サイドストーリー 第六王家の女王
おぼんなので
娘たちをお願い
何度聞いた言葉でしょうか。5人目のお姉様もそういって旅立っていきました。
どのお姉様も生きようと思えば私のように永き時を生きる道がなかったのだろうか。
お姉様たちは先に旅立った夫に呼び込まれたように―――う~ん言い方が悪いかな?
引き寄せられるように逝ってしまわれました。
お姉様たちからは私はお母様によく似ていると言われました。お母様もそういっておられました。
『アリス』という名前はお母様の幼少のみぎりの愛称であったそうです。
末っ子だからなのでしょうか。お母様は特に私には優しく、不思議な話をいくらか聞かせてもらいました。
長生きなのも、母譲りなのでしょう。お姉様たちが結婚し、仔をなし、散っていき、そうして代を重ねる中、
私だけが生き残っていきました。先程遂に5人目のお姉様も旅立っていき、お母様もお姉様を看取り、
何処かの誰かに
私の娘を宜しくお願いします
そういっておられました。それは誰に向けられた言葉なのかはわかりませんが、ここではないどこかの
確かに存在する誰かに言っておられるのはわかりました。お母様曰く近くて遠いところだそうです。
いろいろ邪推するのは不敬だとは思いますが、私が思うにお母様のご家族の方ではないのかと思います。
気が遠くなるほどの月日がたち、いつしか私はお母様の名代として、初期6王家の一つでありながら
神祖の巫女となりました。………いい年して結婚もせずに実家住まいの家事手伝い。
こういうとかなり聞こえが悪いですが、そんなことを言う者は、言える者はもう、いません。
姉たちがなくなった後時折妹が生まれましたが、その仔らは皆第6王家、つまり私の家に入りました。
第6王家は皆、神祖の娘だけで構成された王家にて巫女なのです。時折、他家からも修行に来ますが、
基本はそうなります。
妹たちの中には6枚翅でないものも少なくなくいますが、どの娘も優秀でいいこばかりです。
母たる神祖が遠すぎる存在の為か、私は母親のような扱いを受けています。姉なのに。
そういえば、母曰く、
「あなたは結婚せずとも仔を産める」そうです。今度試してみようかどうか思案中です。
第六王家は女王直下の巫女集なので神殿ですが、他の五家はその周りを五芒星を描くように
並んでいます。『神祖覚醒祭』においては第一王家から順番に皆でめぐり、最後にはこの神殿で集まります。
ちなみに、長女の血を継ぐ第一王家は、表向きは六家の、実際にも五家の筆頭として、
始まりの時から混血な次女と三女の家はそれぞれ陸と空の要として、
四女の家は泳ぎの優秀な娘たちを多く輩出しており、飛ぶのも早いです。
最後に無くなった五女の家は、その冷却力に高い定評があります。
皆、気高く美しくお姉さま方のように王族としてあります。
私はお姉さま方の期待に応えられたでしょうか。
毎年この時期になると神殿内部の碑の前で、氷原に咲く花とともにいつもより長めに祈りを捧げます。
祈りを終え帰ろうとしたとき、どこかから懐かしい声が聞こえたような気がしました。
それから、遥か遥か永い時が過ぎ、愚かにもまた『勇者モドキ』達がやってきました。こちらは『神祖覚醒祭』
の運営で忙しいというのに。……あぁ、あれは多分つい最近滅ぼした人魚の巣の『逃がして』やった生き残り
じゃあないですか?―――――実に面白い趣向ですね。
そういって筆頭巫女にて第六王家当主、アリスは彼らの元に向かって見ることにした
<お客様方はご招待リストの名簿に載っておりません。どうぞお引き取り下さい。
この時期の当日予約は高く、それはもう高くつきますよ?>




