閑話 「主」と女神
そこには一人の女性が居た。
その姿は枯れ枝のように細く痩せ衰えていた、うずくまるその姿は宙に浮いているのかの様に見える真白な空間に唯一人。
『主様お赦し下さい主様お赦し下さい主様お赦し下さい主様お赦し下さい主様お赦し下さい・・・・・・』
うわ言のように呟き続けていた。
一瞬空間が揺れる、その女の前に一人の少年が姿を現した。
「チョットハ、アタマヲ、ヒヤセタカナ?」
その女は目を見開き少年に縋りついた、
『主様、お赦し下さい、どうかどうか』
少年は鬱陶しそうに
「ワカッタワカッタヨ、ハナシテオクレヨ」
少年は指を鳴らす、すると其処は美しい海岸に成っていた。
『あ…あぁ美しい…』
「サテ、モトメガミノオマエニ、シツモンガアル」
『はい、なんなりと・・・』
元女神と呼ばれた女は跪き顔を伏せた
「ナゼ、セカイガホロビカケタ?」
元女神は震え出した、答えたらまた…あの空間に、恐れから答えられずにいた。
少年はやれやれといった感じで現れた椅子に腰掛け答えを待った。
どれくらいの時間がたったのか、ただ波の音だけが聞こえる
「フム、ソウエイバ、アノショウネンタチノゾウハ、ヨクデキテイタネ」
その言葉に元女神は顔を上げ主を見つめる、
「ショウジキ、オドロイタヨ、アレダケセイコウニデキテイルトハ」
元女神が口を開いた、
『そうなんですあれは私の最高傑作なんです、アレを作り出すのにどれだけの魔力を消費した事か、でも完成度の素晴らしさからしたら些細なことで、でもちょっとした歪みが有りまして、やはり私としてはそれは許せるものではなく、それを修正するのに何度も創り直し、その都度新しいアイディアを取り入れまして、造形にも私の好みと言いましょうか、やはり愛が必要かとそれで・・・」
「ウルサイヨ」
少年が元女神を一睨みするとガタガタと震え出した。
「マサカトオモッタケド、アレヲ、ツクルタメニ、マリョクヲツカイハタシタノカ」
少年は溜息を付きつつ元女神を見下ろした
異世界の勇者、世界を救いその後女神となりあの世界の管理者となった彼女を
「デ、ツキカケタ、マリョクヲ、カイシュウスルタメニ」
「ユウシャショウカンヲ、ツカッタノカ」
『その・・その通りでございます・・・』
「マホウジンニモ、シカケヲシコンダネ?」
「セイコウカクリツヲサゲ、シッパイスレバ、マリョクヲネコソギウバウヨウニ」
『はい・・・』
「ソコマデシテ、シッパイシタノカ、ユウシャハドウシタンダイ?」
『異空間に消えてしまったと・・・』
「ヤレヤレダヨ」
少年は立ち上がり背伸びをし女神の前にしゃがみ込んだ
「サイゴノシツモンダヨ」
空気が張詰めるのが判る、元女神の顔から表情が消えていく、
「キミ、メガミニアルマジキ、コウイハ、オコナッテイナイヨネ?」
『そ、それは、世界を滅ぼしかけた事でしょうか・・・』
「チガウヨ、アノショウネンタチノゾウサ、アレ、"ホムンクルス"、ダヨネ?」
元女神の顔が絶望に染まる
「キミノ、マリョクニハンノウシ、イノチヲ、フキコマレル、ソウダロ?」
「トテモセイコウニ、デキテイタシネ、ホムンクルス、ニハヒツヨウノナイ、キノウモアッタヨウダシ」
「ショウジキニイエバヨシ、ジャナイト・・・ワカルネ?」
『あ、あ、あの、一緒に添い寝したり、その、水浴びを、、、ですが、それだけで、そ、それい…』
少年は立ち上がり片手で顔を覆う、
「ワカッタヨ、ヨクワカッタ、キミニハアタラシイセカイヲ」
「カンリシテ、モラウコトニスルヨ」
『主様、私はその・・・』
少年はニコリと笑うと
「スンダコトハ、モウイイヨ、ヒトデモタリナイシ、イコウカ」
『はい、次こそは必ず主様の期待に応えて見せます』
少年が指を鳴らすと二人は小さな島に居たが、その眼下にマグマに覆われた一つの星が在るだけだった。
「アノホシハ、ツクリタテデネ、キミガガンバレバ」
「スウジュウオクネンゴニハ、イノチノヒトツモ、ウマレルダロウ」
元女神はへたり込んだ
「ボクハユルストハ、イッテナイヨ、モウスコシハンセイシタマエ」
『そんな、主様これは、あんまりです、これ』少年は指を鳴らす。
海岸に戻ってきた少年は微笑みながら、あの新人女神を思い出していた。
「アノショウジョニハ、コノ、ホムンクルスノサクセイホウホウヲ、オシエタケド」
「ウマクツカッテクレルト、オモシロインダケドナ」
少年の姿が消えていく、風景に溶け込むように存在しなかった様に・・・
読んで頂きありがとうございます、これにて第一部が終了になります。
第二部より週2回の更新になります、評価、ブックマーク本当にありがとうございます。




