【南北朝の終焉とその後の火種編】第二十九段 政の乱れ
【南北朝の終焉とその後の火種編】第二十九段 政の乱れ
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義成という男、政に身を入れているのかいないのか、はたから見ていてどうにも判然としない。今回は、この男の治世の中身について、もう少し詳しく書いてみようと思う。
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篁様へ申し上げ候。
此度、下界にて見届け候仔細、左の如くに候。
義成、元服の後、祖父・義満の政を理想とし、将軍権力の強化を図らんと試み候。守護大名家の家督相続に度々介入いたし候えども、その裁定、しばしば二転三転いたし、事態を却って悪化させ~~~~~~~
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現代語訳
篁様、報告します。
今回見たことを書いておきます。
義成は元服の後、祖父・義満の政治を手本にしようとして、将軍の権力を強めようと試みました。守護大名の家督相続にたびたび口を出しましたが、その判断がしょっちゅう二転三転して、かえって事態を悪化させることが少なくなかったようです。
こういう政治の不首尾が、義成の心を政治から遠ざけていったようです。だんだん宴や遊びに夢中になって、政務をおろそかにしている様子が、下界の噂にも上るようになってきました。乳母や側近たち――俗に「三魔」と呼ばれる者たち――が幅を利かせて、本人の思い通りにならない政治の様子を見ていて、正直もどかしい気持ちになりました。
義成自身、政治に嫌気が差して、早々に隠居したいと思うようになっているとも聞いています。祖父・義満の栄華を追い求めながら、その器量には及ばない、というのがこの男の実像ではないかと、私には見えています。
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義満という、あれほどの傑物を祖父に持ってしまったのは、義成にとって不幸なことだったのかもしれない。比べられる相手が大きすぎると、人はかえって萎縮してしまうものだ。もっとも、それが政をなおざりにする言い訳になるかといえば、それはまた別の話だが。




