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地方生まれの聖女様  作者: タタラ
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「私」とお姉さん

ここでお世話になる様になって早朝ちょっとした楽しみが出来た、鳩さんだ


神殿では沢山の鳩を飼っている、朝方放鳩すると夜になる前には帰って来るらしい。

前世では公園か駅にでもいて、テレビで偶に鳩の落とし物(フン害)が話題になる位しかイメージが無かったが、朝日の中を一斉に飛び立つその姿は思わず感嘆の声が出そうになるほど綺麗だった。


俺は窓からその光景を見終えてから、用意されたお湯で体を拭き、身綺麗にしたら神殿に向かい女神様にお祈りを捧げる。


『毎朝、苦情タラタラうるさいんですが…嫌がらせですか?』



その後両親と朝食だ、カレンダーが無いのは残念だが仕方がない、カチリが恋しい。

お父さん達はその後お店に出勤する。

早く家に戻りたいが噂が収まるどころか広がっているらしくお店にも野次馬が来るらしい、当分帰れそうにないね。


俺は体調が悪かったがこれは魔力に体が慣れていない為だと女神が言ってた。

少しすれば馴染んでくるそうだ、そんな日が少し続いて最近体調も良くなり神殿内をウロウロしたりしている。

分かったのは神殿の広さと色々な建物が集まって出来ている事、神官の人数が多く女性の神官も結構多く居る事だ。


で、今、俺の目の前に神官のおっさんが居る、この神官はブロルさんて名だ、俺を見ると逃げるあのおっさんだ。

「や、やあ、ファナさん、おはようございます」

「おはようございます、ブロルさん」


その後の沈黙、なんだこの緊張感はブロルさんの顔が引き攣ってる。

トラウマにでもなってるの?


ぺこりと頭を下げ退散しようとする。

何か言いたげな視線を向けてきたが黙って通り過ぎよう

「ファナさん、少しお話があります、よろしいですか?」

「は、はい」

なんだいきなり驚くじゃないか、しかしなんだろ


ブロルさんは俺を連れて談話室に向かった、部屋に入ると一人の女性が居て俺を見ると恭しく頭を下げて来た、綺麗な金髪で凛とした顔立ち、神官服だけど小手を着けメイスを腰に下げていた。


部屋のソファみたいなのに座るように勧められると、神官のおっちゃんの後ろにその女性が控えた。


「大衆の間にファナさんのとある(・・・)噂が流れているのはご存知ですか?」

「えっと、はい、少しなら」

「そうですか、噂を聞き神殿内に不埒者が侵入してくることも考え、ファナさんに警護の者を付ける事を決定しました」

「警護の人?でもそんな危険な事も無いんじゃ?」

「これはご両親にも了承済みです、数日後を予定していましたが、こちらの"ミリル"が自薦しまして」


「はじめまして、ファナお嬢様、私はミリルと申します、よろしくお願いいたします」

そう言うとまた恭しく頭を下げて来た、

「お嬢様?、、あ、はじめまして、ミリルお姉さん、よろしくお願いします」

席から立ち上がり同じように頭を下げ、ミリルさんの顔を見ると少し赤くなっていた。


「ふむ、今日は顔合わせだけですが後日ご両親にも護衛の正式な手続きを行いますから」

「分かりました、よろしくお願いします」

そういって俺は再度お辞儀をした、そうすると2人は部屋から退出していく、俺も少し遅れて部屋を出た。


何で急いで俺だけに紹介したんだろとか考えながら部屋に戻ると、部屋の前にミリルさんが仁王立ちしてた。

「ミリルお姉さん、どうして?」

「警護の為にこちらで待機しますので御用の時はお声を掛けてください」

ニッコリと微笑んでミリルさんはドアを開けてくれた。


ベットに座り頭を抱える


何がどうなったんだ護衛とかそんなに俺狙われたりしてる?

魔法使いと思われているとしても、はっきりしていない・・・事も無いか見られたしな

悩んでいても街の事は分からないし気分転換に練習だ、

「こんな時は身体強化の練習しよ」


前回、小さな火にして良かった、炎だったら火傷どころか火事になってたかも

ちょっと怖くて魔法の練習はしていない。

専ら身体強化を練習していた。


何時もの様にまず形からだ


まず肩幅に足を開き

肘を曲げ掌を上に向け軽く握る

腰を少し落とし重心を下げ

拳を握りしめ気合を入れます


「ハァァァァァァァァァ!!」


髪が輝き全身に力が漲ってくる

(おぉ今日は調子がいいぞ、シュンシュン音が聞こえそうだ!さらに強化だ!)


「ウォォォォォォォォォ!!」


しかし声が女の子なので迫力無いな、うん

髪が逆立つように舞い上がり強く光り輝いてきた

(新記録だ、後はこの状態を維持し・・・)


バタン!ドタドタドタ!

扉が大きな音を立て開いたかと思うと駆け込んでくる足音が聞こえた。


なんだ、俺は魔力を切ると、部屋にミリルさんが駆け込んできた。

「ファナお嬢様!ご無事ですか!」


腰のメイスに手を掛け、部屋の様子を窺って、俺を確認している様だ。

何があったのかと困惑の表情で俺はミリルさんを見つめる、するとミリルさんはハッとした表情になり頬を染める。

「あ、あのファナお嬢様、、、まだ我慢できますか?、無理そうでしたらここに急いで準備を致します」

何を言っているんだろう、何を我慢って・・・眉間に皺が寄る・・ミリルさんはさらに慌てだしたし。


ふと今の体勢に気が付く

腰を落とし少しお尻を突き出し

肘を曲げ握り拳をつくり

困惑気味な表情で上気した顔

そして唸るような声を…え…


まさか


ミリルさんが…え…花瓶を持ってきた。


「か、花瓶?え、これは、あぁ、違うんです、我慢とかじゃなくて」

ミリルさん盛大に勘違いをしてるのは分かったが魔法の事は喋れない、


「小さめの桶が無くて…この花瓶しか、で、ですが大丈夫です誰にも…部屋の外に出ますので…いそいで、その…すぐに処分しますので…」

ミリルさんはタオルを敷いて花瓶を置くと慌てた様子で部屋を出ようとする。


違うって花瓶でどうしろってんだよ!泣きそうだよ俺!

誤解を解かないとこのままじゃ俺残念な娘決定じゃないか


慌ててミリルさんの腕を掴み引き留める、

「ちょっとまって、まって行かないで」

俺も涙目になり必死だ


「ですが、その、お一人の方が、外に居りますので終わりましたら・・・」

ミリルさんは頬を染め慌ててる姿が可愛いがそれ処じゃない、何としても誤解を解かないと


「おはよーファナ起きてるかー?ドア開きっぱなしだ・・・ぞ」

ロントがひょっこり部屋に入って来た、騒ぎで全然気づかなかったよ


3人が見詰め合う、ロントは訳が分からないのか部屋の中を見渡していた、

ロントの視線が一点に集まる…タオルの上に置かれた花瓶に。

涙目でミリルさんに縋りつく俺を見て何を想像したの?真っ赤になりやがった。


そのロントの様子を見てミリルさんが

「貴様、婦女子の部屋に了承も無く、しかも今ファナお嬢様は…不埒者がぁ!」

腰のメイスに手を掛ける。


やばいこれはやばい、俺の腕を振り解きミリルさんの腕とメイスが振り抜ける、

(え、ロントにメイスが…嘘だろ…だめだ!)


ガキン!!


金属同士がぶつかる音と火花が飛び散る、

ロントとメイスを隔てるように赤いガラス板が現れ消えてゆく


ミリルさんは困惑した顔でロントを見ているが、ロントは目を見開き俺を見ていた。


緋色の髪を燃えるように輝かせている俺を

(終わった…どうやっても誤魔化しきれないこれ…)


ミリルさんもロントの表情を見て振り向いた、なんでかその眼に大きな涙が溢れてたけど。


もう誤魔化しや言い訳はできない、魔力を切ると髪が元に戻っていく。

苦笑いをしつつ二人に椅子に座るように促すと二人は何も言わず従ってくれた。


「何から話そうかな…」

俺はうつむき消えそうな声で言葉を探してた、するとロントが

「話したくないなら言わなきゃいい、俺気にしないし誰にも言わない」

ロントは真剣な顔でじっと俺を見てた。


今度は口をへの字にしてたミリルさんが床に跪き、頭を垂れた

「ファナお嬢様、いえ聖女様、私は、私は今日この瞬間をぉぉうわぁぁん」

と泣き出した、俺とロントはミリルさんが泣き出しそれどころでは無くなってしまった、仕方ないのでミリルさんが泣き止むのを待つ事にした。


しかし、ロントには救われた、何だかんだで俺の事気にしてくれるし良い奴だな。

嫌われるとか避けられるとか色々悩んでた自分が馬鹿らしくなったよ


「ファナ悲しい顔あんまりすんなよな、今度は俺が守ってやるから」

この一言に思わず、

「ぷ、ぷははは、ありがとうロント、ありがとう、あはは」

「俺、真面目に話したのに笑うかなぁ?」


「「 アハハハハハハハハ 」」

二人してお腹を抱えて笑った。


気が付くとキョトンとした顔でミリルさんがこっち見てた、

「あ、あのミリルさんお話があります、聞いてもらえますか?」


するとミリルさんは

「先に私の話を聞いてください、私はファナお嬢様、いえ聖女様が怪我を負い運ばれていた時お側に居ました、そしてあの奇跡…咲き乱れる花々、光輝く御身に私は…聖女様であると確信しました。」

握り拳を震わせキラキラした瞳で見つめてきた、そんなに期待されると困るんだけどなぁ


「あ、あの私が聖女かどうかは分からないし、まだちゃんと力を使う事が出来ません」

「はい!」

ミリルさん気合入りすぎて怖い…

「で、でね、今日見た事は少しの間内緒にして欲しいの、ちゃんと力を使えるようになるまで」

「はい!聖女様がそう申されるのであれば私は死んでも話しません!」


何とかなったのかこれ?

聞いてみるとミリルさんは魔物との大戦時に活躍した"光の聖女"のファンらしい、光の聖女の物語を読んで感動したのだとか、俺はそれ読んで無いけど、それで聖女と噂されてる俺の護衛を名乗でたのか。


さっきのロントに対する態度も急いで部屋から追い出す為で脅し程度だったそうだ、俺の勘違いだ、そうだよね子供相手に、うん

でもこのミリルさんには危険な感じがする、どうなるんだ俺。




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