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地方生まれの聖女様  作者: タタラ
18/63

「私」と彼

両親と俺は部屋に戻り話し合う事になった

お店は臨時休業だ、両親がそれ処では無い位に動揺しているのが一目で分かる


両親と椅子に座り項垂れていた、ミリルさんは部屋の外に待機してくれている、心配してくれているのは分かるがこの場には居られないのだろう。


俺は同じ狙われていると言っても司祭長(ロリコン)の方が問題だ!

一緒に王都まで旅するとか…きっと襲われる。


それに俺を狙っているのがもし貴族とかだと一般市民の俺にはどうしようもない、適当な理由で連れて行かれるだろう。

最悪人知れず攫われる、一人なら逃げ切れるかもだが両親に危険が及ぶかもしれないそれだけはダメだ。


ただ、中央教会に聖女に認定されれば狙われなくなるらしい(・・・)、これは良いかも、権力から身を守るにはこれしか無いかな、色々と制限は付きそうだが身の安全は保障されそうだしなぁ。


後は、どうやって王都まで身の安全を確保するかだ、司祭長は魔法でどうにかできるが司祭長と言う立場があるので怪我をさせる(アレを握り潰す)とこっちが不利だしなぁ犯罪者にされるのは困る。

身体強化をフル使用して躱しきる、これだ。


後は両親を説得して王都へ向かうだけかな、当分会えなくなるのは辛いけど。

お父さんとお母さんの落ち込みようを見てると言い出せない、時間はまだあるし、少し落ち着くまで待とう。


それから少し経てから、お父さんが頭を上げ俺を見てきた、

「ファナ」

悩み疲れ疲労したお父さんの顔がそこにあった。


両親を悲しませた、俺が不用意に魔力を使ったからだ

俺は満面の笑みを創る

「お父さん、お母さん、私王都に行って来る、聖女と認められるかは分からないけど」

「ファナちゃん」

「ファナ」




「王都に向かうなんて止めた方がいいよ」

いつの間にかエルゼルが居た、いつから居た?声がするまで判らなかった。


お父さんとお母さんが俺を隠すように抱きしめる、

「キミは誰だ!」

「ファナちゃん大丈夫だから」


エルゼルは腕まくりした両腕を広げ武器が無いのを示すと

「初めまして、僕はエルゼルと申します、ファナお嬢さんにお願いがあってきました」

そう言うと笑顔で頭を軽く下げた。


「エルゼルどうして此処に…」

天井の天井板が無くなっていた、あそこからか、俺が名前を呼ぶと両親の警戒が少し緩まった。


「ファナ、彼を知っているのかい?」

「うん、ちょっと…知り合いかな」

知り合いって程でもないがエルゼルは魔法使いだ、下手に騒いで魔法を使われるのは困るんだ。


「エルゼル、お、私にお願いって何?」

俺に向き直すと表情がきつくなった。

「ファナ、初潮を迎えてるかい?」


俺とお父さんは固まった、お母さんは少し悩んでるようだ


「い、いきなり何を聞いてるんだよ…関係ないだろう変態!」

エルゼルを指差して叫ぶ、耳まで赤くなってるのが分かる


エルゼルは表情を変えない

「重要な事だ」


「ファナちゃんまだよね?」

「お母さん…」

何正直に話してんのお母さん…


エルゼルは小さく頷く、そして俺の側に来たエルゼルはお父さんとお母さんに少し頭を垂れ俺の手を取った、

「ファナ、僕に攫われてくれないか?」


「はぁ?私を狙ってるってエルゼルだったの?」

手を振り払いエルゼルを睨む


「狙ってる?誰がそんな事を言ってるんだ」

「司祭長」

エルゼルは不思議そうな顔をしているが"攫われてくれ"って言われて"ハイ"なんて言うか!


エルゼルは顎に手を当て少し考えたようにすると

「攫われてくれと言うのはまずかったか、僕には君が必要なんだ一緒に来てくれ」

そう言って手を差し伸べる。


「まぁ」

お母さんは少し嬉しそうだし


「なにぃファナはやらんぞ」

お父さんはテンパってるし

両親の反応が酷い、さっきまで項垂れてたのにどうしたんだよ


「いきなりなに、嫌よ誰が一緒になんて」

思わずドキッとしたが"攫う"ってのを言い直しただけじゃないか。


「じゃあ力ずくで攫って行くよ?」

結局それかよ、エルゼルに黙って連れて行かれてたまるか!


「簡単に連れて行けると思わないでよ」

「そうだね、僕と勝負するかい?本物の魔法使いの強さを教えてあげるよ」


俺はエルゼルを睨み付けながら自身に魔力を纏うと髪が緋色に輝く

両親の驚く顔が見える、初めて見せるんだ驚くのは分るんだけど心がチクチク痛む。

俺は両親から少し顔を逸らし


「ここじゃ両親を巻き込むよ、外に行こう」

「分かった、ちょっと待ってろ」


エルゼルは魔力を纏う素振りも見せず外側の壁に近づき、思いっきり振りかぶり殴り付ける


ドゴン!


破壊音と共に壁が大きく吹き飛び崩れてゆく、余りの事に状況が理解できないでいた

「何やってんだよお前はぁバカなの!」

思わず口汚く叫んだけど俺は悪くない。


それと同じくしてミリルさんが部屋に飛び込んで来た

「何事ですか!皆さんご無事ですか?」


エルゼルと俺の姿を見て驚くと同時に武器を構えた

「ファナお嬢様こちらに!早く!」

ミリルさんはエルゼルを警戒しながら叫ぶ


「ミリルさん、お父さんとお母さんを安全な所にお願いします」

「ファナお嬢様、ダメです、そんな...」


俺は皆に笑顔で笑い掛けてからエルゼルの後に続いて外に出た。

「さぁ実力を見せてくれ」


余裕ぶりやがって同じ魔法使いだろ

「見せてやるよ、驚くなよ!」


叫ぶと同時にエルゼルを殴り付けるがアイツのシールドに阻まれた、のか?

「いきなり殴りかかるとか、ホントに女の子なのか?」


エルゼルが呆れた顔でぼやくがこっちはそれ所じゃない

身体強化しているのにビリビリと痺れる様な痛みが腕に走る


しかし、魔力を纏っているようには見えないのにどうして?困惑の表情が顔に出ていたのか

「君は魔力を無駄に使いすぎているから目立つのさ」


そっと伸ばしてきた手が俺の体に触れると吹き飛ばされた、何が起こったのか分からない

俺は今驚愕の表情だろう、そのまま後方にあった木にぶつかり前のめりに倒れた。

痛みは無いが吹き飛ばされた理由が分からない

「な、なにが…なにしたんだ?」


「君は身体強化しか修練しなかったのかい?」

エルゼルは表情を変えず俺を見ていた。


「悪かったな、魔法は一度失敗して怖くなったんだよ」

体を起しながらエルゼルが何をしたのか探ろうとするがさっぱり分からない


「怖さを感じるのは良い事さ、バカじゃないようだね」

いちいちムカつくな、コノヤロー


俺は自分の前にシールドを大きく張り巡らせ、集中しろ、集中しろ俺!

「炎よ!」

ゴウッ!と俺の少し前に1m程の高さの炎の渦が現れる、出た出た!

それをエルゼルに投げつけるイメージで腕を動かすと炎の渦がエルゼルに向かって勢い良く進んで行く。


前回はそのまま火を出して火傷した、今回は炎だ当然当たれば相手は超熱い、俺も目の前でそのまま炎を出せば超熱い訳だ、そこで俺は考えたシールドで熱を遮断出来る筈だ

結果は熱くねー上手くいった。


エルゼルが驚いた表情になる、ヨシ!


「これは酷い、本気かい?僕も君と同じように魔法障壁を使えるんだよ?」

そう言うとエルゼルは両手を広げそっと胸の前で閉じると、炎の渦が押しつぶされるように消えてしまった。


「くそっマジかよ…(魔法障壁って名前だったのか)」

「まったく、口が悪いな君は猫被ってたのかい?」


ここまでやられると冷静になってきた、どうやったらこいつに一泡吹かせれるんだよ

エルゼルとの距離を保ちながら様子を窺っているが、少しニヤニヤした顔がムカつく


騒ぎを聞きつけ武装した神官戦士が次々に集まってきた、集団の先頭に司祭長の姿が見える。


「不審者かからファナお嬢さんをお守りしろ!」

司祭長が檄を飛ばす、神官戦士が武器を構えエルゼルを取り囲むように広がると


「流石に騒ぎすぎたようだ、今日はこれで帰るよ」

そう言うと俺に丁寧なお辞儀をした。


「大丈夫ですかファナお嬢さん」

駆け寄ってきた司祭長が後ろから俺を抱きしめるように抱えてきた、全身に鳥肌がたつ

「ィヤァ~~~~~!」


余りの嫌悪感に全力で魔力を纏う、その衝撃で司祭長(ロリコン)を吹き飛ばしてしまった。

カエルがつぶれる様な悲鳴を上げ地面を転がる司祭長の姿に神官戦士たちの視線がエルゼルから逸れる。

「司祭長様」数人の神官戦士が駆け寄り容体を確認している、その隙にエルゼルは姿を消していた。


助かった…思わず吹き飛ばしてしまった司祭長に駆け寄り

「大丈夫ですか、グラルト様」

お前がイキナリ抱き付くからだ!言いたいがここは我慢だ


すると司祭長は俺の手を取り

「だ、大丈夫ですよ、ご無事でよかった」

そう言って更に手を撫でてきた。


心の中で悲鳴を上げつつさっと手を引くと

「彼は私を攫いに来たと言いました」


すると司祭長の顔から笑みが消えた

「もうここまで来ていたのか、ファナお嬢さん、ご両親に決断して頂きます」


これは王都へ向かうの決定かな、後は身の安全の確保と...ロントだなぁ




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