「私」と旅路
リガールを出てたから14日目…俺は現在不貞寝中
馬車の前面と後部の窓を解放しているが暑い、、、8の月だし
馬車の揺れにもすぐ慣れたが問題はそこじゃない、
リガールを出てから2日後次の街に到着し、今日は此処に宿泊するらしいのでちょっと街中を見て回りたいなと思ったんだけど。
宿に到着
部屋に監禁
夕食
体を拭く
就寝
起床
朝食
出立
狙われてるとか言われたから…分かってたんだけど…
何これ酷い、これが続くのか?マジで…続いたよ!
何も面白くない、ただひたすら馬車の中で話を聞くか寝てるかだ。
ミリルさんの話は面白いだけど…
司祭長、お前はダメだ面白くない自慢話なんて何も面白くないんだよ!
話の途中、一息つく度に前髪をかき上げるしその都度色目使うし
ってことで話は下向いて聞き流してます、はい
で、ミリルさんから"光の聖女"の話を聞いたんだけど魔物との大戦の後、黄金の聖騎士と共に各地に残る魔物を討伐する為に旅をしたらしい、そこで数々の逸話が在るのだとか、それでファンになっちゃったんだっという話を聞いたんだけど、残念な事に二人は行方不明になり歴史から消えてしまったんだそうだ。
王都まで行程は半分ちょいかぁ今日もミリルさんの膝枕でお昼寝だ...
◇◇◇◇
今日もファナお嬢様はお昼寝で過ごすようでね。
寝顔を見ているととても可愛らしい…
初めて会った時は瀕死の重傷でした、魔物と遭遇し大怪我を負った子供が居ると連絡が入り荷台を運んだ先で見たその姿はとても酷い状態でした…
少女が全身に大火傷を負い切傷跡まで、意識も無く消え入りそうな呼吸を繰り返していました。
この傷では助からない早く神殿に運び込みご家族を探さねば、と。
側にいた少年を衛兵に預けご家族に連絡をするようにお願いし、急いで戻ろうとしたんですが野次馬に囲まれ少女を乗せた荷台は動けなくなり、道を開けるように叫んでもそれがまた野次馬を呼びどうする事も出来なくなりました。
ただ苦しむ少女に声を掛ける事しか出来ません。
そんな時でした、少女の体が輝きだしたのは掛けた布をはためかせ、自分の見ているモノが信じられませんでした、それは奇跡だとしか…
花々に包まれる少女を来客用の部屋に丁重に運び込みベットに寝かせるとご家族の方もいらっしゃいました
少女の名前は"ファナ"だと判りました。
ファナお嬢様、ファナ聖女様、私の幼少からの夢、聖女様に会う事、その聖女様が眼前に居られる。
その後奇跡の光景を見た者達が神殿に侵入するなど問題が起こりファナお嬢様に護衛をと話が出た時、私は司祭長に直訴しました、当然ですね。
私は願いが叶いファナお嬢様の護衛の任に就きましたが、初日に問題を起こしてしまいました。
ファナお嬢さまのご友人に威嚇行動をしてしまいました、正直あの時はお嬢様の、その、我慢が限界だと思い一刻も早く追い出そうと…
ですが私のメイスは振り切る事無く突然現れた半透明の赤い壁を打ち付け止まりました、そして目の前の少年は私ではなく後ろのお嬢様を見ているようでした。
振り返った私が見たお嬢様は美しく輝きそれは神々しいお姿でした…思わず涙が零れましたが仕方がないと思います、うん。
その後、ファナお嬢様から激怒されまして、護衛の任を解かれるかと思い必死に真意をお伝えし何とか判っていただきましたが、どうやら私が色々誤解していたようです。
ファナお嬢様に監視が付いて居たり、不審者の侵入を許すなど色々ありましたが、それもお嬢様が聖女様であると認められるまでです。
そっと横になるファナお嬢様の髪を撫でると嬉しそうな笑顔を見せてくれます、聖女様になられたら私はこの任から解かれ、もうお話をする事も出来なくなりますね…
◇◇◇◇
今、目前に部下に膝枕され一人の少女が寝ていやがる、聖女候補であり魔女だ。
6歳の時に女神の祝福を授かったとか、瀕死の状態から奇跡でも起こしたのか傷を治したなど最初は信じなかったが見た者が居た。
地方の交易都市に現れたこの少女の存在に俺は歓喜した。
俺をこんな僻地に追いやった爺どものに復讐する為に役に立ってもらう予定だ、聖女でも魔女でもあるこの少女を献上すればどれ程の褒章を賜る事か…
俺の意のままに働いて貰う、こんな子供を懐柔する事など簡単だと思っていた、
甘い菓子を与え
優しく接し
面白い話で興味を引く
それを繰り返せば所詮子供、どうとでもなるだろうと思っていたが…
どういう事だ会ったその日から警戒されているようだ、何が悪かったのだ?
何をしても、疎まれる引かれる拒絶される…
俺を嫌っている部下が目の前に居るそんな気分だ、腹立たしい。
貴族共の動きも怪しい、一刻も早く王都に到着せねばいくら貴族共が馬鹿者でもそろそろ気付くだろう。
地方都市の司祭長など貴族共がその気になれば…
私の到着が早いか貴族共が追い付くのが早いか命懸けの追いかけっこか…ふふ
薄眼でこちらを見ている少女に笑顔を向けると眉間に皺を寄せられたのだが…
◇◇◇◇
街道を進む一行を見ている者達が居た。
一人は金髪の少年、エルゼル、その隣に女性が居た。
「あの馬車かな?」
「はい、師匠、間違い無くあの馬車です」
「じゃあ森に入ったら迎えに行くからね」
「はい、師匠」
「んじゃ準備よろしくね」
「はい、師匠」
その日の夕暮れ時に町に着いた。旅人や商人もまばらでそこまで大きな町ではないようだ。
宿を探しに数名が町に散らばる、こんな事は初めてだ、いつもは宿に直行なのに。
「どうしたのミリルさん?」
「西の街道で盗賊の目撃が多いので、東の森を抜ける街道に変更したので宿を探さなければなりません」
すると司祭長が
「盗賊といえども徒党を組まれると厄介ですから、東の森は盗賊は少ないのですよ」
東の森……はて
「東の森には何かあるの?」
「そうですね、勇者が消えた伝説の地でも在り今は"迷いの森"と呼ばれています」
ドヤ顔で司祭長が答えてくれたよ
ジェフ爺に見せて貰った本に載ってた勇者が相討ちになった所か、え、魔王城!ホントに在るの?
「明日は東の森を抜けるの?」
「そうですね、一日も有れば抜けられるはずです」
ばっと前髪をかき上げる…
魔王城見えるかな、ちょっと楽しみにしよう。
宿が決まり割り当てられた部屋に入った。
後は何時もの様に夕食を取り体を綺麗にし就寝だ、明日は少し楽しみが出来た。
「魔王城見えるかなぁちょっと寄ってかないかな」




