「私」と温泉2
夕食はすごく豪勢だった手の込んだ沢山の料理に森の奥深くだと言うのを忘れるそうになる。
中でも肉!これだ大量の焼き立てのお肉がお皿に積まれてる。
朝食も適当だったのでお腹が鳴きそうです。
皆が席に着くと師匠がコップを掲げる
「んじゃまぁ新しい弟子を歓迎して」
「「よろしくお願いします」」
師匠はお酒、他は果汁水で乾杯をした。
エルゼルと俺はすぐに肉に嚙り付き頬を膨らませている、ほのかに香る香草でお肉が凄く美味しい。
エルゼルも食事をしているときは年相応の表情だ嬉しそうにガツガツ食ってる。
ミリルさんは上品に食べてるし、師匠は何も口にせずお酒だけか体に悪そうだ…
お皿にお肉と蒸したお芋とかを乗せ適当な大きさに切り師匠に渡した、
「師匠、お酒ばかりだとダメです、体に悪いです」
師匠が笑顔でそっと受け取る
「ん~いいねぇエルゼルこれだよこれ、分かる?これだよ」
「僕が切り分けても食べないじゃないですか」
気にする様子も無く肉を頬張るエルゼル、気まずそうに師匠がお芋を頬張る。
なんかだか親子か姉弟に見える…いいなぁ
「お腹も落ち着いて来たし、今更だけど自己紹介しとこうか?」
師匠はコップを持ち上げエルゼルを指差した。
「はい、師匠、僕はエルゼル歳は13になります、師匠の所に来て2年になりますファナの兄弟子ですね、よろしくお願いします、ファナ、ミリルさん」
軽く頭を下げる。
「じゃ次はファナちゃん」
「はい、師匠、ファナです今年で11になります、リガールから来ました?師匠、エル兄さんよろしくお願いします」
そう言うとエルゼルが噎せ胸を叩いている。
「はい、よろしくね~、じゃぁミリルさんよろしく」
「はい、ミリルと申します歳は18です、助けて頂きありがとうございました、神官戦士として…今は違いますね、ファナの姉としてファナを支えていきます、御二人ともよろしくお願いします」
「はい、よろしくね~って姉だっけ?」
「はい、先ほど姉になりました」
「うん、妹になりました」
エルゼルが訝し気な顔をして
「意味が分からないよ」
師匠がグイッとコップのお酒を飲み干すと
「最後は私だね、フィルノールっていうの歳は秘密、よろしくね~」
そう言って仮面を外した、大きな黒い瞳に人懐っこい笑顔をしていた、すっごい美人さんじゃないか。
師匠はニヤニヤしながら
「明日から修行に入るけど、そうだね~まずは身体強化から始めようか」
身体強化からかエルゼルをちらりと見るが気にせずガツガツ食べてるな。
エルゼルとの身体強化の差を思い知らされてるだけにまず目標は兄弟子。
「はい、師匠よろしくお願いします」
そうすると師匠は
「ん~師匠か~他に呼び方ない?」
何を言ってるんだ師匠?
ミリルさんと見合わせるとなんとなく分かったんだが、期待した視線を向けられても…
「えっと…お母さん?とか?」
キッと睨まれた、ヒィィマジ怖いっす
「そんな年じゃないし!酷い!」
どうしろと…うーん
「フィルお姉さんとか…?」
師匠は少し悩むような素振を見せニヤリと笑い
「うん、それでいいよ、フィル姉さんでよろしくね」
何とか納得してくれたので胸を撫で下ろす。
フィル姉さんにミリルお姉ちゃん、エル兄さんか~なんか良いかも
知らないうちに笑顔になってたようでミリルお姉ちゃんさんに頭を撫でられた。
楽しい食事も終わりミリルお姉ちゃんと食器を洗っているとふと思い出した
「あ~さっき髪流し忘れたね」
「そう言えば忘れていましたね」
ミリルお姉ちゃんがぽっと赤くなる、色々有ってすっかり忘れていた、風呂に入って髪を流し忘れるとか…すごくに気になる。
未だテーブルでお酒をちびちび飲んでいる師匠に
「師…フィル姉さん、外のお湯ってまだ使えますか?」
フィルお姉さんは赤い顔で振り向くと
「あ~好きな時に浸かって貰っていいよ~あ~夜中はダメだけどね~使った布は適当に干しときゃ乾くから」
お~夜中以外は良いのか、お風呂入りたい放題!最高!
「洗い物終わったら入って来るけどミリルお姉ちゃんは?」
「そうですね…う…今日は止めておきます…」
あれ、気にならないのかな?とミリルお姉ちゃんを見てみると視界端っこに
口元を押えこれでもかとニヤニヤしたフィル姉さんの顔が見えた…なるほど
洗い物も片付いた、では早速
「さてそれじゃ入ってきまーす」
パタパタと外に向かうとフィル姉さんが
「ほい、これ持って行きなさい」
と、大きめの蝋燭を乗せた燭台を渡してくれた、そか灯りを忘れてた。
「ありがとうございます」
お礼を言うと「楽しんどいで~」とひらひらと手を振ってくれた。
脱衣所で服を脱ぎ、ササッと外に出る、蝋燭に火を着けるのは当然魔法でだ。
仄かな光がとても綺麗だ、右手に燭台左手に布を持ち、スキップする様に湯船に向かう。
しかしいい物持ってるよなぁ~温泉とかいいなぁ~
そんな事を考えていると向こうから布で頭をガシガシと拭きながらエル兄さんが歩いて来た。
(前くらい隠せよぷらんぷらんと…見えてるだろ、ちょと悲鳴ぐらい上げた方がいいのか?まぁいいか)
エル兄さんはまだ気づかない、すぐ側まで来るとやっと気が付いたのか、エル兄さんが顔を上げた。
俺を見ると顔から視線が下がり足元を見てまたゆっくりと上がってきた、がその顔は驚きを通り越し絶望に近い表情に変わっていく。
俺は隠す事なく素っ裸でエル兄さんを見てたんだが、あれか?
やっぱり『キャッ』とか言って恥ずかしがる方がいいのかな?
良くある風呂での裸の付き合いってもんだろ?
あれ…まだ固まってる?まぁいいか温泉だよ温泉、エル兄さんも入ってたのか良いよね温泉!
固まったエル兄さんの横を通りすぎる時に
「エル兄さん、よいものあっていいな!」
ハッと我に返ったエル兄さんが大事な所を隠しそそくさと脱衣所に向かう、金髪王子台無しだよその姿。
湯船に着き先に髪を流し湯船に浸かる。
燭台の明かりを消し夜空を見上げると満天の星々が煌めいていた、虫の鳴き声も心地良い。
(前世でもこんなにゆっくり温泉に浸かるとか無かったなぁ)
脱衣所からエル兄さんの悲鳴が聞こえたと思ったらバタバタと走って来る足音が聞こえる。
それが幸せの時間終了のお知らせのように聞こえた。
「やほ~ファナちゃん一緒に入ろう、色々楽しもう!」
鼻息荒いフィル姉さんが乱入して来たよ、何を楽しむんですか?フィル姉さん…ってデカ!
かけ湯もほどほどにお湯に飛び込んできた。
「ふ~いい湯」
髪を結いながら近づいてくるソレに唖然としてると俺の側で湯に体を沈めた。
何食ったらそんなに…自分胸に手を当てる、酷い格差が此処に…
俺の恨めしい視線に気が付いたのか
「ファナちゃんも、もう少ししたら大きくなるって~」
そう言いながらお湯に身を沈めていく
惚けた顔をしているフィル姉さんに
「お酒飲んで入ってると寝ちゃいますよ?」
「だ~いじょうぶ、こうするから」
っといてガッチリと俺は捕まった、ガッチリとな…これ魔法だろ!
「ちょ、師、フィル姉さん離し…あっ…」
フィル姉さんが俺の体を撫でまわす、
「うわ~柔らか~すべすべ~こりゃいいわぁ~ホント無いね~」
「ん゛~~~」
この酔っ払いめぇ今同性だからっ…て…慌てて両手で口を覆う、やばい変な声でそう。
その後フィル姉さんが満足するまで全身撫でまわされた…
「ハァハァ…フィル姉さん…」
満足したフィル姉さんが俺を解放する。
「潤んだ瞳も表情もいい!」
ダメ…もうダメ…体が熱い…フィル姉さん…
フィル姉さんに抱き着くように体を寄せる。
「あれ、どうし…ファナちゃん?フ…ちゃん?」
フィル姉さんが心配そうな顔で俺を覗き込む
「おーい、フ…ち…ん、大丈…?…きてー眠…の?のぼ…た?…い」
フィル姉さんが何か言ってるけど…頭が…ちゃんと聞き取れない…
ヤバのぼせた…此処でぷっつりと俺の意識が途絶えた。
気が付くと俺は部屋のベットで横になっていた横を見るとミリルさんが居た。
「ファナ大丈夫ですか?お水です飲んで」
「ありがとうお姉ちゃん」
少しずつ水を飲む、染み渡る感覚と共に頭がはっきりとする。
「その…ファナ、何かあったのですか?」
心配そうなミリルお姉ちゃんにフィル姉さんに撫でまわされたとも言えず
「長湯してのぼせただけだよ」
お姉ちゃんの視線が痛い…何か気付いてるような…
「明日からは一緒にお湯に浸かりましょう、おやすみなさいファナ」
「うん、おやすみなさいお姉ちゃん」
笑顔で手を振りながら部屋を出て行くその後ろ姿に黒いオーラの様な物が…
ミリルお姉ちゃんとフィルお姉さんって、もしかしてそっちの人なの??
司祭長の次はこっちか…明日から修行だし寝よ
俺は勘違いでありますようにと思わず女神にお願いしそうになった。




