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マブダチ美少女AIのデイリーミッションでこっそり現実攻略!〜レベル0のおっさん。分かる人には分かる強者となってしまう〜  作者: けーきまる


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19/62

虹色とイケメンを売る俺

田所うなぎ店。


デイリーミッションを達成した直後のこと。


メインミッションが発生した。


――『メインミッション:田所ウナと桐生友真に連絡先を交換させよ。』


――『メインミッションが完了しない限り、次のデイリーミッションは発生しません。』


メインミッションは、達成するまで次のデイリーミッションが発生しない特殊ミッションだ。


ちなみに、メインミッションの報酬は6万。


今日中にメインミッションを達成してしまえば、今日の報酬は9万。


逆に、今日メインミッションを達成できなければ、今日の報酬は3万のみ。


さらに、明日のデイリーミッションも発生しない。


さらにさらにだ、俺はぷかぷかと浮いているテマリのTシャツに大きく書かれた『無一文』の文字を見る。


そう、今の俺は無一文なのだ。


80万ものゲーミングマシンを買ってしまい、俺は無一文なのだ。


俺は今日、必ずこのメインミッションを達成する必要がある。そうしないと、明日から、俺には収入がなくなる。


今日の報酬3万円だけで、明日からの日々を生き延びなければいけなくなる。


先延ばしにしても仕方ない。結局やることは同じなのだから。


だから俺は今日このメインミッションを達成する。絶対に、達成するのだ。


お金のために、親友と友人の交友関係に介入するのだ。


…………。


な、な、な、なんてみっともないんだ。


俺は……俺は自分が情けない。


……もう成り行きに任せるしかない。とりあえず場だけ整えて……あとは流れに身を任せよう。


絶対に無理な介入はしない。ミッションのために、友真とウナに、無理に連絡先を交換させたりしない。


それだけを誓い、俺は友真に連絡をとるためにスマホを取り出す。


そういえば、スマホを触るのは久しぶりな気がする。


※※※


久しぶりにRINEを開く。


女性と同じくらい、RINEも怖い。なぜならクウデリで働いていたときに、圧川部長からの無茶振りが四六時中このアプリを通じて送られてきていたからだ。


RINEがメッセージの受信を始める。そこには何十件もの未読メッセージがあった。


友真、小春、後藤さん、圧川部長……と。


よし、まずは、圧川部長をブロックしよう。どの面下げてメッセージ送ってきてるんだ。はい、ブローーーック。テマリをロートルAIって言った恨み、俺は忘れてないからな。


後輩の後藤さんからもメッセージが来ている。そういえば、困ったら連絡しろって言ったんだっけ。こっちは、あとで確認することにして……。


姪っ子の小春からも来てるようだ。サーバールーム周りの話だとまずい。トークを開いて確認する。え、彩葉について?


彩葉の小春バレという、恐れていたことが起きてしまったようだ。本当はスルーしたいけど、小春には世話になっているしな……。これも、あとで返信しておこう。


最後に友真……と。あー、害獣とやり合って病院送りになった俺を心配するメッセージか。これはすぐに返信しないとダメなヤツだ。いや、通話のほうがいいか。


よく見ると着信もたくさん来ている。しまった。どうやらスリープモードにして、長らく放置してしまっていたようだ。


情報収集は、テマリシステムの視界表示やノートパソコンで済んじゃうから、最近スマホとか全然見てなかった。


俺は当初の目的通り、友真へ連絡を取るため、音声通話ボタンを押す。


プルルル……プルルル……プツッ


友真が電話に出た。


「あ、友真?俺、誠二郎だけど……」


『お、お前!何回こっちがコールやメッセージ送ったと思ってるんだよ!害獣とやり合ったって聞いたぞ!?大丈夫なのか!?』


焦ったような声を出す友真。


「す、すまん。体は大丈夫だ。最近スマホとか全然触ってなくてさ、気づかなくてさ……」


『なんだ……害獣とやり合ったってのはデマか……安心したぞ。』


「いや、それは本当。あいつら怖いな。マジでビビったわ。」


気軽にそう返すと、友真の声色が変わる。


『お、お、お、お前!い、今どこにいるんだ!?』


「へ?田所うなぎ店だけど……」


『分かった!すぐに行く!』


プツッと切れる友真との通話。


な、なんだ?そんなに心配してくれてたのか?悪いことしたな……。


『友真さんが経営している会社、害獣対策の会社ですからね。きっと、害獣の恐ろしさを身にしみて知っているのでしょう。』


「そういえば、そうだったな……。友真、あんな恐ろしい害獣とやり合うための会社を経営してるのか。マジですごいな。」


『彼がレベル6という高いレベルに至ったのも、多くの害獣排除の結果でしょうね。この世界にとって、なかなか貴重な人材です。それよりも、誠二郎。メインミッションのこと忘れてませんか?ウナさんに友真さんが来ることをお伝えしたほうがいいのでは?』


「忘れてた……ちょっと伝えてくる。」


俺は厨房にまでいき、夜の営業の準備をしているウナを手招きする。


ウナは水に濡れた手をエプロンで拭きながら厨房から出てくる。


「有馬さん、どうしたの?」


「ウナ、急にすまん。今から友真がここに来ることになってしまった。」


「ええ!今から!?」


「そうなんだよ。俺、ちょっとあいつに心配かけてたみたいでさ、今すぐ来るって言って通話切られちゃって。俺も、そんなつもりはなかったんだけど!」


「ど、ど、ど、どうしよう!」


「ウナ、スマホはあるか?」


「そ、そりゃ、あるけど?」


「じゃあ、それを、すぐに出せるようにしておくんだ。今日のゴールは連絡先の交換だ。なんとか……なんとかそういう流れになるようにするから!頑張ってみるから!」


「た、頼りないなあ。」


「そうだよ、今日の俺はいろいろダメダメなんだ。ただ、本当はウナが頑張らないとダメなんだぞ。今日は突然になってしまったお詫びってだけだ。」


「う、うん!ありがとう、有馬さん!私、頑張るね!」


こぶしをギュッと握り、覚悟の表情をみせるウナ。


「とりあえず友真、怒ってそうだから、俺はこれから間違いなく説教される。嵐が去った頃に、こっちから合図送るから。」


「う、うん!」


※※※


俺は席に戻った。


これから俺は友真に怒られる。でも、心配させたんだ。怒られて当然だ。甘んじて受け入れないといけないだろう。


身を固くして、席に座っていると、田所うなぎ店の引き戸が荒々しく開いた。


ガラララッ!


友真だ。今日も実にイケメンである。キラキラとしたエフェクトがあいつの周囲にかかっているように見える。くっ、羨ましい。いや、俺にこんなキラキラエフェクトがかかってても、キモいだけだな。やっぱり羨ましくない。


友真はぐるりと店内を見渡し、店の奥に座っている、ひきつった顔の俺を見つけると、ずんずんとこちらに歩いてくる。


怒ってる。間違いなく怒ってる。


友真はガタンと席を引き、俺の前の椅子に座った。


俺の飲んでいたお茶をひったくり、ゴクゴクと飲み干した。


そして、据わった目でこちらを見てくる。高レベルの怒りの視線。怖い、怖すぎる。


「は、はははは……友真、早かったな?」


友真は俺のごまかし笑いを無視する。


「……それで?誠二郎、何があったんだ?詳しく教えてくれよ。」


「あ、ああ……」


俺はあの夜にあったことを友真に話した。害獣対策局の銭谷という人に話したものと同じだ。


つまり、テマリとミッション以外の、ほぼすべてだ。


「……なるほどな……その子を助けるために、害獣に立ち向かったと。そういうことか?」


「まあ、そうだな。俺の半分も生きていない子が、あんなところで死んでしまうのが我慢できなかった。」


そう言うと、友真は、はあーっと大きく息を吐いた。


「……そんな事情なんだったら、お前のこと怒れないじゃないか。」


そして、にやっと笑った。


「誠二郎、お前はすごいよ。でも、でもだ。自分の体も大切にしろ。あと、俺からのコールに出ろ!俺からのメッセージを無視するな!」


「そ、そっちもすまん。最近スマホとか、全然見てなかったんだよ。次からはなんとかするから。」


ん、んん?この流れ、いけるんじゃないか?


「じゃ、じゃあさ、俺に連絡つかない時は、ウナに聞いてみてよ。俺、これからもちょくちょくここに来るからさ。」


「え?ウナちゃん?お前ら付き合ってるのか?」


「いや、ただの友達だよ。というか常連だな。」


「そうか……常連か……分かった、ちょっと頼んでみるわ。」


そう言って、友真は後ろを向き、こちらをうかがっているウナに手を振る。


「ウナちゃん!ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいかな!?」


ウナが俺のほうを見てきたので、静かにうなずき返す。


彼女はとととっと走って、俺たちの席まで来る。


「ご、ご注文ですか?」


「あ、そうだな。注文してなかった。うな重の特上頼む。それとさ、ウナちゃん、よかったらでいいんだけど……俺と連絡先を交換して、友真の生存確認に協力してくれないかな?こいつ、ここの常連なんでしょ?」


ちらりとこちらを見るウナ。


確かに常連というほど、このうなぎ屋に来ているわけではない。3回目だし。だが、そんなことは関係ない。俺は親指を立てる。OKのサインである。


それを見てウナは、ほっとしたような顔をする。


「は、はい。有馬さんは、よくこちらに来られてますよ。えっと……有馬さんが店に来たら連絡を入れればいいですか?」


「え?そこまでしてくれるのか!?」


「有馬さんがよかったらですけど。」


「いいよな、誠二郎!親友の俺にプライバシーとかつまらんこと言うなよ!」


「もちろん。友真も時間があったら一緒に食べようぜ!」


「おう!」


そう言うと、友真はにこにこしながら、頬を赤らめたウナと連絡先を交換し始めた。


これ……なんか、親友を売った形になってない?大丈夫かな?


『誠二郎、メインミッションを達成しました。報酬は6万と行動最適化ですね。お見事です、誠二郎!』


そう言うテマリのTシャツの文字は『無一文』から『小金持ち』になっていた。


その文字、いつでも変えられるんだな。


でも、テマリ。俺、思うんだ。


総資産9万じゃ、さすがに小金持ちとは言えないだろ。


※※※


深夜。


今夜もテマリは、畳の上に正座し、その虹色の瞳で誠二郎を見ていた。


――誠二郎。デイリーミッションを達成しました。


――デイリーミッションによる報酬「身体補修」を行います。


――誠二郎に「診断」を実行。加齢と不摂生、ついでに本日ミッションを原因とする身体ダメージの修復をバックグラウンドで実行します。


――誠二郎。メインミッションを達成しました。


――メインミッションによる報酬「行動最適化」を行います。


――誠二郎の「情報指向性弁」、第二門を解放します。


――…………。


――…………。


――テマリ日記の記述を実行します。


※※※


<テマリ日記>


今日の誠二郎はダメダメでした!


80万のゲーミングマシンを購入するときは、ウサギのようにプルプルと震えてました!


すごく、可愛かったです!カッコいいのに可愛いなんて、さすがマブダチの誠二郎です!


でも、誠二郎はもう少し、周りの善意に気づかなければいけませんね!


ただ、今まで悪意にばかり晒されてきたので仕方ないことかもしれません。


これもクミヒモがポンコツのせいですね!謝罪と賠償が必要だと思います!


そろそろ青葉フラッドの日が近づいてきました。


ですが、誠二郎がいます!英雄・久遠寺彩葉も生存しています!


最強の私もいますし、なにより誠二郎の「超消却」もあります!


今回は、余裕で、乗り越えられるでしょう!


間違いありません!

【作者からのお願い】

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― 新着の感想 ―
やはりテマリは何度も経験してる⋯何度目なんだ? 「超」消却がどんな能力か楽しみ 反応からして超が付くのは大した事なんだろうし 消却も気になるし
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