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新章魔王勇者編 第3話

絶望した。ヴェスパの強さに俺が泣いた。

シーアイスヴェスパの大、大、大大群。其れは絶望的なまでに圧巻な光景だった。

知りたくもないが、今までどこにいたのだろうと思えるぐらいの通常巣の最奥にしかいないような強力な存在が、

並んでいる。ダンジョンボス、いや下手をすればエリアボスでも通用するような個体がこれだけいるとは。

この勢力がまとまって攻めてくれば人の歴史はあっけなく終わる。まさに最北の海洋の覇者。

その言葉が微塵も名前負けしていない。


今押し分けて僕たちの脳内に話しかけたその中でもひときわ恐ろしい存在。コイツが魔王だろう。そうに違いない。

横を見れば魔法で2本の足になったオンディーヌが震えて、

「ひぃぃっ、きっとコイツです。コイツが私の家族を、…父と兄を殺したんです。」

<憶えていたのか、私は忘れるところだったよ、エサが何匹死のうとそんなことどうでもいいからな。

   んん?怒ったか?怒ったのなら殺しに来い。―――――なに挑むことは自由だ。挑むことは、な。>


癪に障るほど美しい声で嗤い、それでもなおその存在感だけで潰されそうになる重圧。

―――間違いない。コイツが魔王だ。オンディーヌも二人もそう思っているのはわかった。


「魔王。討伐させてもらうぞ。」

<私が魔王?人は私のことをそう呼んでいるのか、あと別に念じるだけでよい。わざわざその耳障りな音を出さなくともよいのだ。>

「人に厄為す悪の総括が魔王でなければなんなんだ。」

<ふふふ、ははははは、私が魔王だとは、まあ良い。あぁそうだ今は祭典の最中で忙しいんだ。そこで自害してくれれば手間が省ける。>

「貴様、人の命をなんだと思っている!!!!」

<知ったことか、優しい私にも我慢の限界がある。早く自害しろ。それとも―――生きたまま無残に解体されたいか?>

「それはお前さんらの方だぁ」

「おや、珍しく同意見ですね」

「皆の仇っ」

「みんな準備はいいかっ」



<どうやらそういうことのようだな。まさか人の見通しがハーケンダツよりも甘いとは思わなかった。私が相手をするまでもないな。>

「……おい其処の2匹」


「はっ」

「はいっ」


「解体するのはお前たちの得意分野だろう。終わったら婚前の密会も不問としよう。魔王デュカリス=スペルヴィアが『代理』アリスが命ずる。

――――門前の塵をはわいて捨てろ。」

ハーケンダツ

寒冷な海にすむレア魚類モンスター。

両端に嘴が尖っており危険。

豊富に脂肪分が含まれて甘い。

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