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THE episode of Gawain

愛すべきバカ

その男は最強の自負を持つ冒険者であった。肩の並ぶもののいないという所まで言うとと微妙なところになる。

まぁ、癪だから言わないが幼馴染の優男をそのポジションにおいてやってもいいとは思わなくもない。


男は何せ酒が好きだった。金より酒。女より酒。名誉より酒。喧嘩より……喧嘩も酒も大好きだった。

ギルドに登録されている戦士の中で男は最強であった。高難度依頼を何個もこなし、その報酬を大体酒に変えていた。

例の幼馴染に薦められた『熊殺し』は最初何のつもりだと怒鳴ったが、呑んでみると思いのほか美味く、今ではお気に入りである。


見た目を気にしない彼は白髪の熊のような風貌で、頭のよくない顔で事実頭を使うことよりもその場でやりたいようにするのが好きではあったが、

実際にはいうほど馬鹿でもなかった。なにせ、彼の父親は裸の大将と云われた名将であった。

攻めることだけで何の守りも考えないことから『裸』の大将と呼ばれていたようだ。でも、結果を出してるんだから名将だろう。

まぁそんなんでも将校達のトップである。一応馬鹿ではなかったと書いておこう。

……参謀たちのナミダ無くして語れない努力を書くと丸々1話ぐらい使うが今回はなしの方向で。

………話がそれたがまぁ要するに、彼は馬鹿じゃないけど馬鹿だという話だ。


そんな彼が、珍しく幼馴染を連れずに呑んでいると貴族のお偉いさんの息子がやってきた。マナーもルールも熊男は知らんが、

なんにせよいままで皆楽しく飲んできた。しかしその貴族は、周りに「薄汚い」だの「この平民が」だの、「お前俺の妾になれ」だの、

色々雰囲気をぶち壊していた。「この飲み屋には高くてうまい酒が無い」そういったときについに男は席をたって貴族の所に行った。

彼の巨体に「ど、どうしたんだぃ」と虚勢を張りつつもビビってるのが丸わかりなお坊ちゃんに、


「ここの、マスターをわるくいうのもかまわねぇ、姉ちゃんや冒険者を悪く言うのもなぁ。でもなぁここの酒を悪く言うやつは許せねぇ。なぁ。」

と、そういった。

みんなポカンとしてる。そりゃそうだ。ガツンと弁解してくれると思った熊男はやっぱりいつもの熊男だったんだから。

しかし、ここのみんなはそんな熊男が大好きだった。あんまりにもあんまりな啖呵にみんなは笑った。店中が声をあげて笑った。


「おい、おまえ、裸の大将の息子でSランクのガウェインじゃないか。そうだ僕の家来になれ。金も名誉も、…その顔じゃあ女は難しいが他のはくれてやる。」

「ん?酒はくれねぇのかぁ?」

「じゃんじゃんお前が呑んだことのないような高い酒も飲ましてやる」

「……『熊殺し』はないのか?」

「そんなブランド聞いたこともない。」

「じゃあやめとくわ。お前さんも自分に合った呑み屋にいけや。ここにお前さんの好きそうな酒はなさそうだ。」

「なんだと?こんな安物がいいのかっっ!!!!」


そういうと貴族の男は『熊殺し』割った。――割って、しまった。


「てめぇはやっちゃあいけないことやっちまった。おれはなぁ、金も名誉も要らんがなぁ、酒と喧嘩が大好きなんだよぉっ!!」

そういって貴族の男をぐーぱん1発で外までぶっとばしてしまった。そのあと最初にガウェインが言ったことは

「マスター『熊殺し』1つ」



彼は其れが原因で貴族の男の父親の逆鱗に触れ、死出の旅、魔王討伐隊に強制的に参加させられてしまった。

彼の父親が存命であれば防げたことだろう。しかし彼の父親はやはり呑んだくれで、トイレに行っている時に妻に逃げられ、

慣れない家事に疲れ、風呂掃除の後裸で寝ていた際に腹を壊して死んでしまっている。つまり彼はただの平民でしかないのだ。

後に侯爵家3男の幼馴染が自分がその場にいれば、と珍しく「すまない」と謝ったが、喧嘩が大好きな彼は、

「魔王と喧嘩なんて、そうそうできるもんでもないだろぉ」

そういって笑い『熊殺し』1杯あおった。

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