さんの一言


「今日から武器を扱う訓練するからね~」


との事で魔法を使った武器使用方法を教えてくれるらしい。

「魔法使いと言えど武器の一つも使えないと戦場では生き残れない!のよ?」


で、渡されたのが20㎝程の投げナイフ6本…杖じゃないんだ?俺の体のサイズからすると妥当か。

身長も130㎝程だし体重も軽い…

20㎝と言えど俺からするとかなり大きく感じるでも何故6本も?


フィル姉さんは60㎝程の短剣を6本抱えていた、俺が剣を使うとなると身長と変わらないサイズになるしなぁ~剣に振り回される自分の姿が容易に想像できた…身体強化すれば何とかなるかな?


「よく見ててね~」

フィル姉さんが短剣を頭上の放り投げる。

自分の見てるものが信じられず思わず目を擦る、2度見する。


フィル姉さんの周囲に6本の短剣が円を描きながら宙に浮いていた。

ファン〇ルかよ…何それ怖い…


チラリとフィル姉さんを見る…投げナイフ…短剣…

「あれ?どうしたのファナちゃん?」

「いえ…」


フィル姉さんに制御の方法を教えて貰い試してみた、今俺の周囲には投げナイフが舞っている。

何とかなるもんだ、結果を想像する魔力を込め具現化するだけ…だが万能過ぎだろ?


「じゃあ、その投げナイフをあの木に狙って飛ばしてみようか~」

フィル姉さんは木を指差した、木まで約10m程か



「じゃ先ずお手本を~」

フィル姉さんが腕を組んでニヤリと笑うと短剣が意志を持ったかのように宙を舞い『ドカカカカカッ』次々に木に突き刺さってゆく。


「おぉ~~すごいです」

感嘆の声を上げる


「ふふ~と・う・ぜ・ん・よ」


フィル姉さんは腰に手を当て斜め上を見上げる、見えないが鼻もニョキニョキ伸びているだろう。


なら俺もと試してみたがユラユラと飛んでいく投げナイフは木に届く前に落っこちた。

一本目、二本目、三本目…次々に落っこちる、結局一本も届かなかった…。


最初から上手に出来るとは思っていないが酷過ぎるよねこれ…落っこちたナイフを自分の側に浮かせるように戻すが失敗を引きずってるのか覚束無い。


「ぷふ…くく…」

後ろから押し殺すような笑い声が聞こえて来た、振り返るとエル兄さんが口元とお腹を押え俺を見ている。

笑いたければ笑えぃ!恥ずかしい・・


「くっ…天誅」


俺はエル兄さんに向かってナイフを飛ばすイメージを描くと、さっきの失敗が嘘のように宙を舞うナイフの刃先がエル兄さんに狙いをつけ流れるように飛んでいく。

『シュシュシュシュシュシュ』


エル兄さんは『ヒッ』と小さく悲鳴を上げると魔法障壁を張り見事に回避した。

「チッ」


「舌打ちすんな!殺す気か!」


「エル兄さんのおかげで上手く出来ました、あ・り・が・と・う」


睨み合う俺とエル兄さん


「も~二人とも真剣は危ないからね~木剣で勝負してみたら?」


フィル姉さんが木剣を持って来て俺とエル兄さんに渡してきた、木剣でも当たれば痛いじゃ済まないが眼にモノ見せてやんよ!

お互い4本の木剣で試合を行う事になった、審判はフィル姉さん。


「それじゃ開始~」


先手必勝だー!!

「行けファン〇ル達!」


・・・・・数分後


「いたぁ、止めて、あ、だめ、痛いって、あっ、あぁ、あーっ」


ペチペチペチペチ・・・


「はい、エルゼルの勝ちね、ほらお尻叩くの止めなさい」


「ふぅすっきりした」

笑いながらも容赦ない攻撃の手を緩めないエル兄さん

完敗でした、ことごとく俺の木剣は叩き落され転倒させられた、その後エル兄さんの木剣でお尻を散々叩かれた…


「…エル兄さんは女の子を虐めて嬉しがるとか変態さんですか?」

お尻を擦りながら立ち上がりエル兄さんを睨むと


「変な事言うな!まぁ日頃の意趣返しもあるがな!」

ギリギリと歯を擦る様にし睨み返された。


意趣返しってなんだよ?何かしたっけ?はて?

朝起こしに行ったりした位しか…起きるの遅いんだもんよー



・・・・ある日の朝



「起きろーエル兄-!」

いつも起床の遅いエル兄さんを起しに行った。


起きる気配も無く眠っていたので驚かそうとエル兄さんめがけてベットにダイブしたら何か固いものがお腹に当たってエル兄さんのベットの上で転がりながら文句を言ってやったんだ


「痛ッー何を布団の中に隠してんだよー!」

お腹を擦りながらエル兄さんを見ると少し青い顔をしつつ体を丸めてピクリともしなかった。


「起きろー聞いてんのかー?」

体を揺すってもこっちを見向きもしない、汗かいてる?

抵抗するか!こうなりゃ無理やり布団を剥ぎ取る!


ベットの端に足を掛け布団の端を掴み引っ張る

「お・き・ろってんだー・・・よぉー・・んー」


「う・る・さい・・・部屋から出てけ・・・」

歯を食いしばりながら引っ張るが俺を睨みながらエル兄さんは必死に布団を掴んで離そうとしない。


布団の綱引きは膠着状態になった。


コンコンコンっとドアがノックされ振り返るとフィル姉さんが居た。

俺達の様子を見ていたらしく、嬉しそうに数回頷くと


「ファナちゃん男の子には色々あるのよ、特に朝にはね」

そう言ってフフフと笑う。


「朝?」


「そう朝…ちよ」

良く聞こえなかったがなんて言った…あーあーそうか!そうだ!

俺はポンと両手を合わせた、性別が変わってすっかり忘れてたが男はそうだった。

自分の意志とは関係なくねー苦労するよねー


エル兄さんに振り返り応援する様に声を掛ける。

「エル兄、私はそんな状態を見てもおかしいとか思わないから!男の子としては正常だから気にしないで!私は見ちゃっても驚かないし見て見ぬ振りが出来るから」


ニッコリ笑顔でガッツポーズをとる、するとエル兄さんは涙目になりフィル姉さんが壁を叩きながら笑い出した。

何か変な事言ったか?


「う、うぅ・・・」

布団を頭からかぶるとエル兄さんは半日部屋から出てこなかった・・・


・・・・・


あれかー?

「朝の話?だからあれは正常な男の子の生理的現・・・いた、いたいって」

俺の尻めがけて木剣での攻撃が再開された。


「痛いって、イタタ、フィル姉さん笑ってないで止めてぇって無言で睨むなーエル兄ー」


今度は俺が追いかけられる羽目になった。





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