表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の罪 無辜の灰  作者: 神代きい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/31

Ⅲ・夢の罪7

 


 兄を見送った後、リオンは扉に背を預けて目をつむった。胸を占める複雑な感情の全て吐き出すかのように、重いため息が無意識に出る。

「…無関係じゃ、ねぇじゃねーか…」

 全てを語らないタオに苛立ちを感じてきた自分に――何も知らなかった自分に、強い憤りを感じている。

 イシュヴァの民にも――リオンにも関係がある問題だからこそ、彼は悩み、黙っていたのかもしれない。…それなのに、自分はまるで仲間外れにされて腹を立てた幼子のようで、結果としてタオを更に苦悩させて…。

 ――…悪い事をした。

 それに…、素直になれないあの性格だ。何をどのように言い出せば良いのか、タオ自身も困っているに違いない。

「ったく、どっちがガキなんだか…。こうなったら、また破邪の矢で脅して――」

 つい意地悪な笑みが浮かんだリオンだったが――。

 次の瞬間、ガバッ! と勢いよく扉から背を離した。

「…ッ! 血の――!?」

 この空間の何処から感じた、濃厚な血臭。そして――間違えるはずがない、この、気配…。

「タオッ!」

 叫ぶと同時に翼をひるがえし、リオンは真っ暗な無の空間へと飛び出した。

 この異質な空間の中では、時間の流れや方向感覚が掴めない…。ただ全力で飛び続け、強まる血臭に接近を確信する。


 ――…前方に倒れ伏した人影。

 闇の中でも映える見事な黒の長髪…。


「お…い、マジかよっ? タオッ!!」

 あの長髪のタオが、ぐったりとうつ伏せで倒れている…! 強い衝撃がリオンの全身を貫く。

 勢いを殺さぬまま友の傍らに降りると、着いた足に、ピシャリ、と水音。――…タオを中心に血の水溜まりが広がっていたのだ。無惨に裂けた衣服からは、深い傷口がのぞいている…。

「おいッ、タオッ!」

 躊躇う事なく血溜まりに膝をつき、リオンはタオの肩を強く揺すった。何度か呼び掛けた後、低くくぐもった呻きが返ってくる。

「――…るっ…せーな…。わかってる、っての…」

「わかってねぇだろーがッ!!」

 聞き慣れた不良の口調は頼もしいが、その行動は正反対だ。体を起こそうと腕に力を込め、結果として傷口から更なる出血を招いている。

 出血量に危機を感じたリオンは、反射的にその頭を平手で打った。ビチャッ…、と血溜まりに沈んだタオが抗議する前に、全霊をこめて治癒のチカラを放つ。手に集まる熱。魔族を包む白きチカラ――。

 タオは動かない。…気絶したらしい。

「…」

 リオンは複雑な想いに唇を噛み、ただひらすらに友の治癒に徹した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ