【南北朝の終焉とその後の火種編】第三十二段 言葉の乱れその二
【南北朝の終焉とその後の火種編】第三十二段 言葉の乱れその二
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さて、また少し肩の力を抜いて、我自身の愚痴を書いておきたい。政の話ばかりでは、篁様も我自身も、いささか気が滅入るだろうから。
このところ、下界の言葉遣いを見ていて、また新たに気になることが増えてきた。武家の世が長く続くにつれ、言葉はますます簡潔に、そして時に荒々しくなっていく。合戦の指図に使うような、短く鋭い物言いが、日々の何気ない会話にまで染み出してきているのを見ると、正直、我のような生前の人間からすれば、いささか落ち着かない気分になる。
面白いのは、身分によって言葉の崩れ方がまるで違うということだ。公家の間では、いまだに雅な言い回しが辛うじて残っているというのに、市井の者どもの間では、もっと砕けた、時にぞんざいとも言える言葉が飛び交っている。同じ「下界」という一つの場所にいながら、まるで違う言葉を話す者同士が隣り合って暮らしているようなものだ。
生前、我は『徒然草』の中で、当世風の言い回しをやたらと持てはやす者について苦言を呈した覚えがある。あの頃はまだ、公家の雅な言葉こそが正統であるという前提があった。だが、今の下界を見ていると、その前提自体が、少しずつ崩れかけているように思える。もしかすると、いずれ武家の言葉こそが「正統」とされる時代が来るのかもしれない。そう考えると、我のこの苦言も、いずれは時代遅れの繰り言として片付けられる日が来るのだろう。
とはいえ、我はやはり、言葉が乱れていく様を見るたびに、一言物申さずにはいられない性分らしい。これも生まれ持った質というものだから、仕方あるまい。




