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地方生まれの聖女様  作者: タタラ
14/63

「私」と親友

ここは来客用の一室、ちょっと作りが豪華すぎる部屋だった。

俺の髪は腰まで伸びており少し色も赤っぽくなってるし。

何でこんな部屋に居るのか解らなかったが取り合えず目の前のロントだ。


俺がちゃんと目覚めたと見るとロントが抱き着いて来た、大泣きしながら、

「ふぁぁばおればぁあぁばぁがぇばぁぁあぁぁぁ」

何言ってかわかりません、でも、ありがとなロント


ロントの泣き声にお母さんが部屋に飛び込んできた、涙を流しながら震えていた。


「お母さん…その…ごめんなさい」

「いいの、いいのよファナちゃん、良かった…良かった…」

ベットの横に来てお母さんは床に座り込んでしまった、そっと手を伸ばすとしっかりと握り締めてくれた。

ギュッと胸が苦しくなる、我慢しようとしたけどダメだった、感情が爆発したみたいに声をあげて泣いた。


少しするとお父さんが駆け込んできた、すごく怒った顔で、俺の横まで来るとジッと俺を見た。

「お父さん、あの……心配かけてごめんなさい………グスッ」

父さんの顔を見つめた後顔を伏せてしまった。


「ファナ!」

余りの大きな声に驚き肩を竦める

「お父さん達がどれほど心配したか判るかい?」

「…うん」

俺の眼にまた涙が滲む


「ファナ君は判っていないよ」

お父さんが俺の横に座り俺の頭を撫でる、優しく、とても優しく。

そっと抱きしめられた、すると俺の腕に大粒の涙が落ちて来た、お父さん泣いてる?

「よかった、本当によかった…何かあったら僕は、僕は……」

お父さんは俺を抱きしめながら声を殺し泣いてた。


その後ロントと共にしっかり怒られた、防壁の外に出た事、魔物から逃げなかった事とか色々

俺は司祭長の勧めもありこの部屋で治療する事になった、まぁ色々騒がしいしここなら安全だろうという事らしい、そして両親は神殿に泊まり込んでくれている。


次の日、朝食を食べ終わり、お母さんが食器を片付けているとアルドーさんがお見舞いに来てくれた。

お母さんはアルドーさんに挨拶をすると食器を持って部屋を出ていった。


アルドーさんはベットの側に椅子持って来て、

「眼が覚めたってホントだったんだな、良かったな~」

「アルドーさん心配かけてごめんなさい」

ぺこりと頭を下げる


「無事だったんならいいさ、父さん達にしっかり怒られたか?」

「ううん、すごく泣かれちゃったよ」


俺が苦笑いすると、ニヤリとしながら、

「そうか、怒られるより効いたろ?」

「…うん」

「ならいいさ、早く体治して元気になれよ」


その後、色々聞いた、俺が運び込まれた所から昨日まで、

これはダメだどれだけ心配かけたんだって程酷かった。

魔物に襲われた日から3日経ってた、すぐ戻ったつもりだったけど2日ほど眠っていたらしい。


そうだこれだけは聞いておかないと、

「そうだ、アルドーさん」

「なんだ~?」

「魔物は足遅いって言ってたけど…凄く足速かった…」


アルドーさんはすごく驚いた顔をした、

「はぁ?当ったり前だろ、馬より遅いって意味だぞ?」

「う、うま・・・だと・・・」

馬と比較しての話だったのか……必死で…逃げ切れるか!


それとアルドーさんがトンデモナイ噂話を話した

「お、私が…聖女…?」

「まぁ噂だがなぁ瀕死の状態から復活したとか何か光輝いたとかか?」

アルドーさんは笑いながら話してたが、それ処じゃない

当然、まだ誰にも話してない魔法の事、俺が魔法使いになった事。


あれだけ多くの人に見られたんだ仕方ないか、この髪もそうだし、只でさえ数少ない魔法使いになってしまったのに、これに治療術の奇跡まで使えるとかチートだろ。


『言っときますが、逸脱した力(チート)とは違いますよ、私がまだ人間だった頃は普通に居ましたから』

ポカーンとした顔になった俺を見てアルドーさんが慌てたように声を掛けて来た、

「お、おい、ファナちゃん大丈夫か?なんかまずい事言ったか?」

「いや、聖女とか言われてるって聞いて少し驚いちゃった」

と笑うと

「だよな~ファナちゃんが聖女とかねーわー」

お互い顔を向き合わせて笑う、ちょと傷ついたぞアルドーさん。


つか、400年程前の世界は修羅の国か…こんな能力持ってるのが沢山居たとか、それで何で負けんだよ。

『多くの者は勇者召喚の際亡くなりましたので』

そうだった、勇者を呼び出す為に沢山の魔法使いが亡くなったんだった。


俺は前世の記憶がある、魔法を使うという事に憧れさえ持ってる、でもこの世界は違う。

魔法使いという存在は今どうなんだろ?


俺は聞いてみた、アルドーさんは冒険者だ俺よりも沢山の知識、色々な情報を持ってる。

「魔法使いになってみたいって思ったことある?」


アルドーさんは最初驚いた顔をしてすぐ真剣な顔になった、

「そうだな~俺はなりたくは無いなぁ、なっても一生魔法の事隠して生きると思うぜ」

「どうして?魔法って凄い便利で強力な力なんでしょ魔物にも負けない・・・」


アルドーさんは腕組をして体を傾けつつ

「その魔物にも負けない力ってのが問題なんだ、強い力ってのは厄介ごとを呼ぶし理解出来ない力ってのは皆怖がるのさ、すぐ隣に得体の知れない力を使える奴が居たら怖いだろ?俺だって近寄りたくは無いな」


その言葉に思わず拳を握る、避けられる、嫌われる?

アルドーさんは俺の髪の事も聞かないし、おかしいと気付いてる筈だから。


「そっかそうだよね…」

「でも、もしファナちゃんが魔法使いだったら俺はうれしいかもな、お前なら間違った使い方しそうにないしな」

アルドーさんは顎に手を当て嬉しそうにそう言ってくれた。


そのあと色々話してると日も高くなり、アルドーさんは大袈裟に手を振りながら「また来るな~」って帰って行った。


ベットの上に寝転がりこれからの事を考える、どう考えても詰んでるよな。

ちょっと前までそれこそモブAみたいな生活して来たのに、いきなりこの世界で希少な魔法使いとかどうするんだよ。

どんな問題が転がり込んでくるか分からないし、使える力は鍛えて行かないといけないのかな。

降りかかる火の粉は自分で払わねば…


「魔法か・・・魔物を倒せるだけの威力があるのは判ってるから」

まずは火、一度使えたんだから。


俺は左の掌を上に向け集中する、火よ、火よ、火よ・・・・

ジッと掌を見つめながら集中する、するとうっすらと髪が輝きだし何かが見えて来た、火?

しっかり見えるほどに火が現れた、がポトリと掌の上に落ちた。


「アーーーーーーー!」


嫌な音を立て掌を火傷した、余りの痛みに集中が切れ火は消えたがあんまりだ…手首を握りうずくまる。

だが、俺には治療術の奇跡が使える、早く治しちゃおう、お母さんたちには見られたくない。

「傷よ治れ、いたた、傷よ治れ、傷よ治れ・・・・あれ・・・光らない」


『対価を頂きましょうか・・・・』


「うわぁ!えーまだ魔力きれてないし!なんでだよ」

『痛みで集中が出来ていないようです、そのままでも良いですがどうしますか?』

な・・・なんだと、またあの恥ずかしい…うう……見られる訳にはいかないし…


-------


「こんにちはー」

「こんにちはロント君、今日も会いに来たのかい?」

「はい」

「走っちゃだめだよ、静かにね」


ファナが目を覚ました、あの日から2日目を覚まさなかったんだ、酷い怪我をして倒れてたのを見た時は目の前が真っ白になった、生まれて初めてだ。

昨日、目を覚ましたんだけど、嬉しすぎて泣いちゃったよ、その後ファナのお父さんに怒られた、すっげぇ怖かった。

俺が外に連れ出したから魔物に襲われた・・・怒られても仕方がないよな・・ファナが無事でよかった。


ファナの両親はあの怪我を見ていないから・・・見てたらと思うと考えたくないな

昨日はちゃんと話せなかったから、色々謝ろう、寝てるかもしれないけど起きるまで待つか。


奥の来客用の部屋にファナが居る、豪華なつくりの部屋で落ち着かないんだ、でも我慢だ。

扉が見えて来た、寝てるかもしれないのでそっと扉を開け奥に進む、

「はぁはぁ・・・ふぅはぁ・・・うーあぁ・・・」


なんだ、変な息使いが聞こえて来た、ファナの居る部屋から聞こえるようだけど、なんだかドキドキする。


そっと部屋を覗くと、ファナの顔が見えた額に少し汗をかいていて頬が赤い。

「ファナ何やってるんだ?」

「うひゃぁ、あ・・あ・・ぁ・・・ロ・ロン・・ト・・・何時から見て・・・た・・・」

「いや、今来たところだけど・・・」


ファナは変な踊りを踊っていた、腕を振り上げたりクルクル回転したり、どうしたんだ?頭打ったのかな?

「今見たのは忘れろ!運動してたんだ、そうだ体操だよ!」

泣きそうな顔で見つめられたじろいでしまう。


「分かった…体操だな」

焦った顔のファナも可愛い、じっと見ているとファナの額に何かが浮かび上がり輝きだした、

「お、おいファナ額が光ってる!」

「え、あ、ちょっとまった」

ファナが慌てて額を押えてうずくまると左手も光り出した、よく見ると怪我をしてるみたいだったが傷が消えて行くのが見えた。


「ロント…お願いがあるんだ…」

「な、なに?」

「今見たの他の人に内緒にしてくれ、お願いだから…」


ファナが俺の両手を掴み上目使いでお願いしてきた、、、嫌と言えない。

「分かったよ、誰にも言わないよ」

恥ずかしくて目が合わせられないけど二人だけど秘密かぁ

「何ニヤニヤしてるんだ?大丈夫かロント?」


そんなにニヤニヤしてたか、そうだ、

「魔物に追われた時助けてくれてありがとな、昨日ちゃんと言えなかったからさ」


ファナが少し困った顔をした

「足遅いとか言っちゃって…ごめんな、…助けてくれてありがと」


助けられたのは俺なのにファナはありがとうと言って来る

お互い何も言えず沈黙が続いく、俺こういうの苦手なんだよ・・


「ファナ踊り下手だな!」


沈黙に耐えかねて言っちゃった、あっと思ったが遅かった、ファナの左が飛んできた。

「うげぇはぁ」


「ロントお前帰れ、くんな、顔見せんなぁー!」


ファナのパンチと蹴りで部屋から追い出された・・・

今日はもう無理そうだからまた明日来るかな、右頬を擦りながら出口に向かうと、何人かの神官さんに大丈夫と笑われた、ファナのせいだ。

でも良かった元気になって、ほんと良かった。


---------

見られたくない奴に見られた…近づいて来てたんなら教えてくれよ!


『踊り下手なくせに、何イチャイチャしてるんですかね、リア充爆発しろ』

「関係ないだろ!って何でそんな言葉知ってんだよ?」


でも心配して来てくれるとか良い奴だ、明日はちょっと優しくしてやるか。






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