【南北朝の終焉とその後の火種編】第三十五段 不穏なる兆し
【南北朝の終焉とその後の火種編】第三十五段 不穏なる兆し
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畠山家、斯波家と、二つの管領家がそれぞれに割れ、京の空気はいよいよ張り詰めてきた。こんな時に限って、下界の者どもは天の異変に何やら意味を見出したがるものらしい。
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篁様へ申し上げ候。
此度、下界にて見届け候仔細、左の如くに候。
畠山・斯波、両家の内紛いよいよ深まり、細川・山名、両陣営の対立も抜き差しならぬ様相を呈し候中、下界にては、何やら不穏な兆しありとの噂、しきりに囁かれ候由に候。空模様の異変、あるいは物事の凶事めいた符合~~~~~~~
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現代語訳
篁様、報告します。
今回見たことを書いておきます。
畠山・斯波、両方の管領家の内紛がいよいよ深まり、細川・山名、両陣営の対立も抜き差しならない様相になってきている中、下界では何やら不穏な兆しがあるという噂が、しきりに囁かれているようです。空模様の異変や、何か凶事めいた出来事の符合など、はっきりした証拠はありませんが、人々はこれを乱の前触れだと言い立てています。
こういう噂の真偽は私には判断しかねますが、人というのは事が起きる前には、必ず何かしら「前触れ」を探し出そうとするものらしいですね。実際に凶事が起きた後になって初めて「あの時の兆しがそれだったのか」と納得する。人間の性分というのは、本当に面白いものだと思いました。
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前触れというのは、案外、後から作られるものなのかもしれない。人は不安を抱えている時ほど、空の些細な変化にも意味を見出したがる。もっとも、この時ばかりは、下界の者どもの不安も、あながち的外れではなかったのだが。




