【南北朝の終焉とその後の火種編】第二十二段 籤(くじ)引き将軍
【南北朝の終焉とその後の火種編】第二十二段 籤引き将軍
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義持もついに亡くなったのだが、その後継の決め方が、我の知る限りではおよそ前例のない、変わったものだった。今回はこの珍しい話を書いておこうと思う。
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篁様へ申し上げ候。
此度、下界にて見届け候仔細、左の如くに候。
四代将軍・義持、後継を指名せぬまま病篤くなり候。すでに嫡男・義量は先だって身罷り、他に世継ぎと定まる者なき故、群臣ども、いかにして次の将軍を定むべきか、大いに困惑いたし候。~~~~~~~
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現代語訳
篁様、報告します。
今回見たことを書いておきます。
四代将軍・義持は、後継者を指名しないまま病が重くなりました。すでに息子の義量は先に亡くなっていて、他に跡継ぎと定まった人物もいなかったので、重臣たちは次の将軍をどう決めればいいか、すっかり困り果てていたようです。
そこで、管領の畠山満家をはじめとする重臣たちが話し合った末、石清水八幡宮で籤を引いて、神様の意志に委ねることになりました。義持の弟にあたる、出家している4人の中から、籤で1人を選ぶというわけです。
籤は義持がまだ生きているうちに引かれ、義持が亡くなった後で開封されたところ、義円という人物が選ばれました。この義円は、還俗した後に義教と名乗り、6代将軍の座に就きました。
下界の噂では、この籤引きが本当に神様の意志だけに委ねられたものなのか、それとも重臣たちの間であらかじめ決まっていた人選を、体裁として籤の形にしただけなのか、はっきりしないという声もあります。
ですが、私はこの一部始終を上から見届けた身として言わせてもらいます。神の意志などというものを、そもそも信じていない私が言うのも妙な話ですが、あの評議の場での満家をはじめとする重臣たちの目配せ、口ぶり、その場の空気は、どう見ても「すでに決まっている答えを、形だけなぞっている」ように見えました。本当に籤の神意で義円が選ばれたとは、私にはどうにも思えず、あらかじめ重臣たちの間で義円に決めておいて、後から籤という体裁を整えただけなのだろうと、私の目には映りました。
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籤で将軍が決まるとは、聞いた時には我も思わず耳を疑った。だが、よくよく考えてみれば、人が誰か一人を選んで恨みを買うよりも、「神が決めた」ということにしてしまう方が、角が立たないのかもしれない。もっとも、それが本当に神意だったのか、それとも人の企みだったのか、それについては、我はすでに己の見立てを述べた通りだ。神の名を借りることほど、都合の良い隠れ蓑もあるまい。




