↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マブダチ美少女AIのデイリーミッションでこっそり現実攻略!〜レベル0のおっさん。分かる人には分かる強者となってしまう〜  作者: けーきまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/62

虹色とハイエナ雨宮

俺の部屋の玄関で、彩葉が土下座している。


彩葉って、よく土下座するよな。これで見たのは三回目ぐらいかな。申し訳ない気分になるから、止めて欲しい。


いや、待て。なんで小春もいる?俺と小春のつながり、とうとう彩葉にバレたのか?


まあ、普通にバレるか。有馬なんて、そうある名字じゃないし。


そういえば……なんで玄関のドアが開きっぱなしなのだろう。蚊が入ってくるじゃないか。


そして俺は気づいてしまう。ドアが紙みじんに切り裂かれ、その角ばった欠片が床に落ちていることに。


なるほど……彩葉がやったのか。だから土下座しているのか……でもなんで?


「おじさん、彩葉さまを許してあげてよ。あれは仕方ないよ。おじさんたちの声、外に漏れてたもん。彩葉さまはおじさんが襲われてると思って、助けようとしたんだよ。きっと。」


「そ、そう?外まで丸聞こえか。……でも、まいったな。こういうドアって、きっと高いんでしょ?」


今日のデイリーの三万じゃ無理だろうなあ。また、俺は一文無しになってしまうのか。


「…………ドアに関しては、久遠寺家が負担して、すぐに直しますゆえ。誠二郎さま……誠に申し訳ありません……。最初の時と同じで、私、勘違いばかりして。」


うつむいた彩葉からは、ぽたぽたと涙が落ちている。


いけない。こんな真面目な少女を泣かせるなど、大人失格である。


「誰にでも間違いはあるから。彩葉は気にしなくていいよ。でも、ドアを直す手配だけは、お願いしていいかな?俺、今一文無しに近いんだよ……」


罪悪感を消してやるためには、何か要求をしてやるのが一番だ。そういうものだ、きっと。


「……もちろんです!」


彩葉は鞄からスマホを取り出すと、すぐにどこかに連絡を入れる。どうやら、暗くなる前には直してくれるとのことだ。うん。それならこちらには文句はない。


さすがに、ドアなしは困る。俺を狙うやつはいないだろうけど、80万円のゲーミングマシンを狙うやつはいるかもしれない。


ゲーミングマシンだけは守らなければいけない。


「もう大丈夫だから。気にしないでよ。ん……?誠二郎さま……って?彩葉って俺のことそんな風に呼んでたっけ?」


彩葉がモゴモゴと口を動かす。


「……あ、有馬様と呼ぶのは、小春がいるので、ま、紛らわしいかなと。もちろん誠二郎さまがお嫌なら、元に戻しますゆえ!」


彩葉の顔は真っ赤だ。


ぐっ。すごく可愛い。女性恐怖症でよかったかもしれん。でなければ、道を踏み外していてもおかしくない。


そこに食いついてくるハイエナ雨宮。


にやりと笑い、彩葉をからかう。


「そうだよね。小春くんがいるなら、確かに紛らわしいかな?ボクも有馬のことを誠二郎って呼んじゃおうかなー。」


「……よ、呼び捨てですか?それはさすがにはしたないのでは?まさか……雨宮さんは、誠二郎さまと、お、お、お付き合いをされているのですか?」


そんなわけがない。俺は無職な女性恐怖症のレベルゼロだぞ。舐めないでいただきたい。


「んー。そうだね?今はまだ、ご近所さん付き合いってところだな。有馬はボクの取材対象だしね!ボクはお隣さんだし、有馬の部屋にも頻繁に来てるしさ!有馬だってボクの部屋に来たことあるんだよ。いつ関係が変わってもおかしくないだろうね。」


こいつ、まあ、思ってもいないことをペラペラと……。


チラチラと彩葉を見ながら、得意そうな顔をする雨宮。


彩葉はどこか悔しそうな顔をしている。


「……わ、私も、この青葉荘に引っ越してくれば。」


絶対に、やめてくれ。


雨宮が続ける。もう口を開かないでくれ。頼むから。


「それにボクは、有馬の女性恐怖症の克服に手を貸してるからな。スキンシップもこれから増えてくだろう。単純接触効果だっけ?ボクと有馬、どんどん、親密になっちゃうかもなあ……」


「……そ、それなら私が、私がやります。誠二郎さまには大恩がありますので!」


「うーん、ボクもあんまり彼に借りを作りたくないんだよね。一方的に取材させてもらってるのも、なんだか申し訳なくてさ。」


そんなこと思ってもないくせに。


っていうか、これはなんだ。俺の部屋で何が繰り広げられているんだ。勘弁してほしい。


「……う、うううっ!」


ぎりっと、彩葉が奥歯を噛みしめる音がする。


瞬間、とてつもなく重い空気が部屋の中に広がった。彩葉の威圧だろう。


「ひ、ひいいいぃ!」


雨宮がその直撃を受け、顔を青くする。


そして、慌てて俺の後ろに隠れる。


「あ、有馬?か、彼女、LVは?」


「……レベル8だ。」


「れ、レベル8!レベル8だって!」


雨宮はドンと俺を突き飛ばす。


「ふべっ!」


レベル6の怪力で畳に倒される俺。


雨宮はキラキラとした瞳で彩葉を見つめている。


「彩葉くん!キミ、レベル8って本当かね!」


急に態度が変わった雨宮に毒気が抜かれたのだろう、彩葉の威圧が消える。


「……え、ええ。有馬様のご助力で、先日レベル8に至りました。」


「レ、レベル8……有馬の助けで……だって?ふ、フォーーー!!き、き、聞かせてくれないか!有馬の女性恐怖症克服助力の権利、譲るから!どうやって!レベル8に至ったのか!聞かせてくれよおぉ!」


うーん、そろそろもう別の場所でやってくれないかな。


俺、ニンペしたいんだけど。


80万円のゲーミングマシン、まだあまり使えてないんだよな。


せっかく買ったのに。


静観していた小春が声をかけてくる。


「おじさん、なんでこんなにモテモテなの?」


「モテモテ……?彩葉はまあ年上に甘えたいだけだろ?雨宮には、俺、遊ばれてるだけな気がするし。」


「おじさん……鈍いねえ……たとえそうだとしても、好意を持ってない相手に二人ともこんな態度取ったりしないよ。」


「そうかあ?」


女性からは、今までひどい目に遭いすぎてきた。正直、俺には色恋沙汰は無理だと考えている。相手の問題ではない。俺が女性を信じられないのだ。友達でいい。友達がいい。


パンパン!


手のひらを二回叩いて、何やら話し込んでいる彩葉と雨宮の注目を集める。


「とにかくだ!彩葉に女性恐怖症の治療は頼めない。彩葉はまだ学園生だ。そんな子にお願いできることじゃない。」


「…………そうですか。」


そんな悲しそうな顔をしないでくれよ。


「あと雨宮。あまり俺の周りをかき回さないでくれ。じゃないと取材の話はもうなしだ。」


「う!分かったよ……ごめんな、有馬。」


「…………ですが、私は誠二郎さまには大恩もありますし、ご迷惑もたくさんおかけしました。何もしないわけには。」


そう言うと、彩葉はしょんぼりとした。


その姿が小さかった頃の小春に重なる。


俺は彼女の頭にぽんぽんと二度、優しく触れ、笑顔を作る。小さな子をあやすように。


「だから、言ったろ?俺たちみたいな低レベルな人間が生きやすくなるような社会を、久遠寺彩葉が作ってくれよ。それって、彩葉みたいな高レベルの人しかできないと思うしさ。」


ゆでだこのように赤くなる彩葉。


なんでそうなるのか不思議に思っていると、小春が耳打ちしてくる。


「おじさん、これラブだよラブ。頭をポンポンされて顔を赤くするなんて、ラブしかないじゃん。どうするの?さすがに歳、離れすぎでしょ?」


……マジ?そんなことあるか?


「ち、小さい時の小春を思い出してつい……」


俺の言葉に、小春は呆れたような声を出す。


「はあ……もう、知らないからね!?彩葉さまに変なことしないでよ?不誠実なことしたら、許さないからね!」


「するかよ!」


彩葉が呆けたような声を出す。


「…………この頭……当分洗いません。」


頼む。頼むから、洗ってくれ。


その後、絶対に洗わないと頑なに言い張る彩葉を説得するため、また頭をポンポンするという約束をしてしまった。


俺、なんかドツボにハマってないか。


※※※


その後、外も暗くなり始めたので、彩葉と小春は帰っていった。


彼女たちが帰る前に、部屋のドアも業者によりピカピカなものへと取り替えられていた。さすが久遠寺家である。


ちなみに、雨宮は部屋に残る気満々だったようだが、「夜分に男女が二人きりでいるものではありません」と、彩葉に連れられていった。


帰るよう促され、少しだけ抵抗した雨宮だったが、また明日があると思ったのだろう。素直に自分の部屋へと帰っていった。


『いやー、誠二郎、どんどんモテモテになりますね!マブダチとして誇らしいです!』


テマリは相変わらずだった。


「モテモテ、モテモテってさあ……。そんなことより、俺は疲れたよ。ニンペもできないし。それに彩葉と恋愛関係なんてありえんだろ。」


『そんなことはありませんよ?誠二郎は、ほぼ不老ですしね。』


「は?不老?」


『今相手が18歳で誠二郎が38歳だとしても、50年後には68歳と88歳なわけです。ほら?なんとなくアリな気がしてきません?高レベル者は老化もほとんどしませんし、彩葉さんは68歳でも若く美しいと思いますよ?』


「ちょ、ちょっと待て。それより、俺が不老?そんなの初めて聞いたんだけど。」


『あれ?言ってませんでしたっけ?』


「聞いてないよ!」


『そうですか……忘れてたみたいですね!テマリシステムがインストールされたものは、ほぼ老化が発生しないんですよ!クミヒモシステムなんかとは違うのです!』


ぷかぷかと浮かびながら胸を張るテマリ。


そうだったのか……なら、アレは?アレはどうなんだ?


テマリに、気になったことを聞く。俺にとっては大切なことだ。


「ち、ちなみに容姿補正は?イケメンになったりする?」


『それはないです!』


即答だった。


「なんで!」


『だって、人間なんて皮一枚ひっぺがしたら、皮下組織と筋膜の集合体ですよ?美しさもへったくれもありません。みんな同じです!「美貌は皮一重」ってやつです!本当の美しさ!真の美しさというのは、心の内側に宿るものなのです!』


「そ、そりゃ、分かるけどさ……生きづらさが変わってくるんだよ……」


『いいじゃないですか。誠二郎の魅力が分からない見る目のない方など、相手にしなければいいのです!大丈夫です、マブダチの私が保証します!誠二郎は、素晴らしいクールガイですよ!』


そうなのかなあ……


『それよりも、誠二郎に残念なお知らせです。メインミッションが発生してしまいました。』


「はあ!?」


マジかよ。今日はもうクタクタなのに。ニンペやりたかったのに。


だけど今日中に終わらせなければ、明日の三万円がなくなってしまう。逆に、今日中に終わらせられれば、今日の収入が九万円だ。明日のデイリーミッションも発生する。


結局、無一文に近い、俺に選択肢などないのだ。


テマリが元気よく声を出す。


『誠二郎、とっとと終わらせて帰ってきてから、ニンペをやりましょう!行きます!』


ドゥルルルルル……パンパカパーン!


視界表示に、メインミッションのメッセージが現れる。


――――『青葉中央公園に発生した犬型害獣三体を駆除せよ。』


……無理じゃね?

もし気に入っていただけたら、【ブックマーク】と【下の評価 ★★★★★】をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。